【釧路駅~根室駅への乗車記】花咲線の絶景と厚岸駅の「かきめし」を味わう

ローカル線
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名は根室本線でも実態はローカル線

花咲線は正式な路線名ではなく、根室本線の末端部分にあたる釧路~根室間の愛称です。

釧路までは線路が高速化されて特急列車が運行されている根室本線ですが、花咲線には快速が1往復あるのみで、昔は走っていた優等列車の運転も今はありません。

普通列車の運行系統も釧路で完全に分離されているので、実際のところは根室本線とは別のローカル線に近い様相です。

既に肌寒くなった9月中旬に花咲線を往復しました。

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花咲線の車窓・見所

ルパン三世のラッピングが施されたキハ54形に乗車

ラッピングされた花咲線のキハ54形
ルパン三世のラッピングが施された花咲線のキハ54形

花咲線に使われる車両は、北海道各地でお目にかかるキハ54形です。
現在この車両は集団見合い式と呼ばれる、各座席が車両中央部を向いているクロスシートが装備されていて、長時間乗車にも耐えうるアコモデーションです。

キハ54形のボックス席
キハ54形のボックス席

なお花咲線の茶内駅はモンキー・パンチの出身であることから、一部の車両ではルパン三世のラッピングが施されています。
その場合、座席は特急電車の自由席と同じリクライニングシートで一層快適ではあるのですが、窓にもラッピングがかかっていて少々邪魔です。

ラッピングされた花咲線のキハ54形の車内
ラッピングされた車両の座席は特急の自由席のものが使われている。
モンキー・パンチの故郷、花咲線茶内駅
モンキー・パンチの故郷、茶内駅

釧路湿原はすぐに終わる

釧路駅を出るとすぐに釧路川を渡り、やがて有名な釧路湿原を走ります。
ただ、花咲線は釧網本線とは違ってそれほど釧路湿原にはお世話になりません。

根室本線釧路~東釧路間で釧路川を渡る
釧路川を渡る

釧網本線が分かれる東釧路駅を過ぎてまもなく、湿原から山地へと舞台は変わります。
特に別保駅~上尾幌駅は川を何度も渡りながら蛇行して走ります。
花咲線において唯一トンネルがある駅間でもあります。

花咲線別保駅~上尾幌駅のトンネル
トンネルがあるのはこの辺だけ

尾幌駅あたりからはまた緩やかになり湿原も広がります。
厚岸駅の手前では海岸が広がり、青い水面との対比がよく目立つ大きな橋も見えます。

花咲線厚岸駅周辺の車窓
厚岸駅の手前で海岸に出る

厚岸駅で駅弁「かきめし」を購入

さて、厚岸駅といえば日本で一番東の駅弁、「かきめし」が有名です。
牡蠣だけでなく、あさりやツブ貝も地味に良い味わいを出しています。
ご飯にもかきの旨味がたっぷりしみ込んでおり、食後もしばらくは磯の香りが口の中を漂います。

かきめしを購入するには厚岸駅で途中下車する必要はなく、販売所である氏家待合所に電話予約をすると、ホームまで持ってきてくれます。

別当賀駅~落石駅は絶景区間

厚岸駅を出発してかきめしを広げているうちに列車は厚岸湖に沿って走っています。
風光明媚な車窓と名物駅弁の組み合わせは、どんな優秀な車両デザイナーであろうが叶わない旅の演出です。

花咲線厚岸駅周辺の車窓
厚岸湖を見ながら走る
花咲線厚岸駅周辺の車窓
湖岸の湿原を走る

牧草地を進んでいくと旧標津線が分岐していた厚床駅に着きます。
標津線の廃止を象徴するかのような、投げやりな表情のホームが何とも言えない風情を醸し出しています。
ここから中標津への標津線代行バスが出ています。

旧標津線の分岐駅、厚床駅
旧標津線の分岐駅、厚床駅

花咲線に限らず道東の緩やかに起伏する広い平原の風景は、それにしても日本離れしています。
夕暮れ時などは「遠き山に日は落ちて」の原曲である、ドヴォルジャークの交響曲第9番「新世界より」第2楽章のあの余りに有名なメロディーが自然と奏でられるようです。

花咲線の起伏のある草原
起伏のある草原

さて、根室半島がだんだんと狭まっていき、別当賀駅~落石駅にかけては、線路はついに海岸に迫った崖の上に放り出されます。
周囲の植物は背丈が低く、標高は高くないものの、まるで高原地帯にいるかのような雄大で荒涼とした風景は花咲線のハイライトです。

花咲線の別当賀駅~落石駅間の車窓
崖っぷちに立たされる線路
花咲線の別当賀駅~落石駅間の車窓
雄大なパノラマ

ところで、列車が警笛を鳴らしながらブレーキをかけることが度々あります。
その際に注意して外を見るとエゾシカが逃げていくのがよく見えるます。
北海道では大型動物との衝突事故が時々ありますが、花咲線では特にエゾシカの出没が多いように感じます。

花咲線沿線に出没したエゾシカ
野生動物なのだから、もう少し危険意識を持って欲しいのだが…

西和田駅を過ぎたころからは左手にも根室湾が、そしてその向こうには山が見えてきます。

花咲線からの根室湾
ついに左手にも根室湾が見えた

路線の愛称の由来となった地名の花咲駅は廃止されていますが、花咲港を眺めながら根室市街に入り、日本最東の駅である東根室駅、そして左にカーブして西を向いた状態で終着根室駅に到着です。

日本最東の駅、東根室駅
無人駅だが日本最東の駅

根室駅に到着

根室駅駅舎
根室駅駅舎

東根室駅開業によって日本最東のタイトルは手放した現在、根室駅は最東端の有人駅となっています。
昔は貨物列車も発着した名残のある線路が広がっており、少し寂しい雰囲気もありますが、それだけに終着駅の旅情もひとしおです。

根室駅構内
根室駅構内

ここから納沙布岬に行くバスに乗ることができます。
また、根室市街ではロシア語のキリル文字をよく見かけます。
異国情緒といったナイーブな言葉だけでは片づけられない、領土問題も含めた複雑な気持ちにもなります。

根室駅前のロシア語の案内地図
駅前の外国語案内

ちなみにフリー切符利用者の中には折り返し乗車をする人もいるでしょうが、その場合でも一度改札を出て再度入場しなければなりません。

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最果ての終着駅

根室本線の終点

北か東かの違いはあれど、最果てへの鉄路という点では、花咲線は宗谷本線と似ています。どちらの路線もその細いレールは、大地や海に吸い込まれてしまいそうな感じがします。

しかし、駅舎が新しくなり、戦前はサハリン航路と連絡していたロマンのある稚内駅と比べると、根室駅はもっと素朴なローカル線のような趣があります。

線路が西を向いている根室駅に降り立つと、終着駅として逆説的でもありつつも、何処か象徴的でもあるような感慨を覚えます。

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