近鉄特急アーバンライナープラス21000系とその時代【デラックスカーの車内や予約方法・費用など】

私鉄有料特急

近鉄の速達型(および一部の停車型)の名阪特急は「アーバンライナー」車両で運行されますが、新型の21020系「アーバンライナーnext」と旧型21000系をリニューアルした「アーバンライナーplus」の両方の車両があります。

本記事で扱うのは後者の 「アーバンライナーplus」 です。

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アーバンライナーplusの概要

登場の経緯

近鉄の名阪特急は、昔から国鉄の関西本線や東海道本線の優等列車と競合しており、それなりに健闘していました。
とはいえ、1964年の東海道新幹線開業後は所要時間の差は如何ともし難く、利用者数も低迷していた時期もありました。

しかし1970年代半ばになると国鉄が運賃値上げを繰り返すようになり、近鉄特急の相対的な競争力も回復します。
そうした中で好景気も追い風にして、ノンストップ特急用に1988年に登場したのが本形式、近鉄21000系です。

外観

アーバンライナープラスの車体側面
スピード感のある側面

先頭部は流線形で、白い車体に黄色のラインが入るという、それまでの近鉄特急とは全く異なるイメージです。
さらに、近鉄特急の代名詞でもあったビスタカーのようなダブルデッカーが採用されず、スマートな車体になったのも特徴です。

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アーバンライナーplusの車内と座席

デラックスシート

アーバンライナープラスのデラックスカー
デラックスカー
アーバンライナープラスのゆりかご型デラックスシート
ゆりかご型デラックスシート

アーバンライナーにはデラックスカーが連結されています。
2+1列で大型の座席はグレード感のある赤系の色です。
電動式のリクライニングシートですが、「ゆりかご型シート」といって、背もたれの傾きに連動して座面も沈むようになっています。

たしかに座席を倒してみると、何か包み込まれるような感覚が分かります。
フットレスト・読書灯・コンセントも備わっている他、カーテンの間にあるライトもささやかながら高級な雰囲気を醸し出しています。

JRでいうところのグリーン車に匹敵する、あるいは凌駕する設備ですが、なんと特別料金510円だけで利用できます。

アーバンライナープラスのカーテンライト
雰囲気の良いカーテンライト
アーバンライナープラスのデラックスシートのフットレストとコンセント
デラックスシートのフットレスト。
その横にコンセントがある。

レギュラーシート

アーバンライナープラスのレギュラーカー
レギュラーカー
アーバンライナープラスのレギュラーシート
レギュラーシート

レギュラーシートは通常の4列シート。やはりデラックスシートと比べると少し狭く感じますが、こちらも「ゆりかご型シート」が採用されています。
モケットの柄からも、一般車だからといって安物ではない、というプライドが伝わってきます。
ただこちらの座席にはコンセントがありません。

高級感のあるデラックスカーに対して、レギュラーカーはシンプルでスマートな印象です。

車内販売・サービスについて

アーバンライナーでは土日のみ車内販売の営業が行われています。(朝と夜の列車を除く)
飲み物の自動販売機はありますが、事前に用意しておいた方が良いでしょう。

また、近鉄特急お馴染みのおしぼりは洗面所にあります。
私は子供の頃関西に住んでいましたが、このおしぼりをもらってとても嬉しかったのを覚えています。

近鉄特急でもらえるおしぼり
使うのが勿体ないおしぼり
アーバンライナープラスの洗面台
洗面台はやや古さを感じる。
おしぼりを取るのを忘れずに。

車両両端のデッキは展望スペースになっていて、前面展望のパノラマを眺めることができます。
次はどの車両とすれ違うか、大人でもワクワクします。

アーバンライナープラスの展望デッキ
展望デッキ
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予約方法と費用の抑え方

2020年7月の情報で運賃・料金を更新しました。

大阪の各停車駅から名古屋まで通常料金では4340円ですが、さらに安くすることができます。

広告では3290円になると宣伝(2019年)されていますが、これは14枚つづりの乗車券とネット割引の特急券を購入した場合であって、利用できる人は限られていると思います。

実用的なのは乗車券部分を金券ショップなどで買うことです
全線で有効な株主優待券が1800円程度(定価は2410円)で出回っています。

特急券は近鉄のホームページからネット割引を利用します。
定価の1930円から、前日までなら300円、当日でも100円安くなります。

会員登録するとポイントが貯められますが、使用するハードルもあるので、頻繁に特急を利用するのでなければ必要ないと思います。
ただしこのネット割引はキャンペーンなので変更・終了の可能性があります。

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ネクストとプラスの見分け方

時刻表やホームページでは分かりませんが、車両の判別方法はあります。
前章で紹介したネット予約ですが、号車・座席が選べます。
覚えておくべきはポイントは2つです。

  1. 8両編成ならばプラスである。
  2. 4号車の座席が14列(56席)ならばプラス、13列(52席)ならばネクストである

車両を特定して乗りたい人は参考にしてください。

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後継の新型車両「ひのとり」

2020年3月、アーバンライナーの後継車両となる「ひのとり」が登場しました。
それまでの近鉄特急のイメージを覆す光沢のある上品な赤の車体で、先頭車両はハイデッカー構造になっています。
主に名阪ノンストップ特急に運用されています。

レギュラー車両とプレミアム車両から成る編成で、前者でもグリーン車並みの快適性で、後者は新幹線のグランクラスに似た客室です。
特にプレミアム車両の快適さや静かさは驚くべき水準です。

「ひのとり」のプレミアム車両の車内

ひのとりを利用するためには、座席クラスと区間に応じたひのとり特別料金が必要になります。
気になる料金ですが、難波~名古屋ではレギュラー車両が200円、プレミアム車両でも900円とお手頃価格となっています。

なお、名阪ノンストップ特急は「ひのとり」で運転する列車が増えましたが、アーバンライナーは車両更新されなかったノンストップ便の他、一般型に代わって停車タイプの名阪特急にも運用されるようになりました。

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総評

アーバンライナーは、速い列車では鶴橋~名古屋間の表定速度は90㎞を超えていますが、実際に乗っていると不思議と速さを感じません。これは乗り心地が良い証拠だと言えます。

古くてもクオリティーの高い車両がひしめく関西の私鉄にあってもなお、東武鉄道の100系スペーシアに対して、「私鉄有料特急の西の横綱」と評価できましょう。

派手さはないものの、落ち着いて上品なインテリアと安定した乗り心地は、写真などから分かる「パッと見」に頼らない誠実さに他なりません。
そしてそれこそが、30年に渡って近鉄特急の看板列車たりえた理由なのです。

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