「つがる」で干される、E751系とその時代【普通車・グリーン車の車内・座席】

東日本の車両
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E751系「スーパーはつかり」登場

東北本線の名門列車「はつかり」

E751系は2000年に、新幹線と連絡して東北本線の盛岡~青森間(現在は各県の第三セクターに移管)を走る「スーパーはつかり」として営業運転が開始されました。
「はつかり」といえば長らく東北本線の上野~青森間の花形特急列車として、キハ80系や583系によって運転されていた列車です。
東北本線特急はその他に仙台行き「ひばり」と、盛岡行き「やまびこ」が設定されていました。

1982年に東北新幹線が大宮~盛岡間で開業したことによって、「はつかり」は盛岡~青森間(一部はその後青函トンネルを通って函館まで行った)に短縮されますが、今回の新型車両投入により短距離のフィーダー特急とはいえ面目を一新した形になりました。

全国で活躍していた583系(正確には写真は九州鉄道記念館の581系)。
在来線特急全盛期には昼だけでなく、夜も寝台特急として24時間体制で働き続けた。

最高速度は従来の「はつかり」に使用されている485系より10㎞高い130㎞で、車体傾斜機能は付いていませんが曲線通過速度も5㎞上がっています。
東北本線はいわゆる「ヨンサントオ」(昭和43年10月)のダイヤ改正までに全面的に線路改良が行われていましたが、沼宮内(現・いわて沼宮内)~八戸間はかつて蒸気機関車が三重連で挑んだ急曲線・急勾配のある難所が残っていました。
それでも「スーパーはつかり」は、盛岡~青森間の停車駅を減らすことで表定速度が100㎞を超える俊足列車として、名門列車の大役を果たしたのでした。

E751系の車体側面
車体側面。
なかなかインパクトのある色使い。

東北新幹線八戸延伸で主役から降りる

E751系のデビューから3年も経たない2002年12月に、東北新幹線が八戸まで延伸され、東京から八戸乗り換えでの青森までの所要時間は4時間を切ります。
これにより同区間の鉄道と航空機の旅客数は逆転し、鉄道が7割を占めるまでに復権を果たしました。

当然ながら、東北本線の特急は八戸で新幹線と接続することになりますが、八戸~青森~函館に至る北海道連絡列車を任されたのはE751系ではなく、従来のリニューアルされた485系とJR北海道が新造した789系でした。
列車名も485系による列車が「白鳥」、789系によるものが「スーパー白鳥」と改められました。
ちなみに、「白鳥」はかつて大阪から北陸本線などの日本海縦貫線で青森まで運転されていたロングラン昼行特急で、「はつかり」と同様に青函連絡船と接続していました。
E751系は青函トンネルを走行するための設備は準備工事にとどまっており、性能面でもトンネル内の12‰の上り勾配では、同区間の最高速度である140㎞が出せなかったことも災いしたのでしょう。

結局E751系は、八戸~青森・弘前間で「つがる」として脇役的な存在に甘んじることになります。
東北において期待を持って重要な役割を与えられた優等生が、突如他社から出向してきたエリート車両によって出世コースから外されてしまったのです。
2000年の登場時から東北新幹線の延伸は決まっていたことなのであって、なぜこのような梯子の外され方をしたのかは理解できません。

東北新幹線全通により奥羽本線で「つがる」に運用される

2010年には東北新幹線が新青森まで到達し、開業から25年以上を経てついに全線開通に至ります。
その結果として在来線特急は東北本線から撤退し、「スーパー白鳥」が青森発着になりますが、「つがる」は従来の「かもしか」に代わって、青森~秋田間の奥羽本線北部の特急列車となります。

E751系は一旦営業運転から退き中間車2両を廃車とした後に、「つがる」として4両編成の3往復体制で早すぎる余生を送っています。
青森県と秋田県の県庁所在地を結ぶ列車ですが、沿線人口もあまり多くはないためか需要は小さいようで、短編成ながらそれでも座席数は供給過多のように思われます。
かつての俊足ランナーが亜幹線である奥羽本線を、最高速度95㎞で細々と走っているのは見ていてとても気の毒な気がします。

ちなみに完全に窓際族となったE751系と比べて、北海道新幹線開業により「スーパー白鳥」の運用を失った789系は、北海道の大幹線である札幌~旭川間の「ライラック」として、恵まれた転職先を斡旋してもらっています。

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E751系の車内

普通車の車内と座席

E751系の普通車の車内
普通車の車内

普通車は特に華やかさや派手さはありませんが、白が基調の内装や紫と黒の座席という落ち着いた車内になっています。
元が観光輸送だけでなくビジネス利用も多かったであろう「スーパーはつかり」なので、このような清潔な印象なのでしょうか。

座席はJR東日本の車両によくあるように、リクライニングするだけでなく、座面が前後に動きます。
ただし、絶対的な寸法としてはシートピッチが910㎜と小さいので、狭さは感じられます。

もっとも東北本線特急時代ならともかくとして、今の「つがる」は基本空いているので、実際のところはそこまで窮屈・不快に感じることもないでしょうが。

E751系の普通車の座席
普通車の座席

グリーン車の車内と座席

E751系のグリーン車の車内
半室・4列座席のグリーン車の車内

グリーン車は秋田寄り先頭車両の半室に充てられています。
4列シートが4行並んでいて定員は16名と少ないです。

座席と床の絨毯の黒が印象的で、どこかオフィスの重役室のような雰囲気が漂っています。
グリーン車なのに4列シートはけしからんという人もいますが、(普通車の規格がやや低いにしても)座席やシートピッチはゆとりがあり、天井部分が木目調になっているなど、内装の部分でも差別化は行われています。

E751系のグリーン車の座席
グリーン車の座席
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総評

かつての151系や583系がそうだったように、主要幹線における在来線特急のエース車両というものは、いつも新幹線に主役の座を奪われる運命にあります。
E751系も「スーパーはつかり」に任用されるものの、中途半端な設計で生まれてきたために短期間で左遷され、車両・編成総数の少ない交流専用電車とあってはJR東日本管内では転用先も見つからないという、不幸な車両人生を送っています。

国鉄時代であれば北海道や九州に飛ばされて、また新たな道を歩むこともできたのでしょうが、JR東日本としてもせっかく新造した車両をもう少し有効活用することはできなかったのかと悔やまれるところです。
例えば現状の奥羽本線の運用にしても、秋田や新青森で新幹線との接続をもっと意識したダイヤにすれば、首都圏からの需要も取り込めそうです。
せっかく「つがる」(上野発、福島から奥羽本線経由で青森まで結んだ「津軽」という急行列車があった)を名乗っているのですから、北東北のローカル特急でいるのはなおさら勿体ない話です。

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