青春18きっぷで東京から青森へ、普通列車でのおすすめルートを比較【所要時間や車窓など】

旅行術
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首都圏から普通列車で東北の青森駅を目指す際に候補となるルートについて、所要時間や車窓などを比較検討します。
本記事では主要幹線だけでなく、ローカル線を経由したパターンも紹介します。

1964年10月号の交通公社の時刻表より。
上野~青森だけでも3つの経路の急行が運転されていた。

なおここでの「東北本線」は盛岡~青森の第三セクター鉄道各社も含めています。
またダイヤについては2020年3月の時刻表に基づいています。

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東北線

東北本線経由(八甲田ルート)、所要時間目安:14~15時間

東北本線をひたすら乗り継いでいく最も一般的な経路です。
急行「八甲田」がこのルートで上野~青森に運転されていました。

この選択肢の特徴は何より距離が短くて、昭和40年代までに線路が改良されたおかげで普通列車のスピードも早いことです。

青森県の野辺地付近。
寂しい山間部だが線形の良い線路が敷かれている。

海が見えるのは2か所で、一つ目は松島付近、もう一つは青森も近い浅虫温泉付近です。
東北地方とはいえ太平洋側なので、12月でも仙台まではほとんど雪はありません。
黒磯~仙台にかけて接続が不便なこともあります。
ただ東北新幹線が並走しているので、チョイ乗り(通称・ワープ)することで時間短縮がしやすいという点もあります。

松島の風景

大きな欠点としては、盛岡から先はIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道の区間なので、基本的に青春18きっぷが使えないことです。
特例として八戸で改札を出て、その後途中下車しない場合のみ、八戸~青森では青春18きっぷが有効ですが、それでも盛岡~八戸の3110円は必要です。
盛岡~八戸までワープするのも手ですが、いわて沼宮内~八戸は東北本線で最も本格的な山越えをする区間なので、なるべく避けたいところです。

「奥中山越え」と呼ばれる東北本線きっての難所

北海道&東日本パスなら盛岡~青森間でも適用可能なので、そちらを利用するのが最適です。
普通列車の所要時間は仙台までが7時間、盛岡まで10時間で、さらに青森までは3時間半程度を要します。
仙台駅や盛岡駅での接続は悪いケースも多いのが要注意ですが、北海道&東日本パスを使って北海道に行く道中なら、この「八甲田ルート」がおすすめです。

常磐線経由(十和田ルート)、所要時間:仙台まで7時間

急行「十和田」と同じく、仙台まで常磐線を使うルートです。
冒頭の時刻表の写真からも分かる通り、常磐線は東北本線が全面的に改良される1968年10月(いわゆるヨンサントオの白紙ダイヤ改正)までは勾配も曲線も少ないということで、上野~青森間の特急「はつかり」など多くの優等列車はこちらを経由していました。

東日本大震災からしばらく区間運休が続いていましたが、2020年3月についに全線で運転を再開しました。
内陸を走る東北本線と比べて山越えも少なく平坦な線路ですが、海が見える区間は結構あります。
特に久ノ浜付近の自然の海岸の風景が美しいです。

久ノ浜付近の海岸は絵になりそうな風景

いわき~原ノ町は普通・特急ともに運転本数が少ないですが、接続さえよければ「八甲田ルート」とほぼ同じ所要時間の7時間程度で、仙台までたどり着くことができます。
とりあえず海が見たいという人はこの「十和田ルート」をおすすめします。

花輪線経由(よねしろルート)、所要時間:盛岡から5時間

「八甲田ルート」では盛岡~青森が第三セクターになってしまうことの解決策として、花輪線で奥羽本線の大館に出る方法が考えられます。
この場合だと追加料金は盛岡~好摩の660円のみで済みます。
花輪線は紛れもないローカル線ですが、実は路線距離としては東北本線経由とさほど変わらず、現に東北自動車道も「よねしろルート」の近くを通っています。

列車の速度は遅く本数も少ないですが、近代化された幹線にはない魅力があります。
好摩で東北本線と分かれてしばらくは岩手山を望みながら走りますが、松尾八幡平あたりから急勾配を登り始め、高原鉄道のような趣が感じられます。
その後も米代川に沿った奥深い山間部を走り、途中には鄙びた温泉街もあります。

湯瀬温泉は雪に閉ざされた風情ある街
急勾配を下る。
運転席横に立つと、まるでスキーをしている気分になれる。

所要時間は盛岡~大館が3時間、大館から奥羽本線で青森まで1時間半です。
東北本線の「八甲田ルート」よりも1時間半くらいは余分にかかります。

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奥羽本線経由(津軽ルート)、所要時間:16時間

東北本線で福島まで行き、そこから奥羽本線で山形・秋田を経て青森に至るルートです。
上野発奥羽本線経由青森行きの急行「津軽」は出世列車として知られていました。
高度経済成長期の集団就職で「金の卵」と呼ばれた若者たちは、故郷の秋田や青森をボロい普通列車で離れて、一人前になって帰省する時には「津軽」に乗車することが故郷に錦を飾るとされていた時代がありました。
年配の方の書いた書籍では、「津軽」は「八甲田」「十和田」も含めた上野・青森間急行三人衆の中でも、最も「出稼ぎ風」で「泥臭い」列車だと回想されることが多いです。
現在秋田~青森で運転されている特急「つがる」は、その末裔といえるかもしれません。

話は逸れましたが、奥羽本線の特徴は一部が山形・秋田新幹線となっているために線路幅が途中で変わることです。
各都市を東京と直結させるために沿線都市と他の線区への流れは寸断されてしまった、新幹線ありきの時代における亜幹線の姿です。

新庄駅にて、手前が福島方面からの線路で、奥が秋田方面への線路。
奥羽本線の線路は繋がっていない!

奥羽本線経由の場合、福島~米沢の「板谷峠越え」が最初で最大の難関です。
スイッチバックは解消されましたが、今なお日本屈指の勾配区間となっており、普通列車は極端に少ないです。

福島~米沢は険しい地形に建設された線路

車窓は「ここが絶景」といった点は特にありませんが、海側の路線と比べるとはるかに雪が多く沿線人口も少ないです。
そんな東北らしい風情を「泥臭く」列車を乗り継ぎながら感じるのが、「津軽ルート」の旅の楽しみといえましょう。
福島からの所要時間目安は10時間程度で、最短の「八甲田ルート」よりも1時間半程度長くなります。

最後に奥羽本線沿線の人にマイナスイメージとなりかねないことを書いてしまったので補足しておきます。
といっても完全に余談ではあるのですが、秋田もさることながら、特に山形と青森は私の知り合いも含め美人が多いです。(私が何度も普通列車に乗って見てきた、質の高いサンプルによる判定結果なので信用してもらって結構です。)

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羽越線

羽越本線経由(鳥海ルート)、所要時間:最短17時間

東京から高崎線・上越線で新潟(または新津)まで行き、そこから羽越本線で日本海に沿って秋田に至るルートです。
遠回りにはなりますが、早朝一番の上野5時13分発高崎線の列車に間に合えば普通列車だけで深夜22時18分に青森駅になんとかたどり着けます。

この「鳥海ルート」の特徴は何といっても車窓の面白さにあります。
高崎線・上越線の渋川あたりまでは平凡ですが、徐々に高度を上げて山間部に入り渓谷を見ながら温泉街のある水上に到着します。

渓谷に沿って北へ進むにつれて、季節が春から冬へと戻っていく

そこから長いトンネルを抜けた先に雪国の風景が突如広がるという、非常にドラマチックな展開が上越線の魅力です。

羽越本線も上越線に負けず劣らず車窓が魅力的です。
新潟(新津)からしばらくは越後平野を淡々と走りますが、村上から日本海の笹川流れの景勝を見ながら走ります。

笹川流れの絶景

海岸から離れると庄内平野の向こうにまずは月山、そして鳥海山の美しい姿を眺めます。
山形県から秋田県にかけてまた切り立った断崖の海岸線の景色になるといった具合に、とにかく忙しくて困るのが「欠点」です。

庄内平野と山容の美しい鳥海山

所要時間ですが、上記の唯一の1日で青森に行く場合だと、新潟まで6時間、新潟から秋田までが6時間半です。
長岡~新潟と秋田~青森は快速に乗ることができるため意外と早いのです。
1日だと無理がありますが、車窓重視派の人には是非おすすめの「鳥海ルート」です。

五能線経由(深浦ルート)、所要時間:秋田から6時間

正確には奥羽本線の回り道ですが、羽越本線が気に入ったら東能代からは五能線に乗るのもおすすめです。
五能線は北東北の日本海側の肩のコブを形成する路線で、その日本海と北国の寂寥感により、日本一沿線の風光に秀でたローカル線として不動の人気を誇っています。

白神山地と日本海に抱かれた深浦町の漁村の風景
白神山地と日本海に抱かれた深浦町の漁村の風景

海が見えるのは八森から鳴沢にかけての約80㎞です。
日本海が見える路線は日本に多数ありますが、五能線の車窓は他の路線と比べても一際ローカル線らしい旅情を醸し出しています。
さらに日本海の風景もさることながら、海から離れた直後に現れる岩木山の麗姿や津軽平野に一面に広がるリンゴ畑の景色も非常に印象的です。

五能線の沿線風景を語るうえで、岩木山とリンゴ畑も忘れることはできない

「リゾートしらかみ」が秋田~青森まで直通運転されて便利ですが、ローカル線らしさという観点だと、地元の人の難解な津軽弁を聞きながら普通列車に乗る方が良いと思います。
五能線経由での秋田~青森の所要時間は約6時間。
「津軽ルート」では同区間3時間程度なので時間はかかりますが、それを補って魅力があるのが「深浦ルート」です。

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みちのくの線路たち

鉄道の建設には、近代国家統一の手段としての政治的な側面もありました。
まだ資本蓄積や社会統合が進んでいなかった明治時代の東北地方、及び青森から津軽海峡を介した北海道では、特にその傾向が強かったものと思われます。

東北本線・奥羽本線、そして羽越本線はこれらの沿線都市と、東京をはじめとする本州中部を結びつける役割を担い、昭和中期までにその重要度に応じて近代化されました。
東北本線は全線複線化されていますが、その他の本線や常磐線には単線が残っています。
そして花輪線・五能線は全線単線非電化です。

青森駅に至る沿線の景色・風物だけでなくこうした背景も知っておくと、一層それぞれの路線の特徴が理解されることでしょう。

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