仙台行きひたちは復興の象徴、E657系とその時代【普通車・グリーン車の車内など】

東日本の車両
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常磐線特急に新型車両

651系譲りのスマートな車両

常磐線特急列車は651系「スーパーひたち」とE653系「フレッシュひたち」で運行されていましたが、途中停車駅が少ないうえにグリーン車も連結されている「スーパーひたち」の方が、古い車両であるにもかかわらず「格上」の存在でした。
E657系はさすがに古さが目立ってきた651系に代わる、次世代の常磐線のフラッグシップ列車となるべく2012年に登場した車両です。

バトンを受け継いだ651系と同様に全体的に硬派な印象ですが、窓下の赤いラインはなかなかのアクセントになっています。

真面目なスタイルの車両に描かれる赤いラインがギャップを感じさせる

当初の予定ではいわきまでの運用だった

ところでE657系の導入が発表された当初の計画では、常磐線特急列車の運転系統をいわき駅で分割し、本形式によるいわき以南の「ひたち」と、E653系による「ときわ」とすることになっていました。
いわき駅は常磐線で勿来の関を越えて福島県に入って最初の大きな駅で、この駅を境に輸送量に差があるためでしょう。
しかし2011年3月に襲った東日本大震災の影響で、いわき以北の特急列車の運転がそもそもなくなり、この計画は白紙撤回されます。

結局E657系は2012年より「スーパーひたち」「フレッシュひたち」の一部列車で営業運転を開始します。
その後も増備は遅れながらも続けられ、2013年に常磐線特急はE657系で統一(僅かな例外として651系の代走もあった)されました。

なお「ときわ」のポストが立ち消えになったE653系は、真面目な前後の世代の存在で常磐線に居づらくなったのか新潟地区に転勤となりますが、羽越本線特急「いなほ」としてリニューアルされてその個性を実らせました。

上野東京ライン開業により品川まで進出

常磐線特急はそれまで旅情ある上野駅の地上ホームから出発していましたが、2015年に通称・上野東京ラインが開業すると、東京を経て品川まで足を延ばすことになります。
またこれを機に列車名が整理され、速達タイプが「ひたち」(旧「スーパーひたち」に相当)、停車タイプが「ときわ」(旧「フレッシュひたち」に相当)となりました。
中央本線の「あずさ」と「かいじ」もそうですが、車両が新型に統一されたため一昔前のように「スーパー○○」をむやみにつけるより、運転区間別に列車名を決めた方が分かりやすいのは確かです。

「ときわ」は1980年代半ばまで特急「ひたち」と共に常磐線内を走っていた急行列車の名前ですが、料金や列車編成は同じです。
また東北新幹線や北海道の石勝線特急のように、列車ごとにえきねっとの割引率に差をつけているケース(例えば「やまびこ」や「おおぞら」に対して、運転区間が短く停車駅の多い「なすの」や「とかち」の方が割引率が高い)もありますが、常磐線特急ではそうした乗客を分散させる差別化もありません。

ともかく、山手線内でも特に往来の多い区間まで進出したことで、利便性の向上のみならず、E657系にとっては大きな自己アピールの機会となったことでしょう。

東京駅に停車中のE657系
東京駅に停車中のE657系

常磐線全線再開で仙台まで乗り入れ

2020年3月、最後まで不通だった富岡~浪江間が復旧し、ついに念願の常磐線全線再開が実現します。
これによってそれまでいわき止まりだった「ひたち」の内3往復が仙台まで運転されました。
本数は少ないとはいえ、当初の予定通りいわき駅で運転系統を分割せず、10両編成で仙台まで行きのは、常磐線全線復旧の象徴的意味合いもあると思われます。

仙台行きが実現した「ひたち」

上野から仙台までの所要時間は4時間半程度と、東北本線特急時代の特急「ひばり」が4時間を切っていたことを考えると長いですが、それはいわき以北がほぼ単線で停車駅も多い(特に最後に復旧した区間)ためです。

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E657系の車内

普通車の車内と座席

E657系の普通車の車内
普通車の車内

普通車は黒と白のコントラストが印象的な室内です。
E657系では普通車であっても全席にコンセントが付いているのが特徴です。

また「ひたち」は上野~水戸間で表定速度100㎞を超える俊足列車として知られていますが、カーブや加減速時でもそれほど大きく揺れず快適です。
ただし、デッキが無い側の客室の端だと、下に台車があってそれなりにゴツゴツします。

E657系の普通車の座席
普通車の座席

グリーン車の車内と座席

E657系で評判が悪いのがグリーン車です。
多くのJR東日本の車両と同じで普通車と同じ4列シートになっています。

私は4列シート=悪、という二元論は嫌いですが、それでもやはりE657系のグリーン車に関しては付加価値が少ないと感じます。(もっとも普通車の水準が高いのも事実ですが。)

E657系のグリーン車の座席
グリーン車の座席

同じ4列シートでも例えば中央本線特急のE353系は、青く清らかな普通車に対して、赤を大胆に使った客室で差別化しているのですが、E657系にはそういった創意工夫が足りないように思えます。

普通車との違いは、床がカーペットで座席もやや大型、内装の木目もより濃い色で高級感がある点が挙げられます。
また座席やブラインドの模様が違っていたり、照明もより暖かい色合いになっています。

「雰囲気は好きだけど全体的に物足りない」というのが私の感想です。

E657系のグリーン車の車内
グリーン車のほぼ全景。
落ち着いたサイズの客室で決して雰囲気自体は悪くない。

デッキ

高級感のあるデッキ

E657系のデッキはハイクラスのビジネスホテルを思わせるような、シックな雰囲気が特徴です。
遊び心はありませんが、下手に沿線の文化の表現をされるよりは、こうした普遍的な質の高い設備の方が遥かに良い印象になります。

エントランスデッキ

車内販売について

「ひたち」では品物を縮小して継続してい車内販売が行われていますが、「ときわ」ではありません。

ただ、私がいわき~仙台まで「ひたち」に乗車した時には車内販売は来ませんでした。
実際に車内販売を行う会社のページでは、「ひたち」(品川~いわき)と書かれています。

せっかくの機会ですから、いわき以北で特産品などを取り扱ってくれれば良いのですが、いわき~仙台間も所要時間は2時間以上と長いので残念です。

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総評

仙台駅コンコースから常磐線列車のホームへの階段。
震災を乗り越えて特急列車がやって来た。

651系からの隔世遺伝を感じさせる、気品のある凛とした車両です。
あまり愛想笑いは得意ではありませんが、客室やデッキの接客設備のスマートさは常磐線特急の運用を一手に引き受けた車両に相応しいものです。
また、全国の在来線の中でも有数の高速で走る列車にもかかわらず揺れは少なく、総じて完成度の高い車両だと思います。
民営化後の常磐線特急車両三代物語も、これで暫くは一区切りといったところでしょうか。

「ひたち」が到着した仙台駅の1番ホームにて。
思えば明治時代以来、線路がつながった時に人々は、鉄道に対して夢や将来を託してきた。

行く先々で「仙台」と書かれたLED表示に狂喜乱舞する人々を見て、E657系は自らが生まれる前年に起きた大災害と、その復興のために期待される自身の存在の大きさを知ったことでしょう。

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