逆風に立ち向かうはまかぜ、キハ189系とその時代【普通車の車内や座席など】

西日本の車両
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「はまかぜ」の新型車両

山陰本線でも進むディーゼル特急の世代交代

山陰本線で長らく使用されてきた国鉄型のキハ181系も、2001年のキハ187系の登場によって運用範囲は大幅に狭まり、2005年に益田~小倉間の特急「いそかぜ」が廃止されてからは播但線経由の特急「はまかぜ」のみの運転となりました。

「はまかぜ」は大阪からJR神戸線を通って姫路まで行き、そこから進行方向を変えて播但線を経由して和田山から山陰本線を走る、という変わった経路をとる列車です。
山陰本線の鳥取~益田と異なり、姫路から先は高速化が進んでいない路線を走るため車両更新が遅れたこの「はまかぜ」にも、ようやく2010年になって新型車両キハ189系が投入されました。

上っ面はキハ181系を踏襲するも...

キハ189系の車体はステンレス製で山陰本線のカラーであるダークレッドのラインが入っていますが、正面は同じく「はまかぜ」で活躍したキハ181系やキハ82系によく似ています。

キハ82系。
青森駅近くにある青函連絡船八甲田丸にて。

ところが外見だけ真似てみたものの、中身はといえば全く異なります。
キハ181系やキハ82系はグリーン車や食堂車を連結しており、何より長大編成を誇る貫禄ある特急車両だったのに対して、キハ189系は基本3両編成でグリーン車もありません。

特にキハ82系が登場した1960年代前半という時代は、東北本線すら全線電化されておらず、全国の地方幹線で長大なディーゼル特急が堂々と走っていたのでした。
その意味で、高度経済成長期に登場した先代の車両たちと、リーマンショック後の不況から抜け出していない頃に生まれたキハ189系の編成内容を比較するのは気の毒なのも事実です。

性能面ではキハ187系のような車体傾斜機能はありませんが、最高速度は130㎞となりました。
俊足の新快速が頻繁に走るJR神戸線でも、足手まといにならずに走ることができます。

エンジン音は近代的な感じで、大きな音を轟かせるというよりはスマートな音ですが出力は強力です。
小学校の理科で使ったガスバーナーは、メラメラした赤い炎より、静かに燃える青い炎の方が温度が高いのと同じです。

「スーパーはくと」や「こうのとり」の隙間商品として奮闘する

播但線の寺前駅。
姫路~寺前は電化されており、沿線人口もそこそこある。

「はまかぜ」はその立場が非常に微妙な列車です。
というのは、その運転区間で役割が重なる特急列車が複数あるからです。

1987年4月の時刻表を見ると、「はまかぜ」は新大阪・大阪~鳥取・倉吉・米子間で運転されています。
この時代はまだ智頭急行が開通しておらず、大阪から鳥取へ直通する唯一の特急列車でした。
また新大阪発着の列車が設定されていることから、新幹線連絡列車としての役割もあったと思われます。

しかし智頭急行経由の「スーパーはくと」が大阪~鳥取間を2時間半程度で結ぶと、同区間で4時間以上を要する「はまかぜ」は太刀打ちできず、運転区間を縮小していきます。
現在鳥取まで運転しているのは1往復のみです。

また沿線の主要観光地である城崎温泉も、電車特急「こうのとり」が頻繁に運転されており、こちらも「はまかぜ」の出る幕はあまりありません。
そのため「こうのとり」ではカバーしづらいJR神戸線の阪神間や播但線沿線と、主に城崎温泉以西の但馬地区の輸送を主目的とした列車となっています。
また播但線の竹田駅近くにある竹田城が観光地として注目を集めたことでも、その存在価値を高めました。

長距離輸送は新幹線ありきな発想が主流の近年に、このようなニッチな需要を満たす列車が設定されていることは嬉しい限りです。

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キハ189系の車内とサービス

キハ189系にはグリーン車がありません。
また3両編成のうち自由席は1両のみ(鳥取発着便は2両)なので、大阪発の列車を姫路以遠から乗車する場合は要注意です。

普通車の車内と座席

キハ189系の普通車の車内
普通車の車内

先祖譲りの厳めしい外見とは裏腹に、車内は優しい雰囲気です。
赤い座席にモザイク柄の床はなかなかお洒落です。
客室扉や妻面はピンク色ですが、明るすぎず、そして「大人向け」でもない適度な色調です。

また、軌道が弱い播但線区間でそれなりの速度で走っても、あまり揺れず快適なのは質の高い車両であることの証です。

キハ189系の普通車の座席
普通車の座席

車内販売は無いが姫路駅で買い物のチャンスあり

「はまかぜ」には車内販売はありません。
必要なものは乗車前に買っておくべきですが、もし忘れてしまった場合でもワンチャンスあります。

「はまかぜ」は姫路駅で播但線に入るために進行方向が変わるためか、停車時間がやや長くなっています。
一番短い列車でも4分、たいていは6分くらいあります。
この時間を利用してコンコースにあるコンビニでコーヒーや食べ物を調達したり、新幹線の改札口の前にある駅弁屋で買い物をすることも不可能ではありません(もちろん自己責任でお願いします)。
幸い「はまかぜ」が発着するのは離れた所にある播但線ホームではなく、JR神戸線のホームです。

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総評

多客期には2編成繋げて6両で走る

臨時列車を除けば「はまかぜ」3往復と、その間合い運用の「びわこエクスプレス」2号のみという目立たない存在ながら、「身の丈」にあった編成で任務をこなしています。
また、播但線にとっては、本数が少ないとはいえ特急列車が運転されているという事実がステータス・集客力になる面もあります。
「はまかぜ」の存在は、日本各地の地方ローカル線にとって一つの方向性を示しているようにも思えます。

競合する特急列車に押される中、JR神戸線沿線で客を拾いながら播但線経由で城崎温泉・香住・浜坂を結ぶという、ニッチな商品価値を持った列車としての誇りが189系には感じられます。

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