四国の次世代エース、2700系とその時代【普通・グリーン車の車内など】

四国の車両
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2000系の正式な後継車両

2600系の挫折

JR四国が誇る振り子式気動車の2000系が爆誕した1989年より約30年、さすがに年齢には勝てず老朽化が進んだこのレジェンドの後継車として、2017年には2600系が開発されました。
振り子式と同じ性能を維持しながらコスト削減が可能であることから、2600系では既に主流となっていた空気バネ式車体傾斜システムが採用されました。

しかし、急曲線が右に左に連続する土讃線では、空気タンクの容量の関係でこの車体傾斜の方式では対応できないことが発覚します。
吉野川に沿った大歩危小歩危の険路は、空気バネ式車体傾斜をも拒んだのです。
四国のディーゼル特急車両にとって、岡山で新幹線と連絡する土讃線特急「南風」が最も重要度の高い列車であることを考えると、これは致命的な問題でした。

近い将来、自身が四国の主役車両となることを疑わなかった2600系でしたが、結局製造は2編成4両のみに終わりました。
そこで、代わって量産されたのが2700系です。

18年ぶりの振り子式の新形式

2600系の結果を踏まえ、2700系は振り子式車両となりました。
振り子式車両が新形式として登場するのはJR西日本のキハ187系以来、実に18年ぶりの出来事でした。
つまり、もう過去のものになったかに思われたこの方式ですが、ここにきて再評価された形となります。
おそらく一番喜んだのは、世界初の振り子式気動車である先輩の2000系でしょう。

もっとも今回のケースは特殊な事情によるものであり、この一幕を以って再度振り子式車両の時代が訪れたとはいえないでしょう。
実際に、今後日本初の振り子式電車381系が引退する予定の伯備線では、空気バネ式であるJR四国の8600系が試運転に使われたようです。

基本的に外観や内装は2600系に準じています。
2600系との違いは、こちらは振り子式車両なので車体下部の絞りが目立っているのと、塗装で緑のラインが入っていることです。
この緑色の存在によって、全体的に明るく軽やかな印象が増しました。
それ以外は特に大きな相違点もなく、2600系の完成度の高さが窺えます。
主役になり損ねた2600系の無念は、2700系にしっかりと活かされているのです。

2700系の車体側面
振り子式2700系の車体側面の下部は絞りが大きくなっている。
連結部のバッテンは緑色。

「南風」や「うずしお」で勢力拡大へ

2600系には高徳線「うずしお」の数往復だけを任せて、2700系は土讃線の各特急と高徳線特急に投入されます。
制御付き自然振り子式という優れた技術を継承し、なおかつ完成度の高い車両であることとして、デビューの翌年2020年にはローレル賞を受賞しました。
四国の車両がこの賞を受賞するのは、1987年のキハ185系(国鉄設計)と1990年の2000系以来30年ぶりとなります。

高知駅で並ぶ2700系「南風」と2000系「あしずり」
高知駅で並ぶ2700系「南風」と2000系「あしずり」

これで2000系も安心してリタイアできそうだと感じたのか、2020年7月からは2700系が大幅に増備されます。
追加投入は「南風」と「うずしお」といった主力列車組において顕著で、それぞれ半分以上の便が2700系による運用となります。
参照:http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2020%2006%2029%2001.pdf

これに伴い、1990年代後半に「うずしお」の高速化に寄与したN2000系は同列車から撤退を余儀なくされました。
従来型の2000系との共通運用で生き残ると思われますが、N2000系としてのアイデンティティーは喪失してしまったといえるでしょう。

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2700系の車内

普通車の車内と座席

2700系の普通車の車内
普通車の車内

普通車の雰囲気は2600系のそれとほとんど変わりません。
明るめの座席にウッドフロアが特徴的な車内です。
新型の振り子式車両のためか、全く揺れを感じないというと嘘になりますが、2000系と比べるとかなり改善されています。

私は走っている時の乗り心地の良さというのは、車両の質を見極める大きな要素だと思っています。
客室などは厚化粧でかなりの部分が誤魔化せますが(隣の島の観光車両を想起されたし)、表面的な見た目だけに頼らず、振り子車両であるにもかかわらず高速走行しても揺れがあまり目立たないのは、2700系のクオリティーの高さの証です。
また、普通車でも全席にコンセントが設置されているのが特徴です。

2700系の普通車の座席
普通車の座席

グリーン車の車内と座席

2700系のグリーン車の車内
グリーン車の車内

グリーン車は新型電車の8600系に近い印象ですが、こちらの方がより落ち着いた雰囲気な気がします。
レッグレスト付きの快適な座席です。

グリーン車の座席は2列と1列の配置ですが、大歩危小歩危の渓谷に沿って走る区間では進行方向右側(下りの場合)の2列座席側の方が車窓が綺麗だったように記憶しています。
一方高知以遠の「あしずり」では、須崎から先の太平洋の断崖が見れる左側がおすすめです。(2700系によるグリーン車連結の「あしずり」はほとんどないが)

2700系のグリーン車の座席
グリーン車の座席
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総評

前任者の2000系が拍手喝采で迎え入れられながらデビューを果たした時、世の中は瀬戸大橋開業・国鉄民営化・好景気に湧いていました。
当時の人々は、2000系が近代化の遅れていた四国の鉄道を新しくしていくのを目の当たりにし、そして将来に希望を抱いたことでしょう。

高知駅に到着した「南風」。

翻って2700系がバトンを受け継いだ2019年、新型コロナウィルスの感染拡大直前で、外需に支援されて景気も悪くはなかったとはいえ、鉄道を取り巻く状況は30年前のような恵まれた外部環境とは程遠いものでした。
特急列車が身を傾けながら懸命に走る線路を嘲笑うように、近代的な高速道路が延び、瀬戸大橋だけの鉄道に対して、それらは本州と3つの橋で繋がっています。
そもそも、四国全体として人口減少が進んでいるのが現状です。

看板車両を託された2700系ですが、性能はもとより接客設備や乗り心地も良好で、その資質は十分に備えているといえます。
30年後、四国の鉄道がどうなっているかは予想できない(というかしたくない)ですが、その時も2700系が特急として走っていることを願いたいと思います。

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