北へ急旋回した「はやぶさ」、E5系とその時代【グリーン車・グランクラスの車内や座席など】

新幹線車両
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最高速度320㎞で「はやぶさ」が復活

東北新幹線の「はやぶさ」でデビュー

E5系は東北新幹線が新青森まで全通してから3か月後、2011年3月に営業運転を開始しました。
それまでの最上位列車は最高速度275㎞のE2系による「はやて」でしたが、E5系による列車は「はやぶさ」と名付けられました。

個人的には「はつかり」を望んでいたのですが、それはともかく、2年前までは東京と南九州の熊本、もっと以前は鹿児島を結んでいた伝統ある寝台特急の列車名が、北へ向かう東北新幹線で復活しました。

日本最速、最高速度は320㎞

E5系の特徴で第一に挙げるべきは、日本初となる320㎞での営業運転を可能にしたことです。
なお東北新幹線は曲線も勾配も緩やかで、日本各地にある新幹線の中でも最も高速運転向きの路線です。

本形式が登場した当時から東京対青森の輸送シェアは新幹線が飛行機に対して優位でしたが、それでも一層の高速化を図ったのは東北新幹線が将来北海道新幹線と結ばれて(2016年に北海道の新函館北斗駅まで開業)、関東・東北対函館・札幌の輸送でも航空機に対抗することを見据えているためです。

また秋田新幹線に関しては、盛岡~大曲間が本来はローカル線である単線の田沢湖線経由となるため、東京~秋田間はほとんどの列車で4時間以上要しており、航空機に対して競争力を増すためにスピードアップが求められていました。

旧制1等車、グランクラス

E5系のグランクラスの車内
グランクラスの車内

もう一つE5系を語るうえで忘れてはならないのは、グリーン車の上位クラスである「グランクラス」の存在です。
昔の等級区分では今のグリーン車が2等車、普通車は3等車ですから、グランクラスは事実上1等車の復活ともいえます。
通常サイズの新幹線電車でありながら、2+1列のシートや食事サービスなど、今までにないハイクラスの設備です。

その後登場したE7系にもグランクラスが設置されたことから、高付加価値サービスとして、新幹線の新たな価値を打ち立てたといってもよいでしょう。

グランクラスの乗車記は後ほど紹介します。

東日本大震災を乗り越えエース車両へ

当初はひとまず最高速度は300㎞で営業運転を開始しましたが、その直後に襲った東日本大震災のため東北新幹線はしばらく運休となってしまいます。
これから本領発揮しようと意気込んでいたE5系にとっては、出ばなをくじかれた格好でした。

しかし復旧後は急速に勢力を拡大し、2013年には320㎞での営業運転も開始したことで東北新幹線の看板車両として君臨します。
その翌年には併結する秋田新幹線の車両がE5系にとって良きパートナーであるE6系に統一され、「はやぶさ」「こまち」共に全列車で320㎞運転が開始されます。

その後も都心部や青函トンネルで地道な速度向上が図られています。
2019年より、青函トンネル内の最高速度が160㎞に引き上げられ、東京~新函館北斗間を最速列車が3時間58分と「4時間の壁」を辛うじて破りました。
もっとも、最速列車は1往復のみで、新函館北斗駅から乗り換えで函館駅まで15~20分かかるため、東京対道南ではさらなるスピードアップが望まれます。

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E5系の車内

普通車の車内と座席

E5系の普通車の車内
普通車の車内(写真はH5系)

あまり言及されることはありませんが、E5系の車内設備や内装は、それまでの新幹線と比べて大きく進歩していると思います。

特に座席は普通車であっても可動式枕が備っており、関西出身で東海道新幹線をよく利用する私にとっては贅沢なつくりに感じます。
窓側にコンセントがあるのも、スマホ時代においては見逃せない特徴です。
車両によっては全席にコンセントがあります。

E5系の普通車の座席
普通車の座席

グリーン車の車内と座席

E5系のグリーン車の車内
グリーン車の車内

グリーン車は落ち着いた高級感が感じられる空間です。
明るい外観の配色からは想像しがたいくらいに自然な印象です。

E5系のグリーン車の座席
グリーン車の座席
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グランクラスの乗車記

2020年2月に東京を朝出発する「やまびこ」のグランクラスに郡山まで乗車しました。
乗車時間は1時間20分(入線後車内に入ったのは出発5分程前)でした。

グランクラスの車内と座席

E5系のグランクラスの車内
グランクラスの車内

グランクラスは通路を隔てて横3列の座席です。
背もたれ・座面・レッグレストの3カ所をそれぞれ動かすことができます。

荷物棚は航空機のようなカバー付きのものです。
これによって客室全体に一体感が生まれているようにも感じます。
白い座席と壁・濃い木目調の妻面、そして赤い床のカーペットが上質な空間を演出します。

E5系のグランクラスの座席
グランクラスの座席

アテンダントのサービス

グランクラスではアテンダントによる軽食や飲料(アルコール有)のサービスが行われます。
軽食の内容は季節ごとに異なるようですが、沿線の食材を使用した上品な和食です。
どれも丁寧に作られているのがよく分かります。

私が乗車した時は、鰯の梅煮とオイルサーディンに数の子・いくらなどが添えられたお弁当でした。
青森産のシードル(リンゴで作ったサイダーのようなお酒)は酸味と甘味のバランスが良く、和食との相性はもちろん、食前酒としても申し分ありません。

グランクラスの軽食サービス
和軽食とシードルのマリアージュも良い。
グラスにはグランクラスのマークが付いている。

さらに菓子として、ほうじ茶のパウンドケーキとあられもありました。
コーヒーもグランクラスのマークがついた専用のカップで提供されます。

座席にアテンダント呼び出しボタンもあるので、何か飲み物が欲しくなったら気軽に注文できます。

グランクラスの軽食サービス
食後のゆるやかなひととき。
気づけば関東から東北に近づいている。

アテンダントによるサービスが無いグランクラス(B)は、サービス有の(A)よりも料金が安いですが、グリーン車の延長線上ではない新しい移動を楽しむためにも、是非グランクラス(A)の列車を利用したいものです。

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運用と車内サービス

E5系の運用

時刻表の東北新幹線のページを見るとグランクラスのマークだらけであることからも分かる通り、E5系は東北新幹線で広範に運用されています。
「はやぶさ」「はやて」の全列車と「やまびこ」「なすの」の一部(いずれも定期列車の場合)という、全ての列車名をカバーしています。

「はやぶさ」は他の列車よりもやや特急料金が高く、えきねっとの「トクだ値」でも割引率が低いです。
一方「なすの」は他よりも高い割引率が適用されるので、短距離利用または乗車がそもそも目的の場合にはおすすめです。

E5系「なすの」を追い抜くE5系「はやぶさ」

車内販売・サービス

車内販売を行っているのは「はやぶさ」のみで、それも仙台発着便のような短距離の列車や臨時列車にはありません。

ただし車内販売が無い列車でも、盛岡行きの「やまびこ」のようにグランクラス(A)で営業している列車はあります。
JRの時刻表では「グランクラス(A)を適用する列車」として

運転区間(始発・終着)を東京~盛岡間、東京~新青森間、東京~新函館北斗間とする「はやぶさ」「はやて」、東京~盛岡間とする「やまびこ」、東京~金沢間とする「かがやき」「はくたか」

JR時刻表 2019年12月号の営業案内より

と記されています。
特に臨時で上野始発の列車がありますが、これらはグランクラス(B)なので要注意です。

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H5系とE5系の違い

JR北海道が所有する編成はH5系と呼ばれています。
基本的にはE5系と同じですが、幾つかの相違点があります。

車体のラインとロゴマーク

H5系と違うE5系の車体ラインの色とロゴマーク
E5系は真ん中にピンクのラインが入っている。
ロゴマークもはやぶさをイメージしている。
E5系と違うH5系の車体ラインの色とロゴマーク
H5系ではラインの色は紫となる。
ロゴマークも北海道の形をしている。

外観で分かりやすいのは車体のラインとロゴマークです。
上の写真がE5系で、ピンク色のラインとはやぶさを思わせるロゴが入っています。

それに対し下の写真のH5系はラインの色は紫で、ロゴマークは北海道の地図のようなものになっています。
細いラインの色だけで意外と印象が変わるものです。

乗降ドアの色

E5系と違うH5系の乗降ドア
H5系の乗降ドア。
デッキの雰囲気を完全に無視してでも、自社のカラーを主張している。
H5系と違うE5系の乗降ドア
E5系の乗降ドア。
こちらは違和感のない配色となっている。

乗降ドアの内側の色も異なります。
E5系はデッキに溶け込んだベージュ系の色ですが、H5系はJR東日本のコーポレートカラーである緑色です。

客室の床デザイン

E5系と違うH5系の普通車の床のデザイン
H5系の普通車の床のデザイン。
H5系と違うE5系の普通車の床のデザイン
E5系の普通車車内。
床は自然なデザインとなっている。

客室の床の模様も異なります。
E5系の床はシンプルなものですが、H5系には雪の結晶の模様が描かれています。
北海道らしくてお洒落だと思いますが、個人的にはこういう模様を見ていると体が痒くなって仕方がありません。。
また、確認し忘れましたが、ブラインドの絵柄も違うようです。

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総評

E5系はその外観の鼻の長さや鮮やかな配色、そして320㎞運転やグランクラスの存在などその実力は疑うべくもなく、秋田美人E6系と羨ましいペアを組んで今日も東北地方を我が物顔で走り回っています。

他方、近年は新幹線車両であっても沿線の自然や伝統文化を表現することが多いなかで、E5系の内装はむしろ自己主張を抑えた控えめなものだといえます。
一見すると華やかに思えるE5系ですが、「ローカルな魅力発信」にとどまらない普遍的な美しさや上質さの追求という、東北新幹線のエースとしてのストイックな自覚と決意を我々は見出すべきでしょう。

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