首都リガからエルガワへ、ラトビアの新型電車に乗る

ヨーロッパ鉄道

バルト三国最大の都市リガから日帰りで何処に行こうか?
一つの選択肢として、私はラトビア南部のエルガワ(Jelgava)を勧めたい。
リトアニア領クールラント公国の首都として発展した文化都市で、宮殿や歴史ある博物館など見所の多い場所である。
リガから電車で45分程度で行けるのも利点だ。

エルガワの訪問記は別記事に譲り、本記事ではリガからの列車の利用法について解説する。
2025年9月上旬、リガからエルガワまで朝の電車を利用した。

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ラトビアでは珍しい新型車両

これまでバスが主な移動手段だったバルト三国も、近年は鉄道が見直されている。
まるで過去と決別するかのように、この地域では車両の近代化が大きく進められているのである。
しかし真ん中に位置するラトビアはこの動きから遅れており、ソ連時代のレトロなディーゼルカーが未だに主力として活躍している。

ソ連時代のディゼルカー

そんなラトビアにおいて例外的な区間が、今回紹介する首都リガ~エルガワ間だ。
国際列車の走るヴィリニュス~リガ間のラトビア側の路線でもある。
複線電化された線路には、2023年末にデビューした新型の電車が1時間毎に走っている。
リガ~エルガワ間の所要時間は約45分。
エルガワは国内第4の都市であるが、リガからの距離が近いので首都の郊外線といった雰囲気もある。

ラトビアのリガ~イェルガワ間の新型電車
新型電車

電車の車内は通路を挟んで2&3列配置のボックスシートだ。
ラトビアの鉄道は線路幅が日本の1.5倍近くあるので、それほど狭いという感じはしない。
窓側にはスマホを充電できるコンセントがあるのも助かる。

ラトビアのリガ~イェルガワ間の新型電車の車内
新型電車の車内
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チケットはネットまたは駅の窓口で買える。費用は2.5€。

チケットを買う方法は2つ。
ネットか駅の窓口である。
ネットではラトビア国鉄のサイト(Vivi)から購入することができる。
どの列車に乗るかは指定するが、全席自由席で1等車など特別席もないので、難しいところはないだろう。
メールアドレス宛にQRコードが添付されたメールが届くので、それを車内で巡回している車掌に見せればよい。

列車検索画面

駅で買う時は有人の窓口に並ぶことになる。
デジタル化の進んだバルト三国では、リトアニアは自動券売機、エストニアに至ってはネットか車内券売機での購入だが、全体的な車両更新具合と同様にラトビアではまだアナログなやり方が残っているのである。
レシートみたいな紙ペラがチケットなので、誤って捨ててしまわないようにしよう。

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乗車記

リガ駅は工事中のために構造が複雑になっており、電光掲示板で発車するプラットホームを確認しても、そこに行くために右往左往した。
ようやくエルガワ行きの出る5番線に辿り着くと、ちょうど折り返し電車が到着したところだった。
朝の通勤ラッシュ時間帯だ。
仮設らしきホームには降りて来る人が溢れかえっていて、全然前に進めない。
ようやく電車と対面した頃には人混みはすっかり消えていた。

8時35分にリガ(Riga)駅発。
すぐにダウガヴァ川を渡りながらリガ旧市街を見る。
バルト三国を代表する車窓ハイライトなので、出発後は油断せず心して景色を眺めよう。
幾つものプロテスタント教会の塔が、曇り空を目指して突き出ていた。

次の駅は既に木造の古い駅舎だった。
日本ならローカル線の終点でありそうな感じの駅だ。
新橋駅と比べてはいけない。

中長距離用の古いディゼルカーに対して新型電車は通勤用車両としての性格が強いが、実際に乗ってみるとこちらの方が快適に感じる。
もともと乗客は多くなかったが、駅に到着するごとに人が減っていった。
最後にリエルペ川を渡る時に、右手にエルガワの市街を垣間見ることができる。

イェルガワ市街を臨む

定刻に終着エルガワ(Jelgava)駅に着いた。
駅舎はなかなか洒落た建物になっているが、駅設備はトイレくらいしかない。
コインロッカー等もないので、ヴィリニュス~リガの移動の途中に立ち寄るのもお勧めできない。
リガからの日帰りで身軽に訪れるのが良いだろう。

駅構内には貨車が並んでいるので、ここだけ見るとエルガワはラトビアの地方の工業都市なのかと勘違いしてしまうかもしれない。
これから市内観光をして、旧リトアニア領クールラント公国の首都ならではの文化都市エルガワに会いに行こう。



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