青春18きっぷ対応、東北本線普通列車で上野から盛岡へ。【車窓・線路改良の見所・駅弁など】

幹線

東北本線は東京を起点として、青森に向かって北上していく路線です。
長らく青森駅が終点でしたが、東北新幹線が全通した現在は盛岡駅が終点で、以北は各県の第三セクターに経営が移行しています。

東北本線は東海道本線に次いで2番目に全線開通した幹線です。
長距離列車が新幹線に移行した現在は、日光行きの列車以外は優等列車の運転はありませんが、貨物列車は頻繁に行き来する大動脈には変わりありません。

起点は東京駅ですが、その歴史に敬意を表して上野駅からみちのくへの旅を始めましょう。

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上野~黒磯

上野駅を出発

上野駅の歴史ある駅舎。
9月に撮影した写真。

かつて北へと向かう長距離列車がここ上野駅を始発駅としていました。
東海道本線の東京駅と同じで、上野東京ライン開業によってターミナル駅としての存在感は薄れてしまいましたが、中央改札正面の地上ホームにはやはり独特の風情があります。

これから東北本線の長い旅を始めるにあたって是非とも立ち寄りたいのが、岩手県出身の石川啄木の詠んだ詩の歌碑です。

上野駅を象徴する石川啄木の歌碑
上野駅を象徴する石川啄木の歌碑

夕方になると各地へと旅立つ夜行列車に乗り込む人たちで溢れた駅には、あちこちの地方の言葉が行き交っていたのでしょう。
こんなにも旅心をくすぐる詩が他にありましょうか?

同様に、新大阪駅に着いて口汚い罵声に嫌悪感を覚えつつも、妙な親近感を抱いてしまった経験は、関東在住の関西人諸君なら誰しもがあるはずです。

通勤圏のダイヤ

宇都宮までは首都圏の中距離列車が頻繁に走っています。
グリーン車も連結されていて、青春18きっぷの場合も追加料金だけで利用できます。

私のように何もわざわざ上野から乗らなくても、湘南新宿ラインや上野東京ラインのおかげで、東京以西からも便利になりました。
また中央線沿線からは、新宿経由よりも武蔵野線を利用した方が早い場合もあります。

宇都宮から黒磯までは本数が1時間に2本で編成数も短くなるので、結構混雑する区間です。
車両もロングシートなので、意外とおろそかにできない50分間です。

関東平野を北上する

早朝は上野始発の列車も多いです。
上野駅を出発するとポイント通過のために出だしはゆっくりと走りますが、慌ただしく走っている「電車」を横目に「列車」ならではの貫禄ようなものを感じます。

上野駅から日暮里駅(東北本線の列車線には駅は無い)までは電車線の他、常磐線の線路とも並走して非常に賑やかな光景です。
中距離列車は鈍行線の京浜東北線とは並走せずに尾久駅を経由して、赤羽駅でまた合流します。
大宮駅までは湘南新宿ライン(東北貨物線)と京浜東北線が並走し、それとは別に埼京線の電車が武蔵浦和経由の東北本線の支線があります。

大宮を出ると複線となりようやく落ち着いた様相になります。
もちろん沿線はまだ市街地が続きますが、蓮田駅あたりから少しずつのどかになっていきます。

東北本線の蓮田駅付近の車窓
蓮田駅付近

東武線と連絡する久喜駅栗橋駅では乗客の多くが下車し、鉄橋で川を渡った先の古河駅からは、首都圏から関東までやって来た気持ちになります。

東北本線の利根川橋梁
栗橋駅を出て利根川橋梁を渡ると茨城県に入る。
しかし次の古河駅を出るとすぐに栃木県になる。

乗換になる宇都宮駅は、距離でいうと東海道本線の小田原あたりです。
やはり東海道本線と比べると沿線は田舎のような印象がして、両幹線の間の格差も感じずにはいられませんが、宇都宮などの市街は宅地開発が遅れた分新しいです。

乗換の間に駅弁を買うこともできます。
とちぎ霧降高原牛めしは素材の味を活かした上品な弁当です。
牛肉は脂でごまかさないで肉の味がするのが良いです。

宇都宮駅の駅弁、とちぎ霧降高原牛めし
とちぎ霧降高原牛めし

宇都宮を出て、烏丸線が分岐する縁起の良い宝積寺駅を過ぎると、丘陵地帯になります。
あいにく直線が多いですが徐々に標高は上がり、箒川橋梁を渡った野崎駅からは那須高原を走ります。

東北本線の矢板駅付近の車窓
矢板駅から先は標高も上がる
東北本線の箒川橋梁からの眺め
箒川橋梁からの眺め

もう都市部の雰囲気は残っていません。
やがて直流電化と交流電化区間の境目の黒磯駅に到着します。

黒磯駅
架線が張り巡らされた黒磯駅
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黒磯~仙台

乗換の回数が多くなる区間

黒磯~仙台にかけては運転系統が細かく分かれており、乗り換えの回数が多くなる区間です。
だいたいが新白河・郡山・福島で乗り換えになります。
また本数も1時間に1本程度で、その距離の割にはあまり先へ進めない区間となっています。

スムーズに乗り継ぎできれば問題ないのですが、必ずしも接続は良くなく、各駅で20~30分待ち合わせといったケースもあります。
そのため黒磯の一つ手前の那須塩原~福島間は、新幹線で一駅または二駅だけワープすると距離の割には大きな効果が見込めます。
幸い上記区間では新幹線の全駅が在来線に乗り換え可能です。

関東からみちのくへ

黒磯を出ると山間部に入り、それまで基本直線だったのが曲線の連続になります。
途中の駅も今までよりもみすぼらしい佇まいです。

東北本線の高久駅
黒磯の次の高久駅

豊原駅白坂駅の間にある黒川橋梁を渡って福島県に入り、ついに関東からみちのくへと進んでいきます。
まもなく新幹線と接続する新白河駅に到着。
人々の話す言葉に訛りを感じ始めるのもこのあたりからです。

東北本線黒川橋梁からの眺め
黒川橋梁からの眺め

黒磯~新白河間は文化圏の境界という意味で、東海道本線の大垣~米原間と同じような位置づけです。
先ほどワープの効果があると説明したばかりではありますが、この変化を感じ取るためにも普通列車を利用したいものです。

撮影スポットとしても有名な東北本線の黒川橋梁
撮影スポットとしても有名な黒川橋梁

新白河から先は比較的平坦な線路を走ります。
特に泉崎駅を過ぎてから須賀川駅の前までは、普通列車であれば駅の停車以外はほぼフルスピードを維持できるほど線形が良いです。

やがてジャンクションとなる郡山駅に到着します。

郡山からはまた曲線や勾配が多くなり、福島まであまり開けた地形はありません。
この区間の景色の注目としては、金谷川駅付近で進行方向左側に吾妻山が見られることですが、一番の見所は複線化に際して行われた勾配緩和です。
東北本線といえども20‰を越える勾配が点在しますが、坂を下りるならともかく、上り勾配だと輸送力が低下してしまいます。
そのため複線化する時に既存の線路に並行した線路を増設するのではなく、迂回したりトンネルを掘ったりして勾配を緩やかな別線を設け、この坂が緩い方の線路を上り坂として使用しているのです。
これを「襷がけ線増」といいます。

実際に乗っていると上下線が非常に遠くに離れてしまって、とりわけ松川駅~金谷川駅~南福島駅は、まるで別の路線が分岐しているかのような錯覚にとらわれます。
それでも上下線は各駅ではちゃんと仲直りして合流するわけですから、線路選定はなかなか大変だったことでしょう。

東北本線の南福島付近で、上下線が離れる。
南福島駅付近、逆の東京方面行の上り線より。
右奥から延びているのが新幹線だが、下り線はその新幹線に沿って走っている。
別の路線と錯覚するほど上下線が離れているのが分かる。
東北本線の吾妻山の眺め
吾妻山の眺め

やがて奥羽本線の起点である福島駅に到着します。

福島駅からはしばらくは平坦の線路ですが、藤田駅からは25‰の上り勾配が始まります。
貝田駅を過ぎると宮城県に入り、なおも少し上った所がサミット。
そこから白石しろいしまで今度は25‰の下り勾配です。
この区間は上下線とも勾配改良されていません。

東北本線の藤田駅付近の車窓
宮城県目指して標高をあげていく

白石駅を過ぎると勾配は緩やかになり、白石川に沿って走ります。
進行方向左側には蔵王山が宮城県入りを歓迎するように、仙台へ向かう我々を見守っています。

東北本線の白石川と蔵王山の車窓
白石川と蔵王山

常磐線が合流する岩沼駅からはかなり乗客数が増え、以後仙台に近づくにつれて車内は混雑します。

南仙台駅からは高架線になり、沿線は完全に都会になります。
仙台駅は東京から約350㎞。
東海道本線だと名古屋とあまり変わらない距離です。

東北の中心都市仙台は、駅前以外は田舎で物足りなかったという意見も聞いたことがありますが、流石に駅は大きいです。
駅弁も多数あり悩んだあげく2つ買いました。

仙台駅の駅弁、厚切り牛たん弁当
仙台といえば牛タン。
厚切り牛タン弁当は食べごたえがある。
仙台駅の駅弁、鮭はらこめし
もう一つ昼食用に買ったのが鮭はらこめし。
ご飯がおいしく、スプーンのおかげでイクラが食べやすい。
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仙台~盛岡

小牛田と一ノ関で乗り換えが多い

仙台から盛岡までは小牛田と一ノ関で乗り換えるのが一般的です。
小牛田までは1時間に数本列車があるのですが、その先は1時間に1本程度です。
仙台からの列車は始発になりますが、結構混雑するので少し早めに席を取っておきましょう(松島が見える進行方向右側がお勧め)。

小牛田まではセミクロスシートのE721系もありますが、小牛田以北はロングシートの車両です。
ただしいずれの車両にもトイレは付いています。

また東北新幹線が東北本線と接続しているのは途中駅では一ノ関と北上だけで、かつ仙台以北は停車タイプの列車の本数も少ないので、ワープが使いづらい区間でもあります。

小牛田駅に並ぶ列車
小牛田駅に並ぶ列車

利府駅と「海岸線」

東北本線には仙台から少し先の岩切駅から枝分かれする、利府駅までの支線があります。
これは東北本線の旧線の一部です。

もともと東北本線の岩切~品井沼間は利府を経由した路線(通称・山線)でしたが、このルートの問題点は途中から16.7‰の勾配が連続することで、戦時中の蒸気機関車牽引の貨物列車にとってネックになっていました。
そこで松島海岸に山が迫っている地形をトンネルを多用して切り抜け、勾配や曲線も緩やかに抑えた「海岸線」(現在の東北本線)が1944年にひとまず単線(このとき用地は複線化する分も確保)で開通し、軍事輸送に貢献しました。
戦後も旅客列車が大幅に増強され、1962年に海岸線が複線化されると共に、山線の利府~品井沼間が廃止されて現在に至っています。

なお「海岸線」の開通と同じ年に、現在の岩徳線経由だった山陽本線が、海沿いで軍事施設が並ぶ柳井経由に切り替えられたうえで複線化されています。
このように鉄道網の発展は、戦争との関係抜きには語ることができません。

北上川に沿って走る

仙台駅を出発して岩切駅で前節で説明した旧線が分かれていきます。
その次の国府多賀城駅は普通の駅ですが、その駅名からは古代の「蝦夷」のロマンがあり、東北を旅していることが実感できます。

国府多賀城駅
歴史を感じる国府多賀城駅

塩釜駅~松島駅間は海岸沿いの山地をトンネルをくぐりながら走りますが、時々松島も車窓に現れる風光明媚な区間です。
東北本線から海が見えるのはここだけで、第三セクターも含めた青森まででも他は浅虫温泉付近くらいです。

東北本線からの松島の眺め
日本三景の松島が見える
東北本線からの松島の眺め
現・東北本線で海が見えるのはこの区間だけ

なおこの辺りは仙石線が近づいたり離れたりしてきます。
仙石線は私鉄だったのを国鉄が買収した路線で、そのためか駅間距離が短い郊外路線の様相です。
電化されているとはいえ単線の仙石線に対して、我らが堂々たる幹線である東北本線は、その風格の違いを見せつけるように走っていきます。

東北本線から見た仙石線
仙石線の線路が見え隠れする。
向こうの駅間は東北本線と違い短い。

品井沼駅からは水田や畑が多くなります。
小牛田駅から先も同様で、時々丘陵地帯を抜けますが、基本的に直線主体の線路で水田を駆け抜けていきます。

東北本線の小牛田付近の車窓
直線で水田地帯を進む

花泉駅からはようやく本格的な山越えが始まります。
といっても改良工事のおかげで勾配も曲線も大して急ではありません。
また、ここでも上下線は離れています。

東北本線の一ノ関手前の丘陵地帯
一ノ関手前の丘陵地帯。
上下線が離れているため単線に見える

勾配が落ち着いたところで一ノ関駅に到着します。
ちなみに山越えの途中に県境があるのかと思いきや、宮城県と岩手県の境目は花泉の一つ前の油島駅と、そのもう一つ前の石越駅の間にあります。

乗換となる一ノ関駅はわりと大きな駅で、ホームに駅弁売り場が、待合所にはそば屋がありました。

一ノ関駅の駅弁「海鮮三色丼」
一ノ関駅の駅弁、海鮮三色丼
贅沢な海の幸の共演

さらに北へと向かい、世界遺産のある平泉駅を過ぎると北上川に沿って走ります。
右手にはなだらかな北上山地が見られます。

東北本線からの北上山地
北上山地と北上川の支流

このあたりから北上駅までは、他の東北本線の区間と比べても乗客数も少なく、広い畑の中に防雪林に守られた家が点在している風景が広がります。

東北本線沿線の防雪林
このあたりは他の区間と比べて雪が多かった。
そのためか防雪林が目立つ。

北上駅、そして花巻駅と大きな駅に着くたびに乗客は増えていきます。
車窓では両手に山が近づいてきます。

左側は雪をかぶって険しい奥羽山脈がそびえ、右手には相変わらずなだらかな北上山地が横たわっています。

東北本線の北上山地の車窓
右手のなだらかな北上山地
東北本線の奥羽山脈の車窓
左手の奥羽山脈はより尖っている

岩手飯岡駅の手前で盛岡貨物ターミナルが現われ、なおも進むと東北本線の終着駅になった盛岡駅に到着します。

東北本線の盛岡駅
終着盛岡に到着

この先の東北本線はIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道による運営となっています。
引き続き、盛岡から青森までについては以下記事をご覧ください。

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普通列車の所要時間は?

青春18きっぷなどを使って普通列車に乗車して行く場合、上野から黒磯までは3時間弱、以降は乗り継ぎの良し悪しに左右されますが、黒磯から仙台まではおおよそ4時間くらい。
仙台から盛岡までも目安で3時間半程度です。

単純に足し算すると仙台まで7時間、盛岡まで10時間半となるのですが、仙台での乗り継ぎは悪いことが多いので注意してください。
巷で囁かれる「接続逃げ」を意図しているのではないかと思われても仕方がないケースもあります。

 東海道本線と比べても線路条件が良いので列車のスピードは速いですが、新快速のような特急並みの速さを誇る列車はありません。
ただ、東京口に小山まで快速運転する列車と、福島~仙台間に数往復「仙台シティラビット」の設定があります。

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みちのくへの旅路

古代に坂上田村麻呂が蝦夷征伐を行って、「日本の国土」になった東北ですが、歴史的にも東海道・山陽方面と比べてこの地域の発展は遅れていたのが事実でした。

鉄道は近代国家の統合の象徴でもあります。
当時民鉄だった日本鉄道が青森までの鉄道を全通させた時、東北で飢饉があっても餓死者は出るまいと安堵したといいます。
そして昭和43年10月(ヨンサントオの改正)に全線複線電化が完了して高規格路線として生まれ変わったことで輸送力は飛躍的に増大し、一層頼もしい幹線となりました。

上野からの10時間は、特急が走らないのが勿体ないくらい立派に近代化された東北本線の線路・いくつかの峠越え・松島付近の海岸、そして親しみも畏れもある雪を被った名峰を堪能するのに大忙しだった。

当サイト管理人masaki 2019年12月の日記より抜粋

東北本線の列車の旅の魅力は、この路線が果たした北日本の近代化に思いを馳せると同時に、それでもなお変わらない自然や文化、そして方言の違いを感じるところにあります。

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