道内鉄道高速化の開拓者、「北斗」キハ281系とその時代【普通車・グリーン車の車内や座席など】

北海道の車両
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札幌~函館間「スーパー北斗」として登場

制御付き振り子式で最高速度は130㎞の高性能気動車

札幌~函館間は東京や大阪~札幌という大動脈の一部として、国鉄時代から車両・線路両面から輸送改善が積極的に行われていた区間でもあります。
函館本線は函館~札幌~旭川という北海道のまさに中枢を繋ぐ幹線ですが、途中長万部~小樽間には4つの山越えがあり、輸送力の低さが際立っていました。
そこで、夕張の炭鉱と工業都市室蘭を結んでいた室蘭本線を函館本線の長万部まで延長し、新たな噴火湾沿いのルートが難工事の末に開拓されました。

そんな北海道の重要路線の高速化の切り札として、1994年に営業を開始したのがキハ281系です。
JR北海道にとっては最初のディーゼル特急車両で、この車両を使う列車は「スーパー北斗」を名乗っています。
また、従来のキハ183系(後期型)を使用する「北斗」も、130㎞運転が可能な改造を受けています。
1980年にキハ183系(初期型)が登場した時の最高速度は100㎞でしたから、北海道の高速化が一気に進展されたことが分かります。

制御付き振り子式を採用し、曲線通過速度は本則+30㎞、最高速度は130㎞になっています。
世界初の振り子式気動車はJR四国の2000系ですが、同車が最高速度120㎞なので一層進化しています。

その結果、札幌~函館の所要時間は一気に30分短縮されました。

外観

キハ281系の車体側面
車体側面。
窓の周りの黒が引き締まって見える。

同時代に誕生したJR東日本のE351系や651系に似た外観で、以後の北海道の気動車特急の標準ともなりました。

正面は貫通扉付きの高運転台が特徴的です。
北海道では大型動物との衝突が比較的多いことを考慮した結果で、運転席の下の部分は乗客が前面展望を望めるスペースがありました。
しかし、ここも安全上の理由から、現在では立ち入りが禁止されています。

なお、ロゴは当初「HEAT281」でしたが、現在はキハ283系と同じ「FURICO281」になっています。

キハ281系のロゴ
キハ281系のロゴ
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キハ281系の車内

JR北海道の多くの特急列車は、指定席にグレードアップ座席が備えられているので、同じ普通車でも自由席と指定席では座席が異なります。

ただ、列車によっては自由席もグレードアップ座席になっていることもあります。

普通車自由席の車内と座席

キハ281系自由席の車内
自由席の車内

登場時の面影が一番残っているのが普通車自由席車両です。
座席・床・インテリア、いずれも最近の特急車両の普通車と比べると、素っ気なくしょぼい印象を持ってしまいます。
フットレストがあるのですが、シートピッチは広くないので利用価値はあまりありません。

国鉄の車両はボロくて、JRになってから飛躍的に性能や接客設備が良くなった」という歴史観に立脚した書籍は多いですが、これらは一面的で偏っていると思います。
好景気を背景に豪華な内装の車両が次々と登場した一方で、まだまだ現在の水準とは程遠い車両も多かったのが1990年代半ばまでではないでしょうか。

キハ281系自由席の座席
自由席の座席

普通車指定席の車内と座席

キハ281系普通車指定席の車内
普通車指定席の車内

指定席は北海道各地でお馴染みのグレードアップ座席が並びます。
会社側の都合としては、設備を共通にして効率化を図れるメリットがあるのでしょうが、利用者(というか鉄道ファン)からすると各車両の個性が失われて残念な気もします。

とはいえ、座席は交換されたものの、車両の内装はさほど変わっていないため、指定席でも車両の違いを楽しむ要素はまだあります。

グリーン車の車内と座席

キハ281系グリーン車の車内
グリーン車の車内

グリーン車も座席はキハ283系やキハ183系と共通のものが使われています。
普通車指定席よりもさらに共通化されていますが、照明や足元の構造(窓側に銀色の出っ張りがある)などにキハ281系らしさが残っています。

座席・妻面はブラウンで上質で落ち着いた空間です。
北海道のグリーン車リニューアルに否定的な声も聞かれますが、個人的には現在のグリーン車の内装や座席は優良だと思います。

キハ281系グリーン車の座席
グリーン車の座席
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日本最速の特急として君臨したことも...

最速スーパー北斗の表定速度は日本一だった

かつて最速の「スーパー北斗」は函館~札幌間を2時間59分で結び、停車時間を含む平均速度、つまり表定速度は106.8㎞で日本最速でした。
スーパーのチラシではないですが、札幌~函館が2時間台というのは相当なインパクトがありました。

何より、北陸本線・湖西線の「サンダーバード」のように全線複線電化ではなく、非電化で単線区間も抱えてのこの速さは驚異的です。
途中区間では、何十キロも直線が続く東室蘭~苫小牧間の58㎞を30分で走破し、平均速度は116㎞にもなっていました。

現在の最高速度は120㎞に

2010年代前半に立て続けに起きた特急列車のトラブルにより、高速運転よりも安全性の確保とコスト削減を余儀なくされます。
キハ281系も最高速度は120㎞に抑えられ、スーパー北斗の所要時間は大幅に延び、現在では最速でも3時間30分程度です。

さて、キハ281系の後継車両として、最高速度140㎞、曲線通過速度が本則+50㎞という、とんでもない性能を持つキハ285系が北海道新幹線開業に向けて開発されていました。
しかし、JR北海道を取り巻く状況がそんな贅沢な車両の開発を許さず、結局キハ281系よりもスペックを落としたキハ261系1000番台が「スーパー北斗」用に増備されます。

この後退はJR北海道のみならず、日本の鉄道全体の発展において痛手でした。

函館駅に停車中のキハ261系スーパー北斗
函館駅に停車中のキハ261系スーパー北斗
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現在は運用も狭まり引退も近い

コスパ重視のキハ261系1000番台の増備の裏で、車齢が25年になるキハ281系の運用は減っています。
なお、2020年3月より函館本線特急の列車名は「北斗」に統一されました。
現在キハ281系で運転される「北斗」は、下りが【5,7,21号】、上りが【2,14,16号】の3往復のみです。

2019年度のJR北海道の中期経営計画では、2022年度に「札幌~函館間の特急をオール261系化」することが明記されています。

逆に言えば、その時点でキハ281系は定期運用を失うことになり、引退することも考えられます。

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総評

重要なルートを走る特急列車だけあって、JR北海道にとっては最初の会心作ともいえる車両です。
なお本車両をベースとして、さらなる高速化と快適性の向上を目指したキハ283系が、1997年に根室本線系統に投入されています。

キハ281系は民営化以後における北海道の特急車両のあり方を示した、まさに開拓者と呼んで差し支えありません。

結果的に、戦前から進められていた札幌~函館間高速化の到達点は、キハ281系による「スーパー北斗」となってしまいました。
現在ではその性能を生かすこともなく、キハ261系と比べてただ古いだけの存在に成り下がってしまっているのが大変悔やまれます。
しかし、北海道の鉄道高速化、そしてディーゼル特急車両の進化のためにキハ281系が果たした意義は間違いなく大きいものです。

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