885系特急「かもめ」で行く長崎本線の旅【車窓・駅弁・見所】

幹線

長崎本線は鹿児島本線の鳥栖駅がら分岐して、長崎駅に至る路線です。

明治31年に、現在の佐世保線・大村線経由で長崎本線として開通しますが、有明線として建設された肥前山口~多良~諫早間の全通により、昭和9年に現在の長崎本線の形となりました。

航空機が未発達だった時代、長崎は日本の西の玄関口としての機能を持っており、1942年の関門トンネル開通時には日本を代表する特急「富士」が東京~長崎(または長崎港)間を運行していました。

戦後も「あさかぜ」の補完列車だったとはいえ、寝台特急「さちかぜ」が1957年に「富士」の実績から行き先を博多から長崎に延長しています。
鹿児島行きの「はやぶさ」が登場するのはその翌年です。

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885系白いかもめに乗車

鳥栖駅に停車する885系白いかもめ
鳥栖駅に停車する885系白いかもめ

今回の旅行では時間の都合もありますが、やはり日本を代表する特急電車である885系に乗車します。

普通車の車内なのにグリーン車と間違えた」と言う人がよくいるほど、普通車でも黒の革張りの座席が並ぶ高級感のある空間が特徴です(ただし、走り出すとかなり揺れます)。
また、気分転換にちょうどよいフリースペースも設置されています。

振り子式車両なので急カーブが連続する長崎本線で、その威力をいかんなく発揮します。
鳥栖から長崎までおよそ1時間半、博多からだと2時間弱です。
関連記事:振り子車両の集大成は「白いかもめ」、885系車両ガイド【普通車・グリーン車の車内や座席など】

885系普通車の車内
885系普通車の車内
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鳥栖~肥前山口は有数の特急街道

古い佇まいが印象的な鳥栖駅

鳥栖駅のホーム
古めかしい鳥栖駅のホーム

長崎本線の始点である鳥栖駅は歴史あるホームの構造が趣のある駅です。
九州新幹線の新鳥栖駅が開業しても、この駅の風格が損なわれることはありません。
ちなみに、鹿児島本線でさらに進んだ久留米駅は福岡県ですが、鳥栖駅は佐賀県に位置しています。

長崎本線の始まりに相応しく、鳥栖駅のホームには駅弁と駅そばの売店があります。
しゃおまい」はシンプルなシュウマイ弁当ですが、中身が肉らしい味わいでとても美味しく、値段が安いのも魅力的です。

鳥栖駅の駅弁、焼麦弁当
鳥栖駅の駅弁、焼麦弁当

駅舎も明治時代の建築でレトロな魅力あるので、本当は特急で素通りなどせずに、途中下車してゆっくりと見学したい駅です。

車窓より特急の走りっぷりが見物

この区間は平坦な水田地帯を走り、車窓は特に印象的ではありません。
カーブも比較的少ない区間なので、特急列車に乗車してスピード感を楽しむのが良いと思います。

鳥栖駅から鹿児島本線と別れてまもなく、新幹線と接続する新鳥栖駅に着きます。
新鳥栖駅には最速達タイプの「みずほ」以外の列車は全て停車します。
また、途中の佐賀駅は都会らしい高架化された駅です。

佐賀駅
高架化され近代的な佐賀駅

肥前山口駅までは複線かつ最高速度が130㎞。
長崎行きの「かもめ」と佐世保行きの「みどり」、ハウステンボス行きの「ハウステンボス」(「みどり」に併結)が1時間当たり計3本行き来する特急街道です。

「かもめ」は885系と787系。
「みどり」は787系と783系、「ハウステンボス」は783系による運用です。
関連記事:民営化後初の特急車両、783系車両ガイド【普通車・グリーン車の車内・座席や運用など】

DXグリーン席付きの元つばめ担当、787系車両ガイド【普通車・グリーン車の車内・座席や運用など】

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白いかもめも難儀する肥前山口~諫早

急曲線の続く線路

長崎本線の車窓
海岸線に忠実に沿って走る

冒頭で説明した通り、この区間は当初の長崎本線全通後に海岸沿いのルート変更という形で、長崎本線に編入されました。
鹿児島本線の八代以南と同じようないきさつです。
詳細は
スイッチバックにループ線、肥薩線絶景の旅【いさぶろう・しんぺい利用】
を参照してください。

肥前山口からは単線で最高速度も120㎞になります。
といっても120㎞で走れるのは極僅かで、特に肥前鹿島駅からは戦前の規格に戻ったような急曲線が続き、それまで130㎞で稲穂を刈っていたのが嘘のような走りになります。

曲線半径が250mという、ローカル線でもあまりない程のきつい曲線が散在し、ここではさすがの885系「白いかもめ」も80㎞くらいでしか走れません。

海岸に沿った素晴らしい車窓

有明海・干潟そして雲仙岳が見える長崎本線の車窓
穏やかな有明海・干潟そして雲仙岳の眺め

本線といえども線形が非常に悪い区間ではありますが、海岸沿いの急曲線の路線のお約束として、車窓は非常に美しいものがあります。
ここからが長崎本線の本番といっても良いでしょう。

干潟と穏やかな有明海にひなびた漁港の風景が広がり、特急に乗っていてもまるでローカル線の旅をしている気分になります。
また海の向こうには雲仙普賢岳の姿も見えます。

青春18きっぷの代替ルート、佐世保線と大村線

さて、とはいうものの、ローカル線のように車窓が綺麗な区間のお約束として、やはり普通列車の本数が少ないという問題があります。ポリシーとして「特急でワープはなし」という人もいるでしょう。

そんな人に長崎へのルートとして提案できるのが、肥前山口から佐世保線・大村線経由です。
佐世保線は意外と普通列車でも本数が多く、1~2時間に1本は列車が来ます。
大村線は正真正銘のローカル線ですが、長崎県の主要都市やハウステンボスを結ぶため、長崎~佐世保間の快速「シーサイドライナー」の運転もあり、18きっぷユーザーにとって利便性の高い路線です。

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新線と旧線に分かれる諫早~長崎

トンネル主体の高規格な新線

長崎本線、喜々津~浦上の新線
道床の厚い高規格な新線

諫早駅は大村線だけでなく、島原鉄道との接続駅でもある交通の十字路です。

ここからは線形が良くなり、最高速度も130㎞に戻ります。
喜々津駅まで複線で、そこから旧線と1972年に開通した新線に分かれます(それぞれ単線)。

新線は山間部をトンネルを駆使して穿ち、喜々津~浦上間の距離は23㎞余りだったのが6.7キロも短縮され、曲線・勾配も大幅に緩和された高規格路線です。

特急や快速「シーサイドライナー」は新線を経由しますが、言うまでもなく車窓は旧線が優れています。

新線と旧線が合流する浦上駅は、かつて長崎駅と名乗っていた時代もありました。
ここから複線で南下し、長崎駅にたどり着きます。

なお、かつては長崎駅からさらに線路が伸びていたのですが、続きは
日本の西の玄関口、旧長崎港駅と廃線跡を辿る。【場所・行き方説明有り】
を参照してください。

旅情あふれる長崎駅と駅弁

長崎駅に飾られたステンドグラス
長崎駅に飾られたステンドグラス
長崎駅の構内
長いホームと留置線が線路の果てを思わせる

長崎駅は、鹿児島中央駅や宮崎駅と異なり行き止まり式の駅で、長いホームと留置線にも終着駅らしい雰囲気があります。
その意味で鹿児島本線の始点、門司港駅に似ています。
自動改札の上にあるステンドグラスも、異国情緒を演出しています。

関連記事:鹿児島本線(含・肥薩おれんじ鉄道)全線の旅【車窓・駅弁・見所情報】

長崎駅では駅弁の種類も多いですが、私が選んだのは鯨カツ弁当
鯨肉のそぼろ・竜田揚げ・カツの3種類の味わいを楽しむことができます。どれも鯨独特の風味を活かした味付けとなっています。
おそらくカツが主役なのでしょうが、他の2品も充分な存在感があります。

長崎駅の駅弁、鯨カツ弁当のパッケージ
パッケージのイラストも印象的な「鯨カツ弁当」
長崎駅の駅弁、鯨カツ弁当
3種類の鯨の味が楽しめる
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長崎新幹線はどうなるのか?

長崎本線の特徴は、区間ごとに線路改良された部分とそうでない旧態依然とした区間が存在することです。
そして、それは旅行者にとっては魅力ではありますが、効率的な輸送力という観点からは弱点といえます。

肥前山口~諫早の悪条件を克服するために、佐世保線の武雄温泉駅~長崎駅間で進められているのが、通称長崎新幹線です。

それなりの速達効果は見込まれるものの、残りの新鳥栖~武雄温泉間が在来線として残される問題があります。
解決策と思われたフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の開発も間に合わず、ならば残りの区間も建設しようにも佐賀県にしてみればメリットが少ないとして、話は難航しています。

個人的には、①新鳥栖~長崎の全線をフル規格の新幹線にして、新大阪と直結させるか、②武雄温泉~長崎を在来線と同じ狭軌にして、博多~長崎の特急を速達化する、のどちらかだと思います。
フリーゲージトレインは技術面はともかく、山陽新幹線の走行にJR西日本が否定的という報道もあります。

いずれにせよ、歴史ある国際都市長崎へと人々を運んできた長崎への鉄路が、大局観なき妥協の産物になり果てないことを祈ります。

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