SLや電気機関車の聖地、横川駅隣の碓氷峠鉄道文化むらの案内

東日本の博物館・資料館

碓氷峠鉄道文化むらはJR信越本線横川駅に隣接した鉄道博物館です。
北陸新幹線(長野新幹線)の開業に伴って廃止された信越本線横川~軽井沢間(通称ヨコカル)の歴史や活躍した車両の展示を主にしています。

やはり碓氷峠といえば「峠のシェルパ」ことEF63ということで、電気機関車の展示が非常に充実しています。
また碓氷峠とはあまり関係ないものの、貴重な機関車(蒸気機関車やディーゼル機関車も含む)もみることができるので、

機関車なんて地味じゃないの?

という人も楽しめると思います。

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入り口付近に食事のできる売店や遊具もある

碓氷峠鉄道文化むらにあるアプト式のラックレール付きの66.7‰の勾配
アプト式のラックレール付きの66.7‰の勾配

子供連れへの配慮からか、いきなり厳めしい機関車に対面させるのではなく、遊具のあるスペースや食事のできる売店などがお手柔らかに迎えてくれます。
土日には横川駅の名物駅弁「峠の釜めし」も売っているそうです。

まあ、このサイトを見てくれているあなたは、さっさと展示車両の方に向かうでしょうが。

189系の車内見学ができる

碓氷峠鉄道文化むらの189系の懐かしい車内
189系の懐かしい車内

入り口から進んでやや右の方に展示されている国鉄色の189系は、車内にも入ることができます。

リニューアルされていない国鉄型らしい雰囲気を残しています。
簡素なリクライニングシートや、冷水器、便所使用知らせ灯など、国鉄車両ファンの琴線に触れる設備が揃っています。

座席に座っていると、あの鉄道唱歌のオルゴールが聞こえてきそうです。

189系の冷水器と洗面台
国鉄ファンなら誰もが嬉しくなる設備

鉄道展示館はEF62・EF63の世界

碓氷峠鉄道文化むらの電気機関車の運転席
電気機関車の運転席

189系のすぐ後ろにある旧機関庫を利用した鉄道展示館では碓氷峠の象徴であるEF63とEF62形電気機関車が余生を過ごしています。
機関車の運転台の他、内部の機械室も見ることができます。

無骨な機関車や機材に囲まれた空間には、鉄と塗料のにおいが漂っていて、何ともいえない魅力があります。
また、EF63や189系の疑似運転体験コーナーもあるそうですが、私が訪れた2019年7月末では調整中となっていました。

奥の方にはアプト式ED42 電気機関車が鎮座しています。
これは戦前に製造された車両で、通常のレールによる新線が開通した1963年まで運用されていました。
アプト式の特徴である歯車も見ることができます。

アプト式ED42形電気機関車
アプト式ED42形電気機関車
ED42形電気機関車の歯車
アプト式の歯車が見える
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屋外の展示車両は貴重なものばかり

碓氷峠鉄道文化むらの屋外展示スペース
屋外展示スペース

鉄道展示館からさらに奥に進んでいくと、たくさんの車両が壮観に並んだ屋外展示スペースが目の前に広がります。
碓氷峠鉄道文化むらのハイライトといってもよいでしょう。

また途中にはターンテーブルも残っています。

碓氷峠鉄道文化むらのターンテーブル
ターンテーブル

デゴイチことD51形蒸気機関車や珍しい客車

碓氷峠鉄道文化むらのD51形蒸気機関車
強者たちの中にあってもやはり存在感があるデゴイチ

センターポジションにいるのはD51形蒸気機関車、それに連結されているのはマイネ40形客車です。
「イ」という記号からも分かる通り(「ロ」が二等、「ハ」が三等。二等が現在のグリーン車、三等が普通車にあたる。)、三等級制度における一等車です。

それ以外にも10系客車ナハフ11形及び食堂車オシ17形や、凸型ではなく箱型を採用した除雪用にも使えるディーゼル機関車DD53 形などが展示されています。
残念ながら車内を窺うことはできませんが、貴重な車両たちに出会うことができます。

碓氷峠鉄道文化むらのDD53
珍しいスタイルのディーゼル機関車もある

歴代の電気機関車たち

碓氷峠鉄道文化むらのEF58とEF30
EF58とEF30

EF30、EF58、EF60、EF65といった電気機関車の歴代の名車たちが勢ぞろいしています。
当施設の面目躍如といったところでしょう。

特にEF58は1940年代から50年代にかけて製造され、貨物列車・客車列車全盛の時代を支えた車両です。力強さと優美さを兼ね備え、客車と同じ色を纏った「青大将」として、特急「つばめ」の牽引を担った電気機関車の傑作です。

EF58の横にいるのが、下関~門司間の関門トンネル用に製造されたEF30。海底トンネルの塩害対策としてステンレス装甲となっています。

碓氷峠鉄道文化むらのEF65
ブルトレ牽引塗装のEF65

お座敷列車「くつろぎ」を利用した休憩所

碓氷峠鉄道文化むらで休憩室として使われているお座敷列車くつろぎ
休憩室として使われているお座敷列車

ミニSL乗り場の近くに茶色の客車があります。
12系客車を和風のお座敷列車に改造した車両で、ここでは休憩所に使用されています。冷房も効いているので、機関車に囲まれながら屋外の炎天下での見学の合間の休憩は「くつろぎ」どころか「オアシス」です。

1980年代にはバブル景気に乗って、こうした団体旅行客用のジョイフルトレインがたくさん造られました。
鉄道車両の車内というよりかは旅館にいるような感じです。

お座敷列車くつろぎの車内
旅館のような車内
お座敷列車くつろぎの車内
車内にはソファーもある
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ジオラマ・ショップもある鉄道資料館

外観からいかにも鉄道職員の施設だったことがうかがえる建物は、1階がジオラマやショップや写真の展示、2階は鉄道資料館となっています。

懐かしい車両が走るジオラマ

碓氷峠鉄道文化むらのジオラマ

1時間ごとにジオラマの実演が行われます。
485系・165系・200系と400系の併結など、一昔前の懐かしい車両たちが走ります。

演出では昼間の列車の後は夜になり、寝台特急「北斗星」や「サンライズエクスプレス」が走り始めます。

渋いコレクションが楽しい資料館

碓氷峠鉄道文化むらの鉄道資料館
碓氷峠の歴史を学ぶ

2階部分では碓氷峠の鉄道輸送に関する歴史・資料が展示されています。

それほど大きなコーナーではありませんが、アプト式鉄道から始まり、通常のレールによる粘着方式、EF63との協調運転、そして新幹線へのバトンタッチといった、碓氷峠における信越本線の輸送力増強の歴史がたくさんの資料と共に紹介されています。

アカデミックな内容以外でも、駅の案内標や列車の行先標(サボ)などのコレクションが豊富です。

碓氷峠鉄道文化むらの鉄道資料館
コレクションも充実
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所要時間・ 「峠の湯」 とのアクセスについて

所要時間は途中の休憩も含めて、2時間程度です。
食事する時間は含めません。
当施設から天然温泉「峠の湯」まで、3~11月の土日祝日と8月の毎日、トロッコ列車(有料)が運行されています。

なお、有名なめがね橋までは「峠の湯」からさらに40分くらい歩いたところにあります。

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まとめ

碓氷峠鉄道文化むらは、現在では新幹線がトンネルであっという間に通過してしまう碓氷峠のドラマを存分に感じることができる施設です。

より少ない労力でより速くい移動を可能にするのが近代化であり、それ自体は社会的に望ましいものではありますが、その近代化によって失われたもの、または人々の努力を評価し讃えるのも、立派な文化・遺産の継承のために必要なことだと認識させられます。

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