生え変わったつばさ、E3系とその時代【普通車・グリーン車の車内や座席など】

新幹線車両
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秋田新幹線「こまち」誕生

二代目ミニ新幹線

「こまち」用のE3系
「こまち」用のE3系

E3系は1997年に、盛岡~秋田間の在来線を改軌した秋田新幹線用の車両として登場しました。
最初のミニ新幹線である山形新幹線には最高速度240㎞の400系が使われていましたが、東京~秋田間は通常の新幹線区間が長く、航空機と競争するために一層の高速化が求められていました。
そこで併結する「やまびこ」に使われるようになったE2系と共に、東北新幹線で275㎞運転を開始しました。

それまで「やまびこ」と特急「たざわ」の盛岡乗り継ぎで4時間半以上かかっていたのが、40分以上短縮されることになりました。
これは新幹線区間でのスピードアップのみならず、在来線区間でも改軌に伴い最高速度を130㎞に引き上げたことによります。
かくして、ほんの数往復だけとはいえ東京~秋田の所要時間は航空機に対抗可能といわれる「4時間の壁」をついに切りました。

山形新幹線にも進出

1999年には山形新幹線の新庄延伸を機に、E3系は「つばさ」用にも増備されました。
塗装は「こまち」用のものとは異なり、先輩の400系に準じたものになりました。

初代ミニ新幹線400系(左)。
鉄道博物館にて。

山形まで3時間程度の「つばさ」の併結相手は、200系やE4系といった足の遅い車両が多かったのですが、200系に続きE4系が2012年に東北新幹線から追い出されると、「つばさ」でもE2系と275㎞運転を始めました。
ちなみに、ミニ新幹線の400系やE3系とオール二階建てE4系のペアは、その体格差から語り草になりました。

初代ミニ新幹線である400系が引退した2010年からは、山形・秋田両ミニ新幹線の全ての運用を引き受け全盛期を築きます。

E6系登場により秋田新幹線からは撤退

2011年からは一部のE3系の列車では、当時の大型新人で「はやぶさ」の他に「はやて」「やまびこ」の運用も開始したE5系とも併結されるようになります。

しかし、それも束の間。
2013年にはE5系と同じ320㎞運転が可能で、見た目も美しい秋田新幹線のE6系が現われたことで、E3系はE5系からフラれてしまいます。
E6系による300㎞運転(当初の最高速度)を行う列車は「スーパーこまち」という、新幹線らしからぬ列車名が与えられました。

結局翌2014年には秋田新幹線はE6系に統一されて320㎞運転を開始します。
全ての定期「こまち」(車両統一により「スーパーこまち」の名前は廃止)が東京~秋田間を3時間台で結ぶようになりました。

このように2010年代前半というのは、東北新幹線車両の世代交代と高速化が一気に進んだ時代でした。

「つばさ」では新塗装で活躍

夏の紅花のロゴマーク
冬の蔵王のロゴマーク

一方の山形新幹線では400系の置き換えが進み、2010年には全ての「つばさ」がE3系となっていました。
E5系という高望みはせず分相応のE2系とのささやかな幸せを築いた山形新幹線用のE3系は、2014年には新塗装が施されました。

明るめの配色が多い東日本の新幹線車両たちですが、E3系の新塗装はインパクトはありつつも比較的シックな印象を受けます。
正面から流れていく赤いラインは、車体側面ではオレンジ色に変化しています。
またロゴマークも何種類かあり、山形の四季が表現されているそうです。

奥羽本線の福島~新庄間は、山形新幹線と呼ばれるようになって観光を意識した駅名が増えましたが、このような車両が走ることで沿線イメージの向上にも役立つものと思われます。

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E3系の運用

元「こまち」用編成は「なすの」「やまびこ」で生き残る

秋田新幹線での役目を終えた「こまち」編成ですが、東北新幹線で一部の「なすの」「やまびこ」として細々と運転されています。
それも一度フラれたE5系の付属編成としての運用です。
本命ではないが一応先輩として顔は立ててもらっている、といった趣でしょうか。

E5系とE3系16両編成で運転される「なすの」。
E5系との16両編成で運転される「なすの」。
鼻の長さがあまりに違う。

E3系の元「こまち」編成は東北新幹線で唯一の6両編成なので、E5系と合わせて16両編成の列車がこれに当たります。

「つばさ」では唯一無二の存在

前の章でも説明した通り、「つばさ」は全てE3系で塗装も新しいものになっています。
その他に特別仕様車として、福島~新庄で運転され車内に足湯がある「とれいゆつばさ」や、上越新幹線の越後湯沢以北を走り車内にアートが展示された「現美新幹線」があります。

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E3系の車内

普通車(元「こまち」編成)の車内と座席

E3系「こまち」編成の普通車の車内
「こまち」編成の普通車の車内

「こまち」用の6両編成は荷物棚に数列ずつある柱が特徴的です。
面白いデザインとみるか、鬱陶しいとみるかは人それぞれでしょう。
全体的に天井部分がこじんまりとした印象です。

座席は今となってはやや物足りない感じがするのは否めず、コンセントもありません。

E3系 「こまち」編成の普通車の座席
「こまち」編成の普通車の座席

普通車(「つばさ」編成)の車内と座席

E3系「つばさ」編成普通車の車内
「つばさ」編成普通車の車内

「つばさ」編成の車内は「こまち」のものと比べて結構雰囲気が変わります。
「こまち」編成の特徴だった荷物棚の柱が無くなり、天井部分がすっきりとしました。

座席の色も変わって少しグレードアップされたような気がします。
そして窓側にはコンセントもあります。

E3系「つばさ」編成普通車の座席
「つばさ」編成普通車の座席

グリーン車の車内と座席

E3系グリーン車の車内
グリーン車の車内

400系では3列だったグリーン車はE3系では3列になりました。
もちろん4列より3列の方が良いですが、私はそのことはさほど致命的には思いません。
そもそもグリーン車で隣の席に他人が座るケースに出くわしたことがありません。

ただし私が残念に思ったのは、窓から上が白いプラスチックでグリーン車にしては安っぽさを感じてしまうことです。
座席はレッグレスト付きでそれなりに快適なのですが、もう少し付加価値を付けてほしかったと思います。

E3系 グリーン車の座席
グリーン車の座席

車内販売は「つばさ」の一部区間のみ

E3系で運転する列車のうち「つばさ」には基本的に車内販売があります。
しかし営業する区間は東京~山形のみで、販売されている品物も限定的です。

お弁当やサンドイッチの他、ホットコーヒーも販売を終了しています。
ソフトドリンクやアルコール、菓子などが多少はありますが、あまりあてにしない方が良いかもしれません。

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「つばさ」に新型車両、E8系登場予定

2020年3月に山形新幹線の新型車両として、E8系の導入がJR東日本より発表されました。
2024年から営業運転を開始する予定です。

E8系の最高速度は300㎞でE5系と併結するとのことですが、E6系のように320㎞にしなかったのは275㎞を超えて運転する区間が宇都宮~福島に限られるためでしょう。
福島駅の改良と合わせて輸送改善が行われるようです。

もっとも「つばさ」の所要時間短縮はあくまで手段であって、真の目的は今や鈍足の部類に入るE2系やE3系を東北本線から撤退させて、北海道新幹線全通を見据えた東北新幹線全体のスピードアップを図ることだろうと思われます。

上記リンク先のプレスリリースによると、E8系は2026年に出揃うとのことなので、その頃にE3系が引退する可能性もありそうです。

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総評

車体が他の新幹線より小さいのでホームではステップが用意される

長きにわたってE3系は、東日本ならどの新幹線でも活躍できるE2系と比べて地味な存在でした。
各車両が文字通り独自カラーを打ち出すようになったのはE4系からで、E3系は塗装が似ている分、E2系の家来にも見えました。
その後登場した「つばさ」編成でも、先代の400系のカラーを踏襲するにとどまりました。

山形新幹線で新塗装になり新しい翼をまとったことで、今ではエレガントな雰囲気を醸し出しているE3系ですが、初登場から15年にしてようやく自身のアイデンティティーを獲得した苦労人でもあるのです。

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