ボスニア・ヘルツェゴビナの鉄道に乗る【モスタルからサラエボの乗車記】

ヨーロッパ鉄道
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ボスニア・ヘルツェゴビナの鉄道事情

鉄道インフラは貧弱

ボスニア・ヘルツェゴビナは旧ユーゴスラビア構成国の一つで、1990年代の紛争では最も凄惨な戦闘を経験した国でもあります。
それ故に鉄道施設も破壊され、今でも設備はお粗末な状況にあります。

国内の主力移動手段はバスであり、鉄道は残念ながら衰退しています。
大まかに言って、首都サラエボから南のモスタル方面に行く路線と、北にある第二の都市バニャルカ方面への二つの路線で、都市間列車がいずれも2往復運行されています。(私は両方乗りました)

ボスニアヘルツェゴビナのサラエボ駅で出発を待つ特急列車
サラエボ駅で出発を待つバニャルカ行きの特急列車

ダイヤの調べ方

ボスニアヘルツェゴビナ連邦鉄道のサイトで簡単な内容が調べられます。
トップページの写真下にある「TIME TABLE」をクリックします。

ボスニア・ヘルツェゴビナ鉄道のダイヤの調べ方

2つ駅名を入れる欄があるので、それぞれプルダウンから選択します。
駅はアルファベット順に並んでいます。

発着駅を選んで左の「Check」のボタンを押すと、下の画像のように両駅の往復の時刻表が出てきます。
サラエボ行きだけ3便あるように見えますが、紙のヨーロッパ時刻表によると、1720列車は夏期のみ運転、722列車は1720列車が運転される日は運休となるようです(結局は往復とも2便だけ)。

ボスニア・ヘルツェゴビナ鉄道のダイヤの調べ方

なお、トップページから下にスクロールすると、オンラインでチケットが購入できるようです。
そこまでする必要があるかは分かりませんが、料金は調べられます。(サラエボ~モスタル間は11.9マルカ)

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乗車記

モスタル駅を出発

モスタル駅は旧市街のややはずれ、バスターミナルの近くにあります。
無機質なコンクリートの大きな塊のような、いかにも社会主義時代の建築らしい駅です。

ボスニアヘルツェゴビナのモスタル駅の外観
モスタル駅の外観

ところが建物の中に入ってみると、威圧的な外観は何だったのかと思うほど閑散としており、まるで廃墟になった公民館かホテルのロビーにいるような感じです。
私のような駅の見学が好きな鉄道ファンの性癖として、いろいろとモスタル駅を見て回りたいところですが、階段や扉はほとんど閉鎖されていました。
それもこの駅の雰囲気の特徴ということにしておきましょう。

ボスニアヘルツェゴビナのモスタル駅のコンコース
モスタル駅のコンコース

サラエボまでのチケットは薄い紙に手書きされたもので、値段は後で(2019年11月)調べてみると、特急の追加料金込みで11.9マルカでした。(2マルク≒1€)
ホームは階段を上った先にあります。
この駅を発着する列車は1日数本ですが、駅構内・ホームはなかなか立派なものです。

ボスニアヘルツェゴビナのモスタル駅
ホームは広々としているが殺風景

タルゴ型車両の特急列車に乗車

サラエボ行きの列車はモスタル始発ではなく、少し遅れて到着しました。
車両はスペインのタルゴ型車両です。
この車両は他の外国にも輸出されており、例えば寝台車や食堂車を連結した編成がモスクワ~ベルリン間でもロシア国鉄によって運行されています。

2010年代中ごろに導入された新しい車両で、鉄道インフラが貧弱なこの国にしては(失礼な話だが)随分と贅沢な気もしますが、実績もあり低重心の車体なので線路のメンテナンスが楽なメリットもあるのでしょうか。
ただし、車体に汚れが目立つのは残念です。

ボスニアヘルツェゴビナの特急列車
タルゴ型の特急列車

車内は綺麗で座席は少しスリムな感じもしますが、快適な旅を楽しむことができます。
コンセントだけでなくWi-Fiが付いており、電光掲示板にパスワード等が表示されるのですが、私の場合どうもうまく接続できませんでした。
また、ビュッフェカウンターのある車両もあったのですが、営業していませんでした。

ボスニアヘルツェゴビナの特急列車の車内
車内は快適

車窓が綺麗な路線

サラエボ~モスタル間は車窓の良い区間として知られています。
モスタルを出て間もなく、川沿いを走ります。
川の向こうに立ち並ぶ山は岩が露出しているため、まるで雪をかぶっているかのように白く見えます。

ボスニアヘルツェゴビナのサラエボ~モスタル間の車窓
美しい車窓と美しい...

それ以外にも湖や谷間に広がる村の景色など、ヨーロッパの景勝区間に相応しい車窓が続きます。
ヨーロッパの車窓というとなだらかな丘陵地帯をイメージしますが、バルカン地域は山がちなので、車窓が美しい路線が幾つかあります。

遅延が多い

旧ユーゴスラビア構成国のうち、スロベニアとクロアチア以外の鉄道は遅延することが多いです。
これは私の5回程度のユーゴ旅行の経験と、現地の人たちの話(不平)からも明らかです。

今回の移動でも、サラエボよりの途中駅で列車交換のために長時間停車し、所要時間2時間のところ、結局3時間程度を要してしまいました。
国際列車は無く国内路線も少ないにもかかわらず、ローカル列車が特急を1時間弱も待たせるとはけしからぬ話ですが、日本と違って誰も車掌に文句を言う人はいません。
ボスニア・ヘルツェゴビナの鉄道はこんなもんだと思って乗りましょう。

閑散としたサラエボ駅に到着

外もすっかり暗くなって、ようやくサラエボ駅に到着です。(おかげで途中から景色が楽しめなくなってしまいました。)
当然ながらボスニア・ヘルツェゴビナ最大の駅なのですが、本数としては日本のローカル線と大して変わらないのに、相変わらず構えだけは立派なので逆に気味悪い程です。

ボスニアヘルツェゴビナのサラエボ駅
無駄に広いサラエボ駅。
機関車が歴史を語ってはいるが..

駅のコンコースはまだ夜8時だというのにひっそりしています。
やはりここでも好奇心から駅を見学するため切符売り場付近を歩いていると、警官らしき人が怖そうな顔で「Closed!」と叫んで私を追い払いました。
もうこの時間では、首都サラエボ駅を出発する列車は無いようです。

ボスニアヘルツェゴビナのサラエボ駅コンコース
夜8時過ぎのサラエボ駅コンコース。
店もすべて閉まり、首都の駅とは思えない。

ちなみに駅前にある、煙突から煙がモクモクとあがっているチェバプチチ(細長いハンバーグでこの地方の定番肉料理)屋さんは、地元民にも人気で美味しかったです。

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不便だが貴重な体験

ボスニアヘルツェゴビナにおいて、利便性・定時性でバスに劣る鉄道は「敢えて乗る存在」です。
そこで細々と運営される鉄道は車両は新しいものの、全体の設備・インフラとしては古く非効率で、日本ならとっくに無人駅になっているであろう小さな荒れた駅を通過する際にも、駅員が列車の運行を見守っています。

省力化されたシステムになれた我々は、この時代から取り残された鉄道に乗って、車窓の美しさだけでなく、安全運行の原点のようなものを見る思いがすることでしょう。

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