最果ての宗谷に到達した特急、キハ261系基本番台とその時代【普通車・グリーン車の車内・座席など】

北海道の車両
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キハ261系の特徴

宗谷本線初の特急、「スーパー宗谷」

戦前の宗谷本線は、稚内から当時は日本領だった樺太へ向かう航路が運行されていたこともあり、北海道の縦貫幹線として機能していました。
宮脇俊三氏の「時刻表昭和史」によると、1942年に上野を午後7時に発車する青森行き最速の急行201列車と青函連絡船を介して接続するのは、函館発稚内桟橋(現・稚内駅の先にあったサハリン航路乗り場近くの駅)行きの急行1列車だったようです。
また2等(現在のグリーン車に相当)寝台車には、「特別室」と呼ばれる1等寝台に匹敵する2人室があったことも記されています。
その列車番号からも分かる通り、1960年代~70年代でいえば、「はつかり」に接続する「おおぞら」のような列車だったのでしょう。

そんな華やかさをもった宗谷本線でしたが、戦後は道内で進む高速化から取り残され、他の路線では電車特急や振り子式の高速気動車が投入される中でも、急行列車が残っている状況でした。
しかし2000年3月の名寄以南の線路改良を機に、遂に宗谷本線でも急行列車の特急への格上げが行われました。
この時に宗谷本線の新型特急車両として導入されたのがキハ261系です。

この当時は特急の列車名は3種類あり、キハ261系を使用する「スーパー宗谷」、キハ183系の「サロベツ」、そして夜行列車の「利尻」が運転されていました。

外観

キハ261系先頭車
先頭車

JR北海道の気動車特急車両お馴染みの、高い運転台に正面に貫通扉を備えるスタイルです。
霧の多い区間を走行するために、ヘッドライトが沢山あり強烈な目力を感じたキハ283系とは対照的に、非常におっとりした顔が特徴的です。

扉周りの配色は水色と黄色、緑色です。
また、後述するように車体傾斜する角度がやや小さいので、車体断面の下部の絞りは緩やかになっています。

キハ261系車体側面
車体側面

空気ばね式の車体傾斜装置

キハ261系で特徴的なのは、先輩であるキハ281系キハ283系のような制御付き振り子ではなく、空気ばね式の車体傾斜装置を採用した点です。
函館・室蘭・根室各本線と比べると宗谷本線の輸送量が小さく、名寄以北は依然として最高速度が95㎞に抑えられることからも、そこまで高性能な車両は求められていなかったのでしょう。

傾斜角度は2度と小さくなり、曲線通過速度はやや落ちましたが、車体構造がシンプルで編成価格も抑えることができるので、コストパフォーマンスに優れた車両といえます。
2010年代以降主流となった空気ばね式の車体傾斜システムですが、特急車両として採用したのは本形式が初めてです。

エンジン出力はキハ283系よりも強い

曲線通過速度では妥協しているものの、1両当たりの編成出力は、最速気動車であるキハ283系よりも高くなっています。
キハ281系とキハ283系は両方とも1両当たり710psですが、キハ261系は805psと15%程度上回っています。

結局実現しませんでしたが、電車特急785系と札幌~旭川間で併結ができるように設計されています。
その関係でここまでパワーが大きくなっているのかもしれません。

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キハ261系の車内と座席

グリーン車の座席数はたったの9!

キハ261系のグリーン車の車内
グリーン車の車内全景。
日本で最も小さなグリーン車。

グリーン車は稚内寄りの先頭車両の一部です。
特筆すべきはその狭さ。

上の写真で写っているのが、キハ261系基本番台のグリーン車客室の全体です。
僅か9席しかないグリーン車客室は、やはり独特の雰囲気があり、他の特急車両以上にグリーン車の「特別感」を醸し出しています。
もっとも内装のデザインが、天井が深い青色で支配されているなどの相違は有れど、全体的には普通車とあまり差別化されていないのが残念ではあります。

座席も革製の濃い青色のもので、ひじ掛けは木材が使われているのでナチュラルな質感があります。
また窓側にはコンセントが備えられています。

キハ261系グリーン車の座席
革製の座席

普通車の座席はグレードアップされていない

キハ261系普通車の車内
普通車の車内

普通車は自由席・指定席ともグレードアップ座席ではなく、登場時と同じ車内となっています。
そのため他の列車の指定席に乗りなれていると、やはりこの座席では物足りなく感じることでしょう。

キハ261系普通車の座席
普通車の座席

ただ、内装に関しては、キハ281系やキハ283系からかなり進化しています。
床は菱形模様が描かれており、妻面も木材のような色調で上質感があります。
また照明や天井の色使いなども、なかなかセンスの良さを感じます。
この車両はデンマーク国鉄との共同開発によって生まれましたが、言われてみれば北欧らしい洗練されたインテリアデザインです。

キハ261系普通車の内装
普通車の内装
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「サロベツ」「宗谷」に運用されるが、近々縮小か?

2019年現在、キハ261系は宗谷本線特急の全て、つまり「サロベツ」と「宗谷」を担当しています。
両列車の違いは札幌発着(宗谷)か旭川発着(サロベツ)かの違いであって、車両はどちらも本形式による運転です。

しかし、札幌発着の「宗谷」に関しては、運用を外れる可能性があります。
JR北海道の発表によると、2020年10月ごろよりキハ261系5000番台という、観光列車にも運行可能な多目的特急車両が登場する見込みで、この車両が「宗谷」の定期運転に使用されるとのことです。
札幌~稚内の所要時間の長さ(5時間強)を考えると、座席が並んでいるだけの「宗谷」では辛い面もあるので、歓迎すべきことではないでしょうか。

この車両は他にも「フラノラベンダーエクスプレス」などの観光列車にも充てられるようです。
参照:https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/88b714c8c7326e8f5f87d7286e70aa19.pdf

多目的車両の製造は2編成のみなので、キハ261系基本番台を全て置き換えることはなさそうです。

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総評

キハ261系のロゴマーク
ロゴマーク。
当初はTiltと書かれていた。

キハ261系基本番台は、それまでの高速化が至上命題の姿勢から、コスト・快適性にも配慮したバランス型の車両だといえます。
東海道新幹線で例えれば、世界最速を目指した500系の後に製造された700系のような存在です。

弱小チームの「ファイヤーセール」のように、フルスペックのキハ281系・キハ283系が運用を縮小されていく中、相変わらず宗谷本線の輸送の主役であり続けるキハ261系は、JR北海道にとって持続可能な身の丈にあった車両です。

2010年代以降「主力車両」として増備され続けるキハ261系1000番台も、基本番台をベースにしたところが多いことからも、JR北海道の特急車両の設計思想を決定づけたと評価できましょう。

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