最西端のたびら平戸口駅がある松浦鉄道の乗車記【一日乗車券で伊万里から佐世保へ】

私鉄

松浦鉄道は佐世保線有田駅(佐賀県)から伊万里駅を経て、佐世保駅(長崎県)に至る路線で、かつては国鉄の松浦線でした。
北松浦半島を周り、途中には日本最西端(沖縄のモノレールを除く)で知られるたびら平戸口駅があります。
今回紹介するのは伊万里~佐世保の区間です。
2021年12月に、たびら平戸口駅で記念も兼ねて途中下車して、平戸観光をした後に佐世保に向かいました。

太い赤線が今回乗車した区間、青線が乗らなかった有田~伊万里、黒点がたびら平戸口駅。
国土地理院の地図を加工して利用。
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伊万里~たびら平戸口

車両にトイレは無い

松浦鉄道の車両にはトイレの設備がありません。
これは比較的長距離を走る第三セクター鉄道にありがちなのですが、1時間以上乗車するだけに懸念材料ではあります。
行き違いなどで5分程度停車する駅が時々あるのが救いです。
車内は通路を隔てて4人用と2人用のボックスシートが並んでいます。

伊万里~たびら平戸口の運転本数は、だいたい1時間に1本、所要時間は1時間10分程度です。
また、有田~伊万里はもう少し本数が多くて、所要時間は約30分です。

乗車記:北の海の風景

朝博多を発って、筑肥線で伊万里駅にやって来ました。
松浦鉄道が国鉄から第三セクター化された後もしばらくは駅が共用でしたが、現在は現在はJR筑肥線と別々の駅を使用しています。

伊万里駅は松浦鉄道の途中駅ですが、有田方面から来た列車はここで進行方向が変わるスイッチバック構造になっています。
これは駅が筑肥線(今のように福岡市営地下鉄がなく、筑肥線は博多発着だった)と共用だった時代、博多から平戸方面への直通列車を走らせるために都合が良かったためです。

さて、10時7分に列車は伊万里駅を出発しました。
たびら平戸口駅までは海が見える区間なので、進行方向右側に座りましょう。
すぐに伊万里湾に近づきますが、意外と開発されていて大きな工場やエネルギー関連施設が並んでいます。

長崎県に入って最初の駅である今福駅から前浜駅にかけてが、自然な海岸を眺めることができる松浦鉄道の車窓ハイライトです。
九州というと太陽を浴びて輝く海を想像しがちですが、冬の北九州の海は分厚い雲に覆われた日本海の風情です。
停車中に駅に降りてみると北風が冷たく、民家が健気に肩を寄せ合っています。
黒光りする屋根が時々ありますが、これも東西問わず日本海側に共通してみられる光景です。

写真だけ見ると瀬戸内海のような景色ですが、風で草木がざわめき、とても穏やかな行路ではありません。

やがてまた水産工場などが増えてきて、沿線の中心都市で社名にもなっている松浦駅に着きます。

巨大な設備を見ながら松浦発電所前駅を過ぎると、線路は海から離れて、リアス式海岸を成す半島の付け根の山間部を進んでいきます。

たびら平戸口駅では私を含め数人が降りました。
入れ替わりに乗って来たのもやはり旅行客風の人達でした。
次の駅が西田平駅という名前ですが、こちらの方が西に位置しています。

鉄道博物館のあるたびら平戸口駅からバスで平戸へ

沖縄のモノレールを除くと日本で最も西に位置するのがたびら平戸口駅です。
途中駅ですがカーブ上にある比較的大きな駅で雰囲気があり、古い駅舎とホーム屋根がよく似合います。

この駅には切符売り場も兼ねた鉄道博物館があり、昔の写真や小道具などが並べられています。
規模は小さいですが、廃止になった沿線から延びていた支線の駅名標など、貴重なものを見ることができます。
また、駅そばならぬ、ちゃんぽんのお店もありましたがこの日は休みでした。

せっかく西の端まで来たので平戸観光をしました。
赤い平戸大橋を渡った先にある平戸まではバスを利用します。
平戸口駅のバス停から観光の中心となる平戸桟橋までは15分です。

江戸時代の鎖国体制が敷かれるまで、イギリスやオランダとの貿易で栄えた平戸は名所・史跡も多く、しっかり観光するなら滞在は3時間くらいは必要ではないかと思います。
有名なスポットとしては寺院と教会がみえる坂があり、外国文化とかかわりの深い平戸ならではの風景です。

平戸城からの眺め。
右に見える赤い橋が平戸大橋。
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たびら平戸口~佐世保

本数が増える

たびら平戸口からはそれまでより若干運転本数が増え、佐々からは1時間に2~3本になります。
この区間の所要時間は約1時間20分です。
佐々から快速列車の運転がありますが、朝の区間列車なので旅行者にはあまり関係はないでしょう。

これも国鉄から第三セクター化された路線でよくあるように、駅の数が非常に多く地域密着の姿勢がよく表れています。

乗車記:かつての炭田地帯を走る

たびら平戸口駅に戻って15時47分発の列車に乗車します。
先ほどバスで渡って来た赤い平戸大橋が一瞬だけ右窓から見えました。

ここからは海はほとんど見えず、山がちな地形となります。
基本的に西に進んでいた伊万里~たびら平戸口に対して、佐世保までは南下していくルートです。

すえたちばな駅付近で海を見た後もしばらくは内陸部を走ります。

さて、かつて炭田地帯だったこの区間は運炭を目的に建設されました。
沿線から炭坑へ向かう支線が幾つかありましたが、1960年代以降のエネルギー政策の転換によっていずれも廃止されています。
主要駅で空き地が広がっているのはその名残です。

江迎鹿町駅

佐々駅さざあたりからは平地が広がり、車内もだんだんと乗客が増えはじめ、特に学生が乗って来てからは大変混雑していました。
「うち、明日でテスト終わるたい!」と言いながら、女子高校生がその情熱的な目を輝かせています。

昔炭坑で栄えていたことと関係があるのか分かりませんが、川沿いや山の斜面にも家がびっしりと埋められていて、都会の下町のような生活感がひしひしと伝わってきます。

松浦鉄道は全般的に駅間が短いのですが、その極めつけは中佐世保駅~佐世保中央駅で、駅間は僅か200mです。
雑然とした街並みを縫うように走る列車は、中佐世保駅から走り出してカーブしたと思ったら、すぐにビルの裏側に貼り付いた佐世保中央駅に停まりました。
鉄道よりも市内の路線バスのような感覚です。

そんな路線もついにはウォーターフロントの整然とした市街地になり、終点佐世保駅に到着です。
もう17時過ぎで、12月なら東京は暗くなっている頃ですが西九州はまだ明るいです。

佐世保駅はJRのホームと隣接しており、JRの駅ではここが最西端です。

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一日乗車券のMRフリーきっぷ利用がおすすめ

松浦鉄道では1日乗り放題の乗車券として、「MRフリーきっぷ」が販売されています。
値段は2000円で、主要駅及び車内で購入することができ、土日・平日関係なく指定した日に使えるのもありがたい点です。

例えば伊万里~佐世保を乗り通した場合でも2290円なので、途中下車をしなくても利用価値があるきっぷです。
また、数日間まとめて鉄道に乗る場合は、JRの普通列車や私鉄、市内の路面電車にも有効な「旅名人の九州満喫きっぷ」を利用するのもよいでしょう。

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「最果て」というより「地元密着」の鉄路

東(根室本線)・西・南(指宿枕崎線)・北(宗谷本線)の端に位置する鉄道の中で、松浦鉄道は一番活気のある路線です。
他の3つが荒涼とした最果ての情景を色濃く映し出しているのに対して、日本海的な感傷こそあれ、松浦鉄道には鉄路の孤独感というものがなく、多くの沿線住民に支えられていることが感じられます。
そして、それは国鉄時代に比べて駅が大幅に増えたことからも分かります。

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