【東北の高原列車】冬の花輪線の雄大にして情緒ある車窓

ローカル線
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花輪線はIGRいわて銀河鉄道の好摩駅から奥羽本線の大館駅までを結ぶ路線です。
太平洋側から日本海側へと奥羽山脈の分水嶺を越えるため、全国的にも屈指の山岳路線となっています。
2019年の12月に盛岡駅から花輪線の列車で大館駅を目指しました。

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盛岡から大館までの花輪線の乗車記

盛岡~好摩は青春18きっぷは使えない

花輪線の列車は盛岡駅を発着しますが、好摩までの旧東北本線はIGRいわて銀河鉄道になっているので、青春18きっぷは使えず追加料金660円が必要になります。
一方、東日本北海道パスなら追加料金不要です。
また、盛岡駅のホームもIGRいわて銀河鉄道と同じで、一度改札を出てやや歩くので要注意です。

盛岡駅を出るとしばらくは複線の架線の線路を快走します。
好摩駅からがいよいよ花輪線の始まりです。

好摩駅から松尾八幡平駅までのおよそ25分は、比較的カーブも少なく勾配もそれほど急ではありません。
左手に岩手山が望まれるところですが、あいにく私の乗車時は曇って見えませんでした。
松尾八幡平駅を出るとすぐに33.3‰の急勾配が始まります。

花輪線の松尾八幡平駅付近の車窓
松尾八幡平駅までは平坦な道を行く。
天気が良ければ岩手山が望まれる。
松尾八幡平駅
松尾八幡平駅からの前面展望。
ここから急勾配が始まる。

上り勾配は次の安比高原あっぴこうげんまでの7㎞にわたって続き、この区間をディーゼルカーは10分かけて走ります。
車窓は高原列車そのもので、都心の日帰り旅行ではお馴染みの小海線に似た趣があります。
この辺りが花輪線のハイライト区間といってもよいでしょう。
松尾八幡平駅に着いた頃には雪は全く見なかったのですが、たちまちのうちに一面の銀世界となってしまいました。

花輪線の安比高原駅付近の車窓
険しい山間部を走る。
花輪線の安比高原駅付近の車窓
高原列車のような風景が広がる

勾配のサミットとなる安比高原駅は花輪線の最高地点ですが、標高は500m少々で思ったほど高くはありません。
この駅付近では、それまで曇ってどんよりしていた空が晴れていました。

花輪線の安比高原駅付近の車窓
安比高原駅付近

今度は同じく33.3‰の勾配を下っていきます。
急な坂をブレーキを掛けながら右に左にカーブする様子を、運転席の傍から前方を眺めていると、まるでスキーをしているようです。

花輪線の安比高原駅付近の車窓
急勾配を下っていく

やがて勾配が緩み、周りに集落が見え始めます。
荒屋新町駅は扇形機関庫と転車台があり、この辺りでは大きな駅です。

花輪線の荒屋新町駅の転車台
荒屋新町駅の転車台
花輪線の荒屋新町駅の機関庫
荒屋新町駅の機関庫

米代川に沿って山間部を走る

横間駅~田山駅間は2度目の峠越え区間ですが、1度目と比べると距離・勾配も控えめです。
それでも25‰と鉄道としては急な坂であることには変わりません。
田山駅からしばらくは10回以上米代川を渡り、雪景色の山間部の渓谷が美しいところです。

兄畑駅を出てすぐに岩手県から秋田県に入ります。
次の湯瀬温泉駅のひなびた雰囲気もローカル線らしい風情があります。

花輪線の湯瀬温泉駅
湯瀬温泉駅の温泉街

なおも川幅は狭くなる米代川を何度も渡りながら下っていきますが、八幡平駅からは車窓が開けてきます。
鹿角花輪かづのはなわ付近では遠くの山がとても美しく望まれます。
思えばここに来るまでの間、目まぐるしく天気が晴れたり曇ったりと変わっていました。

花輪線の米代川の車窓
米代川を頻繁にわたる

十和田南駅でスイッチバック

十和田南駅はスイッチバック式の構造ですが、これは駅構内の勾配緩和のためではなく、ここから北への路線計画があったためです。
また花輪線建設時に地元の馬車業界の反対運動があったことも影響しているのかもしれません。
そういえば、この駅は昔は毛馬内という名前でした。

花輪線の十和田南駅
十和田南駅はスイッチバック式なので、先は行き止まりになっている。

ここから先も盆地の中を米代川に沿って進みますが、それまでの渓谷とは違った穏やかな表情の川です。
周りは水田が広がり、一部では雪解け水によって濡らされていて、どうもみっともない姿に見えます。

花輪線の米代川の車窓
米代川の川幅も広くなった

終点の一つ手前の東大館駅は大館の市街地に近く、飲食店などの商店はこの辺りに集まっています。
やがて電化された奥羽本線の線路を乗り越すと、大きくカーブしながらそれに寄り添って大館駅に到着します。

花輪線の終着、大館駅
花輪線の終着、大館駅

大館は忠犬ハチ公の故郷として知られているだけでなく、比内地鶏の産地で、きりたんぽ発祥の地という、秋田の魅力の真髄ともいえる場所です。

大館駅ホームにあるハチ公神社
ホームにあるハチ公神社

大館駅は駅弁の「鶏めし」が有名です。
またこの駅の発車メロディーは地元のアーティストによる楽曲をアレンジした、抒情的な歌謡曲風のものです。

大館駅の駅弁、花善の「比内地鶏の鶏めし」
大館駅の駅弁、花善の「比内地鶏の鶏めし」。
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花輪線に特急「八幡平」の運転はアリか??

今まで見てきたように花輪線の線路条件は、およそ高速運転とは無縁の厳しいものです。
しかし盛岡から青森までの経路を考えた時、実は花輪線を使った好摩・大館経由は東北本線とほとんど変わらない距離です。
東北自動車道も岩手県から青森県にかけては、東北本線よりは花輪線に沿って通っています。

そこで仙台~盛岡にかけての東北の太平洋側の都市と、大館から弘前にかけての日本海側の都市を結ぶ、仙台発花輪線経由青森行きの特急「八幡平」を走らせることを夢想してみます。
仙台~盛岡(180㎞余り)は東北本線なので2時間弱、盛岡~大館(125㎞程度)は花輪線の線形の悪さを考慮してやはり2時間弱、大館~弘前が30分程度の所要時間でしょうか。

高速バスの盛岡~大館間は所要時間も2時間半程度ですし、その他の競合区間(弘前方面など)でも「八幡平」にはそれなりの競争力はありそうです。
利用客に新幹線しか選択肢として与えられない近年ですが、新幹線で移動しづらい区間にこのような列車が設定されると面白いのですが…

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北東北の自然を感じる旅

花輪線の見せ場は、言うまでもなく途中区間の山岳鉄道らしい車窓にあります。
今回私が訪れた時の冬の雪景色も大変美しかったですが、四季それぞれの良さがあることでしょう。

花輪線の駅は「十和田南」や「安比高原」など、観光アピールのために変更されたものが非常に多いのが特徴ですが、運転されているのは普通列車のみで私の乗車した列車に関しても観光客らしき人は少なく、地元の人が多かったように感じます。

盛岡からは日本屈指の山岳路線である花輪線に乗る。エンジン音を響かせ、雪を舞い上げながら坂を上っていく。平地とは違って辺りは銀世界になった。
スキー客が数人利用していたが、一番車窓に似合っていたのは、頭巾を被ってみかんを剥いている婆さんだった。

当サイト管理人masaki 2019年12月の日記より抜粋

観光資源に恵まれた地域を走りながらも、ローカル色の濃い風情があるのが、花輪線の魅力の一つかもしれません。

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