快速シーサイドライナーで行く、大村線の乗車記【車窓・絶景区間について】

ローカル線

大村線は長崎県の早岐駅はいき(佐世保線)と諫早駅いさはや(長崎本線)を結ぶローカル線です。
この路線の特徴は何と言っても大村湾沿いの車窓が優れていることです

2022年3月、諫早駅から早岐駅まで大村線の列車に乗りました。
なお、写真は別の日付・時間のものがあります。

青線が大村線
国土地理院の地図を加工して利用
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湖のような大村湾の絶景

快速「シーサイドライナー」も車両はロングシートのYC1系

大村線の路線長は約47㎞。
通しの列車のほとんどが長崎~佐世保の快速「シーサイドライナー」で、県内2大都市を繋ぐ列車として機能しています。
この快速列車が1時間毎に運転されていますが、多くの時間帯で(長崎~)諫早~竹松の15㎞だけ快速運転をする「区間快速」となっており、諫早~竹松には別個普通列車が設定されています。
煩雑なので本記事では区間快速も含めて「快速」と記しています。

大村線のYC1系

快速「シーサイドライナー」の所要時間は大村線内では1時間程度、長崎~佐世保は2時間弱が目安です。
一部の便では諫早駅で長時間停車して、長崎~諫早は特急列車の利用を促すようなダイヤになっています。
同区間の距離が25㎞未満のため、自由席特急券が500円(2022年4月以降)というのもミソです。
いずれにせよ、地域の中距離輸送を担う快速列車が津々浦々で廃止されている昨今、西九州でとりあえず快速が残っているのは心強いものです。

大村線の車両は最近YC1系という新型車両になりました。
残念ながら車両の端を除いてロングシートです。
しかも安っぽい木の板が背中でガタガタ動くので掛け心地が悪く、やたらと広いトイレが有るのが救いです。
なお、2021年までキハ66系という車両が走っていました。
こちらは国鉄の一般型気動車にしてはデラックスな設備を持つ、希少価値の高い存在でした。

「シーサイドライナー色」のキハ66系
「シーサイドライナー色」のキハ66系
2019年7月、地上時代の長崎駅にて
キハ66系の車内
キハ66系の車内
国鉄の一般車両としては珍しい転換式のクロスシートを装備していた

乗車記:海が見える車窓ハイライト区間は松原駅~小串郷駅

日曜日の昼下がり。
諫早駅から乗った2両編成の快速「シーサイドライナー」は既に結構混んでいて、部活帰りらしき学生の間に何とか座ることができました。
大村線の新型車両YC1系はディーゼルと電気のハイブリッド駆動で、動き出す時は電車のように滑らかでしたが、一定の速度を越えるとガリガリと音をたてます。

しばらくは内陸部

諫早駅を出発して長崎本線と離れると、遠くに雲仙岳の頂上が見えました。

とにかく海のイメージのある大村線ですが、しばらくは意外と山がちな地形を走ります。
山の斜面には果樹園があり、大村湾を見る前から穏やかな心地になります。

岩松駅を過ぎて、短い間だけ海岸沿いを走ります。
これはこの後続くハイライト区間の予告編のようなものです。
大村駅周辺は市街地が発達していて、普通や快速が1時間毎に走っているのも納得です。

やがて、2022年9月に開業予定の西九州新幹線の高架が寄り添ってきます。
諏訪駅竹松駅の間に新幹線の新大村駅が設置されます。
大村線の新大村駅は、新幹線駅の下にこしらえたホーム1面だけの簡素な造りです。
竹松駅からは大きな荷物を抱えた空港利用客と思しき人たちが乗ってきました。

開業を待つ新大村駅

海がすぐそばにある千綿駅

さて、松原駅を過ぎるといよいよこの路線の本番、大村湾の絶景が左手に広がります。
この先約20㎞に渡って断続的に海が続きます。
四方を陸地に囲まれた穏やかな姿は、地理の知識無しで来れば湖だと勘違いしてしまうことでしょう。

大村線の車窓
対岸に見えるのは西彼杵(にしそのぎ)半島の山なみ
大村線の車窓
海の景色は単調に見えて、海岸線は刻一刻と変化していく。

次の千綿駅ちわたはすぐ目の前が海という好立地で有名です。
それだけに、普段なら気にならないであろう低いコンクリートの防波堤が邪魔に思えます。
大村線の車窓では「絶景ポイント」というより「絶景区間」と表現するのが適当ですが、敢えてワンポイントを指摘するとなるとこの駅でしょうか。

大村線の千綿駅
千綿駅

早岐瀬戸に沿ってなおも北上

小串郷駅おぐしごうまで来ると大村湾とはお別れです。
難読駅名の南風崎駅はえのさきは、第二次世界大戦後に大陸からの引揚げ者を乗せた東京行き列車の始発駅でした。
穏やかで平和な大村線ですが、突如としてこのような歴史の一コマが顔を覗かせます。

すぐに大きなヨーロッパ式の建物が見えてきて、ハウステンボス駅に着きます。

大村線の車窓
夕暮れ時のハウステンボス(2019年)

その後左手に沿うのは川ではなく、佐世保湾と大村湾を繋ぐ水路の早岐瀬戸です。

終点の早岐駅で佐世保線と合流します。
佐世保線にとっては途中駅ですが、博多方面から佐世保に向かう列車(逆も然り)は早岐駅で進行方向が変わります。
これは今の長崎本線肥前山口諫早が開通する以前に、佐世保線(肥前山口~早岐)+大村線のルート(つまり西九州新幹線に近い)が長崎本線を名乗っていた歴史の名残です。

早岐駅構内
早岐駅近くにある給水塔跡
駅構内の広さといい、鉄道の要衝であることが分かる。

これで大村線を完乗しましたが、ついでに佐世保まで乗りました。
佐世保線区間に入ると大村線とはうって変わって起伏の多い地形になり、山の斜面にも住宅がしっかり貼り付いています。
また米軍基地が近いためかは分かりませんが、外国人の乗客がちらほら見られました。

佐世保駅は高架式の駅で、JRでは最西端の駅(沖縄県除く)です。
日本最西端の駅は佐世保駅から出ている松浦鉄道のたびら平戸口駅です。
こちらの路線も西九州の海沿いを走るローカル鉄道ですが、海の表情は大村湾とはまた一味違った趣があります。

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大村線は並行在来線には当たらず

諫早駅のポスター
2022年3月の時点で、新幹線乗り場の案内表示などの準備ができていた。

前の章でも述べたように、2022年9月に西九州新幹線の武雄温泉~長崎が部分開業し、佐賀や長崎の鉄道も大きく変化することが予想されます。
毎回話題になる並行在来線の問題ですが、対象はあくまで特急「かもめ」の走っている長崎本線であるとして、物理的な位置関係はともかく大村線の処遇は現状維持となる見込みです。

それでいて新大村駅という併設駅も作ってもらっているのですから、随分と美味しいとこ取りな気がします。
これもまとまった沿線人口を抱えている強みでしょう。

大村線の車窓
黄昏時の大村湾

JRの路線では西の果てにあるローカル線ですが、今後アクセスが向上すればその分活性化も期待されます。
麗らかな車窓が魅力の大村線には、長崎本線の分まで西九州の振興のために役割を果たしてもらいたいものです。


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