才色兼備な秋田美人「こまち」、E6系とその時代【普通車・グリーン車の車内など】

新幹線車両
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秋田新幹線の新型車両「スーパーこまち」

異色の列車名「スーパーこまち」でデビュー

E6系は2013年に秋田新幹線用の車両として登場しました。
初代秋田新幹線の車両であるE3系による列車と料金面で区別するために、「スーパーこまち」という列車名が与えられました。
「スーパー○○」という名前は国鉄民営化後の90年代に、新型車両あるいはリニューアル車両を旧来の車両と差別化するために全国で使われましたが、2010年代にまさかの新幹線で復活するとは誰も予想しなかったでしょう。

もっともこれはつなぎのための便宜的な処置であり、1年後に秋田新幹線がE6系に統一されてからは「スーパーこまち」の列車名は消え、全列車が「こまち」になりました。

ミニ新幹線でも最高速度320㎞の性能を持つ

盛岡から在来線区間(田沢湖線と奥羽本線)を走るため、車体は他の車両よりもやや小さいミニ新幹線ではありますが、それでも相棒(彼氏?)のE5系と同じく時速320㎞で走ることができます。

お互いの鼻の長さといい、色といい、非常に映えるE5系とE6系のカップル

E3系でも何とか東京~秋田間の所要時間は3時間49分を実現していましたが、これは停車駅を少なくした最速列車に限ったことであり、平均では4時間20分程度でした。
そのため宣伝文句としては「3時間台」が使えても、実態としてはまだまだスピードアップが期待されていました。
かくして、秋田新幹線の車両がE6系に統一されたことで全ての定期「こまち」の所要時間は、航空機との競争で優位に立てると言われる「4時間の壁」を越えることができました。
最速列車の所要時間は3時間37分です。

東北地方の中央部には背骨のように奥羽山脈がそびえており、日本海側の都市に行くには横断線で山越えをしなければなりません。
そのため新幹線が到達した青森と比べても、在来線区間で時間のかかる秋田は鉄道地図において遠い存在だったのです。

新幹線区間で使用している車体傾斜装置を線形の良くない在来線区間でも稼働すればさらにスピードアップしそうですが、やはり様々な制約から難しいのでしょう。

ところで、盛岡~大曲間の田沢湖線は昔は単線非電化のローカル線でしたが、東北新幹線開業に伴い電化され、新幹線と連絡する秋田行き特急「たざわ」が走るまでに大出世した路線です。
もっとも、田沢湖線が在来線から新幹線の軌間になっても山間部を走る単線であることに変わりはなく、それまで320㎞で走っていた列車が山奥深くの信号場で対向列車待ちをするという、何とも違和感のある光景が見られます。
そのため列車によって所要時間に幅があるのが秋田新幹線のダイヤの特徴です。

また大曲~秋田間の奥羽本線は複線ですが、改軌されたのは片方の線路だけなので、在来線(普通列車)と新幹線のそれぞれの単線が2つ並んでいる形になります。
そのため走行中の普通列車が、隣の線路を同じ方向で走る新幹線電車に抜かれることもあります。

美しいデザイン

E6系の先頭部分
大胆な赤によってよく目立つ

E6系の最大の特徴は、やはりその気品のある赤の鼻立ちでしょう。
車体側面のしっとりとした白の美肌によって、それはより一層引き立てられています。
やはり前照灯はE5系のように中央部に集まっているよりも、左右が明確になっている方が人間らしく親しみを感じるように思います。

カラフルなJR東日本の新幹線車両たちの中でも、E6系はひときわ目立つ存在です。
とはいっても、決して派手な装いをした品のない田舎のギャルではなく、洗練された美しさを備えた秋田美人です。

E6系の車体側面
車体側面。
赤・銀・白の組み合わせが美しい。

それにしても、新聞紙を敷いて上野駅のホームで列車を待ち、ごみが散乱した急行「つがる」の車内で見ず知らずの人と一晩過ごした昭和40年代までの乗客たちは、現在は秋田までこんな綺麗な車両に乗って4時間未満で行けると知ったら、どんなに驚くことでしょうか。

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E6系の車内

普通車の車内と座席

E6系の普通車の車内
普通車の車内

普通車は新幹線車両ながら横4列の座席です。
明るすぎない黄色の座席は、たわわに実った稲穂を連想させます。
そして床にも田んぼを歩いているような表現が施されています。

個人的にE6系の内装で気に入っているのは照明のカバーです。
デザイナーによって意図されているのかどうかは知りませんが、古い旅館を思わせるようなシックな雰囲気に仕上がっているように感じます。
私は普通車に関しては、全国の新幹線の中で最も優れたインテリアデザインだと思っています。
また窓側の座席にはコンセントが設置されています。

E6系の普通車の座席
普通車の座席

グリーン車の車内と座席

E6系のグリーン車の車内
グリーン車の車内

グリーン車も普通車と同じで横4列の座席が並んでいます。
床のカーペットや妻面の深い青で、客室のドアや肘掛けは木目調ですが、この組み合わせはJR北海道の車両に似ています。
照明の光具合がやや異なり、グリーン車の方がより一層品の良さが感じられます。

座席は普通車よりも大型で、レッグレストも付いています。
またグリーン車の座席には全てコンセントが備えられています。

E6系のグリーン車の座席
グリーン車の座席

デッキ

E6系のデッキ
武家屋敷のようなデッキ。
角館が映っている広告の写真と雰囲気が似ている。

デッキは沿線の角館にある武家屋敷をイメージしたものでしょうか。
ベージュと白と黒という配色は堅牢な雰囲気ですが、堅苦しい感じはしません。
また安直に「武家屋敷=サムライ」ということで変に外国人受けを狙わずに、うまくまとめているように思います。

E6系の普通車客室のドア
普通車客室のドアにも稲穂が描かれている
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運用と車内販売について

「こまち」のイメージがあまりに強いE6系ですが、東北新幹線の「なすの」「やまびこ」の一部の列車と、「こまち」の全列車に運用されています。
このうち車内販売があるのは「こまち」のみです。

E6系は東北新幹線区間では常にE5系と併結されて運転されており、単独で走行することは基本的にありません。
ちなみに私は東北新幹線の自由席に乗る時にどちらの車両に乗るか決めかねて、無意味にホームをウロウロしていることがよくあります。(結局E6系に乗ることの方が多い。)

なお、ミニ新幹線は秋田新幹線以外には山形新幹線(福島~新庄)の「つばさ」がありますが、こちらではリニューアルされたE3系が使用されておりE6系の運用はありません。

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総評

E6系の魅力は内外のデザインの良さと、ミニ新幹線ながら最高速度320㎞という高速性能を両立させている所にあります。
才色兼備とはこのことを言うのでしょう。

そして、沿線の文化を表現しつつも、それを快適で安全な高速鉄道の車内空間へと昇華している点で、E6系と同じ時期の2010年代前半から濫造され始めた表現過多で押しつけがましい観光列車とは一線を画しています。
美しさとは、装飾や化粧ではなく内面から滲み出るものである」ということを、E6系は我々に再認識させてくれます。

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