南風・あしずりグリーン車利用、土讃線の旅行記【車窓やダイヤについて解説】

幹線
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土讃線は香川県の多度津駅から高知県の窪川駅までを結ぶ路線です。
岡山からの特急「南風」も走り、四国では予讃線に次いで重要度の高い線区です。
本記事では土讃線を3つの特徴ある区間に分けてみます。

  • 電化された多度津~琴平
  • 四国山地横断線としての琴平~高知
  • 南部の東西縦貫線を成す高知~窪川

つまり、讃岐平野から徐々に山間部の渓谷へと入り、大歩危小歩危の絶景を堪能した後、太平洋側の南国へと至るのです。
土讃線は四国で最も車窓の面白い路線だと思います。

以下、2020年6月に四国グリーン紀行を使った時の乗車記です。
時間に余裕があれば特急グリーン車より普通列車の方が景色や途中駅を楽しめるのですが、新旧車両の乗り心地を味わいながら窪川を目指します。

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多度津~琴平

短い電化区間

サンライズ瀬戸が到着した琴平駅
サンライズ瀬戸が到着した琴平駅

全線単線の土讃線ですが、琴平までの10㎞程度は僅かながら電化されています。
このあたりまで讃岐平野が広がり、琴平への観光需要もあるためでしょう。
普通電車が30分毎に運転されており、JR以外にも琴電が地元の足として活躍しています。
土讃線の一部というよりは、予讃線の支線のようなイメージでしょうか。

車窓より駅が魅力的

土讃線の起点は多度津駅です。
駅の近くには蒸気機関車が静態保存されています。
ちなみに、近代化が遅れた四国の鉄道ですが、蒸気機関車が撤退した時期は全国でもかなり早い方でした。

多度津駅の蒸気機関車

架線の張られた線路が讃岐平野を南下します。
まだまだ土讃線の旅の序の口ですが、本州からやって来た人ならこれでも田舎だと思うことでしょう。
私は臨時延長運転の「サンライズ瀬戸」で琴平まで乗車しましたが、東京で仕事を済ませた翌朝土曜日の四国は眠たそうでした。

車窓はご覧の通り平凡なのですが、琴平駅はレトロ風に改装されており見所の一つといえます。
通過しただけでしたが、途中の善通寺駅も駅舎が立派らしいです。

琴平駅の駅舎はレトロ風
駅内部も雰囲気は良いが、ややスペースを有効活用していないように見受けられる。
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琴平~高知

普通列車が極端に少なくなる

琴平からは非電化区間となり、高知(より正確には約15㎞手前の土佐山田)までは四国の横断線として機能しています。

特急列車は相変わらず1時間に1本の運行ですが、如何せん沿線人口が少なく、普通列車のダイヤは全国有数の青春18きっぷユーザー泣かせです。
途中、阿波池田駅で普通列車の運転系統が変わりますが、前後どちらの区間も本数が極めて少なく、数時間~5時間間隔が空くこともあります。
しかも質の悪いことに、阿波池田駅での普通列車同士の接続もあまり良くないため、特急利用(ワープ)無しで高知まで辿り着くのはなかなか難しいです。
また、快速のようにこまめに停車する四国の特急には珍しく、途中停車駅が少ないのがこの区間の特長です。

土佐山田からは一気に本数が回復して、さらに先の御免からは土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線が、その名の如く謙虚に土讃線に合流して列車も増えます。

新型車両2700系「南風」グリーン車はとても快適

琴平から高知まで特急「南風」のグリーン車に乗車しました。
「南風」は2種類の車両で運転されていますが、今回乗ったのは2019年にデビューを飾った新型2700系です。
羊腸のような土讃線の急曲線に対応するため、振り子式車両となりました。

高知行きの土讃線特急は岡山発の「南風」の他に、高松発の「しまんと」もありますが、こちらは5往復(うち3往復が「南風」と併結)と少数勢力にとどまっています。
「南風」が本州からの新幹線乗り継ぎ客を取り込める一方で、「しまんと」は島内輸送に頼らざるを得ず、高速バスに対して劣勢であるという厳しい状況を反映しています。
なお、「しまんと」の編成にはグリーン車はありません。

2700系グリーン車の車内
2700系グリーン車の車内

線形改良しても大歩危小歩危は絶景

琴平駅のホームから高知方面を眺めると、上り勾配の線路が左へカーブしていきます。
これからの険しい道のりを暗示しているかのようです。

琴平駅から高知方面を望む

それまでの平野から徐々に山奥に入っていきます。
急曲線・急勾配がにわかに増え、高出力振り子式車両が本領を発揮します。
さすがは最新型の2700系だけあって、振り子作動時の揺れも大して気になりません。

讃岐財田駅からはトンネルが増えてきますが、次の坪尻駅との間にあるトンネルの中で徳島県となります。
坪尻駅はスイッチバック式です。
特急列車だと高速で通過しますが、普通列車に乗るとその辺も含めて楽しめます。

スイッチバック式の坪尻駅を通過。
普通列車が待避している。

箸蔵駅付近で左岸から吉野川を見下ろします。
しばらくトンネルが続いた後なので、この解放感は嬉しいものです。

急勾配で駆け降りて佃駅の手前で吉野川を渡ります。
その後徳島線と合流します。

吉野川はまだ穏やかな表情

その次の阿波池田駅が実質的な徳島線との乗換駅で、広くて古めかしくて雰囲気の良い駅でした。

阿波池田駅に停車する徳島線特急「剣山」

阿波池田駅からが土讃線の渓谷美を楽しめるハイライト部分です。
一体どんな恐ろしい怪物がこんな谷を刻んだのでしょうか。
私の記憶では進行方向右手(高知行きの場合)の方が車窓が良かったと思います。

手に汗握る絶景

特急も停車する大歩危駅は観光の拠点となっています。
ここからも特にトンネルが多くなります。
およそ5㎞の大歩危トンネルを抜けると徳島県から高知県に入ります。


土讃線は地滑りや土砂崩壊の災害が多発してきた路線で、「土惨線」などとも呼ばれたものです。
昔はもっと川に忠実に寄り添っていましたが、防災や輸送効率の観点より、いくらかはトンネルの新線に切り替えられています。

トンネルの合間には多数の橋梁があり、渓谷の景色は相変わらず迫力に満ちています。
時々水田なんぞが見えると逆にホッとします。

沿線は雨量も非常に多い地域で、トンネルを出入りするたびに天候が目まぐるしく変わることもあります。
窓ガラスは曇り、川面に靄がかかり、それはそれで幻想的な風景です。

トンネルを抜けるたびに窓が曇ってくる

繁藤駅からは下り急勾配が約10㎞に渡って続き、その間はトンネルの連続です。
そして急勾配とトンネルが終わると、ついに平野に降り立ち土佐山田駅に着きます。
ようやく下界に戻って来た心地がします。

久々の市街地が広がる。
窓はすっかり曇ってしまった。

土佐山田からは曲線・勾配も緩くなり、ようやく特急らしい走りっぷりを見せます。
迫力ある渓谷美を思い返しているうちに、終点の高知駅に到着しました。

高知駅前街並み
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高知~窪川

須崎までは普通列車の本数もそこそこ

土讃線は高知を境にして特急列車の運転系統も分かれており、以降の特急列車は「あしずり」(1往復の「しまんと」は高松から直通する)となり、窪川から先も土佐くろしお鉄道の中村・宿毛まで乗り入れます。
1時間ヘッドの運転だった「南風」に対して、「あしずり」はおよそ2時間毎の運転です。

普通列車は須崎まではおよそ1時間に1本が確保されていますが、窪川まで行く列車は2~3時間毎です。
車窓を楽しむ観点からは、須崎まで特急で行き普通に乗り換えるのが理想ですが、その通りになる上手い乗り継ぎはそうありません。

2000系「あしずり」のグリーン車に乗車

高知駅に着いたら接続時間9分で特急「あしずり」に乗り換えです。
同じホームでの乗り換えとなるので、慌ただしさはありません。
そしてホームには駅弁売り場があるので、そこで買い物をすることも十分可能です。

高知駅の特急乗り換えホームにある売店
高知駅の特急乗り換えホームにある売店。
ここで駅弁を買うことができた。

今度の「あしずり」は旧型の2000系でした。
2000系は普通車・グリーン車問わず、リニューアルされている車両とされていない車両があります。
今回乗ったのはリニューアル済みグリーン車でしたが、非リニューアル車はやはり古さを感じますし、走っている時も2700系と比べると乗り心地は劣ります。

この「あしずり3号」は外観及び一部の車両の内装にキャラクターが描かれたアンパンマン列車でしたが、こういうのを定期特急列車でされるのは個人的には迷惑かつ不快です。
ところで、8往復ある「あしずり」の中でグリーン車が連結されているのは3往復のみです。
私のように四国グリーン紀行で旅行する人は事前に要チェックです。
幸か不幸か、アンパンマン列車で運転される「あしずり」はグリーン車付きです。

2000系グリーン車のリニューアル済み車内
2000系グリーン車の車内。
写真はリニューアル済み。

太平洋側の線路

高知駅を出る前に駅弁を購入しました。
さすが土佐の国だけあって、かつおたたき弁当が売られています。
厚切りのカツオのたたきにニンニクのスライスが添えられています。

高知駅のカツオたたき弁当
高知駅のカツオたたき弁当

さて、高知駅を出るとまもなく市街地は尽き、ビニールハウスがあちこちで見られます。
途中の駅は古い民家のようですが、阿波池田~土佐山田のように小さすぎず、しっとりとした趣があります。

四国山地を横断して太平洋側の明るい南国は…、と言いたいところですが、あいにく天気はあまり良くなく、どんよりと雲が垂れ下がっていました。
開放的というより、山に囲まれた家がひっそりと点在しています。

そんな感じでしばらく走ると、須崎駅の手前で港や工場が現れます。
高知以西の主要駅らしい都市です。

その後安和駅くらいまで、断崖絶壁に沿って走ります。
このあたりが土讃線の太平洋側の東西縦貫線部分の車窓ハイライトです。

土佐久礼駅から次の影野駅までの距離はおよそ10㎞ですが、この間ずっと急勾配を登り続けます。
トンネルと緑豊かな森が交互に続きます。
南国風の植生が時おり見られ、外はとにかく蒸し暑いのでまるで亜熱帯地域にいるようです。
最後は川沿いを走って窪川駅に到着です。

窪川駅は土讃線の終点ではありますが、土佐くろしお鉄道と線路は繋がっているので、終着駅らしい風情はありません。

土讃線の終点、窪川駅

宇和島行きの予土線の列車はもちろん窪川駅から出ています。

なお、予土線の普通列車にはトイレが無いので、乗り換えする前に駅で用を足しておきましょう。

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将来のためには高速化が必要

以上見てきたように、土讃線はそれぞれの区間で路線としての使命・性格が異なり、それ故に風景も変化します。
その中でも特筆すべきは、やはり吉野川沿いの渓谷美でしょう。

しかし、川沿いに振り子車両が身を傾けながら走る線路は、輸送力の弱さの裏返しでもあります。
一方の高速道路は近代的な建設で、競合するバスは価格が安いにもかかわらず特急より所要時間が短いのが現状です。

四国の駅でよく見るポスター。
新幹線は高望みが過ぎるが、特急の高速化で四国の鉄道を活性化できないか?

土讃線の景色を讃えるのも良いですが、この路線が将来生き残るためには思い切った高速化が必須だと思います。
例えば琴平~阿波池田~土佐山田まで石勝線のような高規格新線を部分的にでも建設して、高知までの所要時間を大幅に短縮する必要があります。
途中駅の乗客の少なさ・普通列車の本数を考えると、旧線の廃止はやむを得ないでしょう。

土讃線の今後は、鉄道そのものが機械文明や昭和中期までのノスタルジーの対象にとどまるか、あるいは時代に即した輸送機関として進化し続けるかを占ううえで重要な意味を持つでしょう。

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