ハンブルクからベルリンへ、ドイツの最新型高速列車ICE4一等車の乗車記【車内・車窓】

ドイツ・オーストリア・中欧

1991年の登場以来、ドイツの新幹線、ICE(InterCityExpress)は国内のみならずヨーロッパ各国で運転されています。
その最新型モデルが2017年より運行を開始したICE4です。
見た目はともかく、快適さ・内装は相変わらずハイレベルな車両です。

2023年6月、北ドイツのハンブルクから首都ベルリンまで、ICE4の一等車に乗車しました。
なお、ICEの予約方法はこちらの記事をご覧ください。

スポンサーリンク

最高速度は控えめの時速250㎞

フランスのTGVに遅れること10年。
ドイツにも高速鉄道ICEが1991年に登場しました。
当時の最高速度は時速280㎞。
しかし、ICEが注目されたのはその速さではなく、内装や座席の高品質さでした。
掛け心地の良い座席で食堂車付きのICEの旅の充実感は、鉄道好きの間では定評があります。

その後も路線網も周辺各国へと広がり、車体傾斜機能付きの車両も生まれました。
そして、ICEの進化は最高速度が時速300㎞を超えるICE3で一つの到達点に至ります。

パリにも進出したICE3の新型モデル

一方ドイツの優等列車はICEだけではなく、機関車が牽く古い車両によるIC(InterCity:国内特急列車)やEC(EuroCity:国際特急列車)が運転されていました。
そして、当初はICの進化版ということでICxという名前で開発されていたものが、ブランド名を改めてICE4として登場したのです。

この経緯からも分かる通り、ICE4はICE3の発展型ではなく、ICEネットワークの裾野を広げる役割を担っています。
実際、ICE4の最高速度は時速250㎞と歴代シリーズよりも抑えられており、速達性より経済性が重視されています。

ICE4
スポンサーリンク

ICE4の車内

最近のヨーロッパの高速列車では、クラスに関して独自の呼び方をする列車が多いですが、ICEはシンプルに二等車&一等車から成ります。
もちろんWi-Fiや充電コンセントが利用可能です。

二等車の車内と座席

ICE4の二等車の車内
二等車の車内

普通車に相当する二等車は、通路を挟んで2&2列の座席配置。
一部では向かい合わせになったボックス席があり、それ以外の席も向きを変えることはできません。
歴代のICEを踏襲した内装・座席です。

ICE4の二等車の座席
二等車の座席

先代のICE3と比べると車体上部の絞りが少なくなった分、天井部の空間が広くなった感じがします。
私が乗車した時間帯はずっと昼間でしたが、ICE4は時間帯によって照明の色が変わる機能があるらしいです。

一等車の車内と座席

ICE4の一等車の車内
一等車の車内

グリーン車に相当する一等車は通路を挟んで2&1列の座席配置です。
2人掛けでも座席と座席の間隔があります。
また目の前にカップホルダーやポケットがあるのも何気に便利です。

ICE4の一等車の座席
一等車の座席
ICE4の一等車の座席
一等車の座席

なお、一等車では食堂車のスタッフが注文を取りに来て、座席まで飲み物を運んでくれます。
これはウェルカムドリンクではなくて、有料のシートサービスなのでそこは勘違いしないようにしましょう。

食堂車も健在

ICE4の食堂車の車内

歴代のICE車両と同様、ICE4にも食堂車が付いています。
食堂車の内装はかなり簡素化されたといえるでしょう。
今までの食堂車は壁が濃いめの木目調でしたが、ICE4ではやや安っぽく感じます。

(参考)ICE3の食堂車
スポンサーリンク

乗車記

国内第二の人口を抱える港湾都市ハンブルク。
私が初めてこの都市に来たのは2008年の3月でした。
とにかく暗くて重苦しく、寒いうえに時折吹雪に見舞われ、「ここがあの交響曲第4番を書いたブラームスを産んだハンブルクか」とすっかり納得してしまいました。

6月初旬の土曜日のハンブルクは全く対照的に明るく、人々がアルスター湖畔で日光浴を楽しんでいます。
北ドイツの貴重な夏の風景です。

ハンブルク市内

私が乗るのはハンブルク中央駅を15時36分に出発するICEです。
ベルリン・ハンブルク間のICEは、初代ICEかICE4のどちらかだと聞いていましたが、運よくまだ乗ったことがないICE4に当たりました。
これでICE全車両乗車を果たしました。

ちなみに、この日は正午にベルリンから格安列車のフリックストレインでハンブルクに着き、2時間後にこのICEでベルリンに戻ります。
もちろん両都市とも何度か観光したことがあるので、こんな阿呆なことをしています。

ベルリンに帰る人が多いのか、二等車はデッキに座る客がいるほど混雑、一等車は空席が目立ちます。
一等車と二等車の差は、単純なアコモ格差意外に混雑具合でも現れます。
20分遅れでハンブルク中央駅(Hamburg Hbf)をスルスルと出発。
ICE4は最高速度は抑えられていますが、加速力はかなり強く、東海道新幹線のN700系並みです。

日差しが強い中ハンブルク市内を歩いたので、すぐに食堂車でビールを買ってきました。
専用のグラスを用意してくれます。
日本と違って冷えすぎていない(味の違いがよく分かる)のも良いです。

ベルリン・ハンブルク間の車窓は平凡です。
強いて言えば、風車と太陽光パネルが密集している光景がいかにも環境先進国ドイツらしいです。

在来線ながら高速化された区間を時速230㎞で走行しますが、揺れは少なく至って快適です。
フリックストレインとは比較するのが失礼なくらいです。
速さを感じません。

底抜けに明るい車掌が巨体を揺らしながら検札を始めました。
甲高い「ダンケ!(ありがとう)」という声がずっと客室に響き渡っています。
彼の前職はテノール歌手で間違いありません。

食堂車の混雑が収まったようなので、再度出向いて飲み直しです。
ドイツの銘醸地、プファルツのカベルネ・ソーヴィニョンはミディアムボディー。
ドイツの食堂車のワインはどれもクオリティーが高いです。

ハンブルクから僅か1時間半程度でベルリン・シュパンダウ駅(Berlin Spandau)に到着します。
この辺りはまだ落ち着いたクラシックな街並みです。

10分ほどでベルリン中央駅(Berlin Hbf)に到着です。
結局遅れは15分だったので、ハンブルク出発以降は順調に走ったようです。
ドイツ鉄道は最近「遅れが酷い」と悪評たらたらですが、たいていが20分以内で済み、長距離列車でも1時間以上の遅れはほとんどありません。

中世から港町として発展したハンブルクに比べると、ベルリンは比較的新しい都市です。
19世紀以来急速に歴史を歩んできた首都は、綺麗ではなくても面白い街です。

この日は朝から大したものを食べていなかったので夕食は豪勢にしました。
「ウィルヘルム皇帝」という名のメニューは、豚肉・牛肉・ハンバーグ・ソーセージにマッシュルーム入りのクリームがかかった凄まじい料理で、付け合わせのポテトは南ドイツと違って玉葱と一緒にグリルされています。

ビール2杯と共に完食し、ブランデンブルク門を見に行きました。
観光客に交じって、様々な政治的主張を行う人が声を張っています。
ベルリンは相変わらず歴史の激しい渦に巻き込まれています。

スポンサーリンク

顔はダサいが快適な車両

2000年のICE3登場以来、待望の17年ぶり「ナンバリングタイトル」にもかかわらず、ICE4は度々苦言や批判の的となってきました。
よく指摘されるのは内装の簡素化です。
たしかに重厚さが薄れたのは事実ですが、全体としてはマイルドな雰囲気になっており、個人的には食堂車を除けば顕著に「劣化した」とは感じませんでした。

おそらく最も説得力のある批判は「顔がダサい」点でしょう。
これには私も異論ありません。
日本の新幹線ほど複雑でなくても、高速列車は三次元的なフォルムになっているものですが、ICE4の顔は図工の授業で小学生が作れそうなくらいに平面的です。

しかし、他者の容姿についてとやかく言うのは紳士の為すべき所ではありません。
フラッグシップ車両のICE3を補完する存在として、ICE4は経済性でも快適さでも十分な水準に達していると思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました