主将にされた控え野手、キハ261系1000番台とその時代【普通車・グリーン車の車内や座席など】

北海道の車両
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キハ261系1000番台のプロフィール

「スーパーとかち」の高速化

1980年代半ばからは「バブル景気」や青函トンネル開通により、北海道への観光需要が高まります。
そんな中、1981年に開通した石勝線ではトマムに代表される沿線のリゾート開発に支えられ、「クリスタルエクスプレス」などの「リゾート特急」が運転されました。
石勝線特急のうち帯広止まりの定期列車「とかち」は通常のキハ183系で運転されていましたが、1991年からは個室付きの2階建て車両を連結し、列車名も「スーパーとかち」に改められました。

そのような話題性のある列車も、すぐにバブル崩壊による不況で乗客数は落ち込みます。
1997年には高性能を誇るキハ283系が釧路行き「スーパーおおぞら」に投入され、編成の豪華さより高速化へと大きく舵が取られます。
そのような状況で無動力の2階建て車両を連結した列車はダイヤ上の足かせとなり、帯広行き特急の「とかち」にもキハ283系が導入されていきます。

キハ183系のままの列車は「とかち」となりましたが、2007年に「とかち」を「スーパー化」するべく投入されたのがキハ261系1000番台です。
2009年には全てのキハ183系を置き換えました。

コスパ重視の性能

基本番台と同様に、制御付き振り子ではなく空気ばねによる車体傾斜システムを採用しています。
曲線通過速度はキハ283系より劣るものの、振り子車両のような複雑な構造ではないため、コストパフォーマンスに優れた車両です。
線形や環境の厳しい根室本線を走る「おおぞら」と異なり、帯広までは線路条件も良いためにそこまでの性能は必要なかったのでしょう。

ただエンジン出力に関しては、キハ283系やキハ261系基本番台よりも強力で、1両当たり(全車両)920psにもなっています。
エンジン音は1990年代の車両のような、雄たけびをあげるようなものではなく、メカニックな音と表現すればよいのでしょうか。
時々「ヒューン」という、電車のようなため息が漏れるのも聞かれます。(私の友人は「猫が怒った時の声」と表現していました)

ちなみに車体傾斜装置は、途中から増備された車両では装備されていません。

北海道の主力特急車両に

さて、「おおぞら」の補完列車である「とかち」にこの車両が投入されるのは、まあ納得できますが、問題なのはこの先です。
キハ261系が主役になってしまったのです。

2010年代になると特急車両で相次いだトラブルの影響で、高速化よりも安全対策の実施が最優先課題となります。
この頃は(おそらく)2016年の北海道新幹線の開業を見据えて、札幌~函館間の「北斗」用の新型車両としてキハ285系の開発が進められていました。
キハ285系は最新技術を駆使して、最高速度140㎞、曲線通過速度も本則+50㎞という、在来線では他に類を見ない高性能の車両でした。

しかしJR北海道の限られた資源で安全対策を徹底するには、こんな車両を開発して運行する余裕はなく、残念ながらキハ285系の計画は中止されました。
会社が困難に直面する中でも、プライドを持って開発に取り組んだ技術者たちの無念を思うと心が痛みます。

そんな状況でコスパ重視の新型車両、キハ261系1000番台は「今後のJR北海道における都市間特急の主力車両」として祭り上げられたのです。

「おおぞら」「北斗」もオール261系化へ

補佐的な立場の「とかち」に始まったキハ261系の勢力拡大は、看板列車の「スーパーおおぞら」「スーパー北斗」にも及びます。

2020年3月に高速列車の代表的存在であったキハ283系の「スーパーおおぞら」も、6往復中3往復がキハ261系での運転となります。
なお、この時から列車名から「スーパー」が消えました。
そして、残る半分も2022年3月も置き換わり、ここに定期の根室本線特急キハ261系によって制覇されます。

釧路駅に到達したキハ261系「おおぞら」

一方「北斗」は2022年7月現在【5,7,21号】(札幌行)、【2,14,16号】(函館行)のみがキハ281系による運転で、それ以外はキハ261系です。
しかし、JR北海道によると、2022年9月を以て残ったキハ281系は定期運行を終了し、「北斗」もオール261系化が完了します。
これによって北海道の鉄道高速化に大きく貢献した両形式が、キハ261系に完全に置き換えられることになります。

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キハ261系1000番台の車内と座席

普通車自由席の車内

キハ261系1000番台の普通車自由席の車内
普通車自由席の車内

普通車自由席は宗谷本線に使われている基本番台や789系とほぼ同様の車内・座席です。
「スーパー北斗」も「スーパーとかち」も指定席が割引料金で利用できる「えきねっと」の影響か、自由席車両が少なくなっています。
また列車によっては自由席車両であっても、以下で紹介するグレードアップ座席が備わっていることもあります。
その意味では希少価値のある車両です。

キハ261系1000番台の普通車自由席の座席
自由席の座席

普通車指定席の車内

キハ261系1000番台の普通車指定席の車内
普通車指定席の車内

指定席車両には赤紫色のグレードアップ座席が並んでいます。
見た目でも高級感がありますが、実際にこちらの方が大型で掛け心地も良いです。

なお上の写真は「スーパー北斗」の車内ですが、自由席であってもこの座席になっていることもあります。

グリーン車の車内

キハ261系1000番台のグリーン車の車内
グリーン車の車内

グリーン車は「ライラック」で使われる789系とほぼ同じですが、こちらは半室ではなく1両全部がグリーン客室となっています。
青い座席が8列並ぶ、ベージュの絨毯と青い天井の客室です。

ところで「スーパーとかち」は4両編成ですから、全体に占めるグリーン車の割合が多すぎるような気がします。
また、グリーン車には各座席分のコンセントが付いています。

キハ261系1000番台のグリーン車の座席
グリーン車の座席
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総評

スター選手であるキハ283系を支える、「控えのユーティリティープレイヤー」だったはずのキハ261系1000番台。
今や「北海道における都市間特急の主力車両」として担ぎ出されてしまいましたが、その経緯を考慮すればキハ261系自身も素直に嬉しくは思っていないでしょう。

池口英司氏は、試運転まで行われながら解体されたキハ285系に関して、以下のように述べています。

進歩を否定した現状維持の精神が、結局はさまざまなものを滅ぼすことは歴史が証明している。
北海道の鉄道が置かれている状況は厳しいものなのだろうが、だからこそ、場当たり的な対処に終始するべきではないのが、今という時代であるはずだ。

残念な鉄道車両たち(イカロス出版)

キハ261系の存在は20年後に、2010年代の(あるいは2010年代から始まる)北海道の、そして日本の鉄道の停滞感の象徴として記憶されているかもしれません。

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