【ああ津軽海峡・冬景色】青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸の見所や見学所要時間などを解説

東日本の博物館・資料館
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青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸は1964年から最終運行日まで青函連絡船として就航していた船です。
現在は博物館として、青森駅から徒歩5分程度の港に停泊しています。
当然ながら展示内容は青函連絡船にまつわるものですが、類似施設として津軽海峡の反対側の函館にある摩周丸があります。

摩周丸が連絡船についての歴史や工学的な知識についてアカデミックに詳しく紹介しているのに対して、こちらの八甲田丸の方は「青函ワールド」に代表されるような、昔の旅情を訴えかけるような側面が強いように感じます。
また、車両甲板が見学できるのも八甲田丸の特徴です。

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ノスタルジー溢れる青函ワールド

エントランスのチケット売り場は2階になります。
入り口近くでは連絡船の寝台室の飾り毛布が我々を迎えてくれます。
ボーイによる毛布を使ったこの芸術的なおもてなしは、何処か枯山水にも通じる、日本人の粋な美の表現だというべきでしょうか。

八甲田丸の飾り毛布
エントランス近くにある飾り毛布。
寒い日でも毛布を使うのが勿体ない程美しい。

階段を上った先にあるのが「青函ワールド」です。
これは昭和30年代の青森駅前の街並みや連絡船の待合室を、人形や道具で再現したジオラマです。
青函連絡船というとそこから紡ぎだされるのは、やはりその最盛期である昭和30~40年代のイメージが強いのですが、この青函ワールドはまさにそういった人々の懐かしいと感じる記憶の琴線に触れる世界観です。

リンゴや野菜・魚などを売る人々の表情や、商店の看板や小道具もよく造りこまれています。
音声も流れていて、お店の人の元気な声や地元の人と東京の人とのやり取りなど、とにかく臨場感たっぷりです。

八甲田丸の青函ワールド
生き生きとした人形や様々な小道具。
まるで昔の青森を歩いている気分になる。
八甲田丸の青函ワールド
リンゴ売りの元気な声とたくましい担ぎの女性。
スーパーマーケットが広まる前の商習慣がここにある。

ちなみに、青森行きの特急「はつかり」が蒸気機関車牽引の列車からディーゼル特急になったのが昭和33年(1958年)のことです。
その頃の東京から青森までの所要時間はまだ10時間以上。
新幹線で青森まで3時間で行ける現在とは違って、東北はまだ「みちのくへの旅路」だったのです。

ミニシアターがあり、10分弱の映像が2本立てになっています。
1つは青函ワールドの展示・保存に関わった人たちの苦労話で、もう一つは青函連絡船の概要とそのあゆみについて解説したものです。

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青函鉄道連絡船記念館で学ぶ

青函ワールドと同じく3階にあるのが「青函鉄道連絡船記念館」です。
このコーナーはいわば資料館に当たり、青函連絡船の歴史や昔の写真・備品などが展示されています。

八甲田丸の青函鉄道連絡船記念館の展示
青函鉄道連絡船記念館の展示
八甲田丸の青函鉄道連絡船記念館の展示
青函鉄道連絡船記念館の展示

グリーン車の椅子が残っている場所があり、座席に座って映像を見ることができます。
なおこのグリーン座席はリクライニング角度も大きく、読書灯・レッグレストも装備しており、古い割にはなかなか豪華な設備です。

八甲田丸のグリーン座席
グリーン座席に座ることができる

この他、グリーン車より上級の寝台室や船長室もあります。
興味深いのは青函航路の運航回数の実績を示したグラフです。
戦争で壊滅的な被害を受けて大きく落ち込んだ後に急増していますが、昭和40年代後半~50年代前半ごろにピークを付けています。

このころから本州対北海道の移動は航空機が主な交通手段となり、また国鉄の大幅な運賃値上げも影響して、青函連絡船の利用客は大きく減少しているのです。

八甲田丸の連絡船の運航回数のグラフ。
連絡船の運航回数のグラフ。
戦後急増し、昭和50年ごろから減少しているのが分かる。

3階の見学を終えたら、最上階の4階の操舵室に上がります。
見晴らしの良い広い部屋に古めかしい大きな機械があります。
船員の気分になって受話器を取ったり、レバーをガチャガチャいじることはできますが、もちろん船は動きません。

八甲田丸の操舵室
時代を感じる機器が並ぶ操舵室
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貴重な存在、車両甲板

4階の操舵室からはエレベーターで一気に1階まで降ります。
全体的にノスタルジックな雰囲気漂う摩周丸にあって、このエレベーターだけが新型です。

さて、八甲田丸の大きな魅力として、非常に珍しい車両甲板の見学ができる点が挙げられます。
1階の船のお腹の部分にはレールが敷いてあって、鉄道車両ごと輸送することができました。
人は自分で歩いて乗り換えができるので、実際にはこのスペースは主に貨物列車の貨車が詰め込まれていましたが、ディーゼル特急車のキハ82系も展示されています。

八甲田丸の車両甲板にあるキハ82形特急気動車。
キハ82形特急気動車。
外から少し車内も見える。
八甲田丸の車両甲板で、車両を搬入する出入口
車両を搬入する出入口

他の変わったところでは「控車ひかえしゃ」と呼ばれる車両で、連絡船に車両を搬入する際に、可動橋にかかる重量を軽減するために、機関車との間に挿入される車両です。
また線路の奥の車止めには、車両を固定するための連結器があります。

八甲田丸の車両甲板で、車止めの役割を果たす連結器
車止めの役割を果たす連結器
八甲田丸の車両甲板にある控車「ヒ600」
控車「ヒ600」

車両甲板の下の地下1階にはエンジンルームがあります。
今も油のにおいが漂う殺風景な部屋に、エンジンや発電機が壮観に並んでいる様子は圧巻です。

八甲田丸のエンジンルーム
迫力満点のエンジンルーム。
改めて船の大きさを知る。

エンジンルームを見たら、先ほどの1階の車両甲板を通って2階のエントランスに帰って来ます。

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見学に必要な時間は?

1時間半くらいが目安でしょう。
もっとも私はこの施設は複数回訪れたことがあるので、一部では軽く流した部分もありました。
ですから、初訪問でじっくり見たい人は2時間程度見積もっても良いかもしれません。

地下1階から4階まであるので館内は意外と見るところが多く、青函ワールドなんかは、その世界にどっぷりと浸かってしまう人もいるでしょう(特に年配の見学者にそういう人が多い気がします)。

なおグリーン座席から見れる映像の長さは2時間です。
目安とした見学時間は、ここで5分~10分程度費やしたケースを想定しています。

また、無料休憩所(喫茶店)も兼ねた売店がある函館の摩周丸と比べると、八甲田丸はエントランスに小さなグッズ売り場がある程度です。

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青森と共にあった青函連絡船

現役時代の青函連絡船の青森~函館間の所要時間は3時間50分で、「はやぶさ」の東京~新函館北斗間のそれとほぼ同じです。
そもそも青森駅まで在来線電車特急でも8時間以上かけてからの船旅ですから、航空機が大衆化する以前は北海道に行くのは随分と不便だったものです。

しかし八甲田丸が語りかけているのは、そうした不便さの中にあった旅情の尊さです。
とりわけ「青函連絡船」と聞いて、「津軽海峡・冬景色」の前奏の三連符が脳裏をよぎるような人にはたまらない施設でしょう。

八甲田丸の横にある津軽海峡・冬景色の歌謡碑
船の横にある津軽海峡・冬景色の歌謡碑。
前に立つと曲が流れる(音量注意!)。

八甲田丸は青函連絡船の博物館であると共に、青森市の郷土博物館でもあり、それこそが連絡船がいかに地域の発展と不可分であったかの証左なのです。

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