ドイツのフランクフルトからフランスのパリへ、ICE一等車で鉄道移動【車内・予約方法】

ドイツ・オーストリア・中欧

世界中から観光客が集まる華の都パリと、ヨーロッパ屈指の金融経済都市フランクフルト。
フランス・ドイツ両国を代表する二都市間の移動は高速鉄道がとても便利です。
無理のない4時間という所要時間で、ストレスなく市内中心部へアクセスできます。

2023年5月下旬、フランクフルトからパリまでドイツのICEに乗車しました。

(注)上の地図のルートの他に、ストラスブール(Strasbourg)経由の便もあります。
所要時間に大差はありません。

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パリからドイツ各地へ、最高速度320㎞/h

ヨーロッパの二大巨頭、TGVとICE

フランスとドイツを結ぶ列車はフランス・ドイツ両国鉄の共同運行で走っています。
車両は両国が誇る高速列車、フランスのTGVとドイツのICEのどちらかによる運用で、時刻表でもいずれかが明記されています。
TGVはフランスのスタンダードになったオール二階建て車両を、ICEはシリーズの中でもフラッグシップ車両ICE3の新型モデルが投入されており、両国の意気込みが窺えます。

TGVとICEのどちらに乗っても所要時間や料金(列車ごとに変動する)はほぼ同じです。
最高速度はいずれも時速320㎞で、これは日本と並んでヨーロッパ最速を誇ります。
いずれも全席指定制で予約が必須です。

ミュンヘン中央駅で出発を待つTGV

個人的には内装が落ち着いて座席の掛け心地も良いICEの方が好みです。
また、TGVには立ち飲みスタイルのバーしかありませんが、ICEには座って食事できる食堂車があります。
ただ、日本では消えてしまったオール二階建てのTGVも捨てがたいです。

パリからフランクフルトまでの所要時間は4時間弱

TGVとICEは、フランス側がパリ、ドイツ側はフランクフルト・シュトゥットガルト・ミュンヘンなどの都市を経由しています。
路線としては、パリ~フランクフルトとパリ~シュトゥットガルト~ミュンヘンの2種類です。
これ以外にフランクフルトと南仏のマルセイユを結ぶ便があります。

パリ~フランクフルトの路線は1日6.5往復で、両都市間の所要時間は4時間弱です。
また、パリ~シュトゥットガルトでは本数が1日4往復で、うち1往復がミュンヘンまで運転されます。
シュトゥットガルトまで3時間少々、ミュンヘンへは5時間半かかります。

パリ東駅に到着したICE

ミュンヘン直通の便は少ないですが、シュトゥットガルトでミュンヘン行きのICEに乗り換えることができます。
とはいえ、やはり5時以上かかり遅延リスクもあるので利便性はよくありません。
一方、共に人気都市のパリ・フランクフルト間は鉄道でも競争力が充分あるので、日本人旅行者にとっても利用価値が高いと思います。

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ICE3の車内

二等車の車内と座席

ドイツ・フランス間のICEの二等車の車内
二等車の車内

安定の快適さ、ICEです。
座席は回転することができず、真ん中の向かい合わせになった席を境に各々が車両中央部分を向いている「集団見合い型」と呼ばれるタイプです。

ドイツ・フランス間のICEの二等車の座席
二等車の座席

一等車の車内と座席

ドイツ・フランス間のICEの一等車の車内
一等車の車内

一等車は通路を挟んで2&1列の座席配置です。
より重厚感のある座席になっています。

ドイツ・フランス間のICEの一等車の座席
一等車の座席

なおドイツ国内線のICE一等車では、食堂車のスタッフが飲み物の注文を取りに来て座席に運んでくれるサービスがあるはずですが、私が乗ったパリ行きの便では行われていないようでした。

狭い食堂車あり

ドイツ・フランス間のICEの食堂車の車内

パリ行きのICEには食堂車が連結されています。
同区間のTGVにはバー(軽食堂車)しかないので、ここが一番大きな差別化ポイントでしょう。
食堂車は1両の半分程度のスペースなのでやや狭いです。

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ICEの乗車記

フランクフルト中央駅周辺の治安は良くない

早朝のフランクフルト中央駅。
この時間帯からビール瓶片手にたむろする人が散見されます。
危険というほどではありませんが、駅周辺の治安・雰囲気はあまり良くありません。

私が乗車するのは6:56発のパリ・東駅行きのICEです。
車両はICE3シリーズの新型モデル。
従来のICE3と比べると目の位置が上の方にあり、何となくクールな印象がします。
このタイプに乗るのは初めてです。

フランクフルト中央駅を定時に発車しました。
ドイツ語・英語・フランス語の順に車内放送が行われます。
それにしてもICEの車内でフランス語の放送を聞くとは、ヨーロッパは平和になったものです。

ライン川を渡り山間部へ

一等車は空いています。
金融経済都市フランクフルトの市街もすぐに尽き、ただ平原が広がります。
辺りを覆っていた雲の隙間から、ようやく朝日が差し込んできました。

マンハイム中央駅(Mannheim Hbf)を出発し、ライン川を渡ります。
第一次世界大戦後しばらく非武装地帯とされた「ラインラント」へ進出するのです。

列車は山間部を走ります。
日本の特急よりもスピードが遅く、「国際新幹線」を期待して乗ると拍子抜けします。

しかし、その分景色は良いです。
「のぞみ」ではなく、中央線の「あずさ」に乗っていると思った方が感覚としては近いでしょう。
点在する民家はやはりドイツ風です。

カイザースラウテルン中央駅(Kaiserslautern Hbf)・ザールブリュッケン中央駅(Saarbruecken Hbf)と停車し、意外と乗って来る人が多いです。
乗客はほとんどがドイツ語を話していました。

フランスとドイツの狭間で

そして国境を越え、フォルバック駅(Forbach)に到着。
フランスに入国したことでWi-Fiが使えなくなり、食堂車のクレジットカード払いもできなくなりました。
また、放送はフランス語が先になります。

しかし、風景は今までのドイツと変わりません。
この辺りのアルザス₌ロレーヌ地方(ドイツ語では「エルザス⁼ロートリンゲン」)は資源が豊富で、度々ドイツ領になった歴史があります。

ロレーヌ地方のフォルバック駅

ドーデ作の「最後の授業」では、フランスが普仏戦争(1870~1871)で負けてアルザスがプロイセン(後のドイツ)領になり、フランツ少年の通う学校の授業はフランス語からドイツ語になります。
そして、最後にフランス語の先生が「フランス万歳!」と黒板に書くくだりは有名です。

もっとも、この地で話されていたのは実はドイツ語に近いアルザス語で、先生こそ標準フランス語を「押し付ける」立場であったことは知っておくと良いでしょう。
ますます脱線しますが、戦前のドイツ・冷戦後のセルビア・現在のロシアを、ただ秩序と人命を破壊する「悪」(つまりその国と国民に何を言っても許される存在)と見なすのは、マンガ本の世界観と変わりません。

さて、閑話休題。
一区切りついたところで、食堂車に行ってラインヘッセン(ドイツ)のワインを1杯。
エレガントな微炭酸の白ワインでした。
いつの間にか天気は回復しています。

最高速度320㎞/hでパリ東駅へ

ようやく、フランスらしい広い農地が広がりました。
そしてようやく、高速線に入ったICEは本領を発揮して最高速度の時速320㎞に達しました。
フォルバックからパリまでは1時間半以上ノンストップで疾走します。
ドイツでは断続的に集落がありましたが、今や車窓に人の気配はほぼ無く、寝そべった牛が瞬く間に後方に遠ざかっていきます。

やがて、ドイツでは見られなかった瀟洒な建物が現れると、もうそこはパリです。

途中で5分の遅れはあったものの、定時にパリ東駅(Gare de l’Est)に到着。
ホームグラウンドで寛ぐTGVの姿があります。

パリ東駅からリヨン駅に移動して、今度はTGVでスペインのバルセロナへ引き続き楽しく行くはずでした。
ところが、本場フランスのストライキに遭い、やむなく飛行機を利用することに。

駅の窓口で1時間待って返金処理を済ませます。
対応してくれた北アフリカ系と思しき接客態度の良い女性係員が、もどかしそうな笑顔で”Sorry”と言います。
「迷惑をかけたことは国鉄職員として謝るが、これは仕方ないことなのですよ。」ということなのでしょう。
ストライキは、賃金が一向に上がらない従順な日本人が見習うべき労働者の権利だと私も考えていますが、いざ巻き込まれるとそれはそれで厄介です。

パリ東駅

シャルルドゴール空港へ向かう近郊列車のチケットを買おうとすると、空港行きの路線も運休中とのことで、バス代行でした。

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予約は座席を選べるフランス国鉄のサイトがおすすめ

ドイツ・フランス間の列車はフランス国鉄(SNCF)ドイツ国鉄(DB)どちらのサイトでもできます。
私はSNCFのサイトをおすすめします。
その理由は、SNCFでは予約時に一等車ではシートマップから好きな座席を選べ、二等車でも1階・2階(TGVの場合)や窓側・通路側を希望できるからです。
一方、DBサイトのこの路線では一等車でも自動的に席が割り振られるようです。

また、同じ日の同じ列車でも両サイトで提示されている料金が異なる場合があります。
よって、両方のサイトを見てDBの方が安い場合は、座席の選好を犠牲にしてでもそちらで予約しても良いでしょう。

料金は列車ごとに変動し、早く予約するほど安いチケットが手に入ります。
パリ・フランクフルト間の目安は、1カ月先の平日(10月の場合)だと二等車で60~80€くらいでしょうか。
一等車と二等車の差額は大きくなく、まだ残席に余裕がある状態なら10~15€に収まっていることが多いです。
所要時間は4時間なので、この程度の差額なら一等車がおすすめです。

詳しい予約方法の手順は、以下のICETGVの記事をご覧ください。

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独仏の共演

最近のヨーロッパの国際列車は、各国鉄がそれぞれ独自で列車を運行して競い合う構図が目立ちます。
特にフランス対イタリア・スペインで顕著で、例えばフランスとスペインあるいはフランスとイタリアを結ぶ列車は、かつて両国が協力していたものが今はお互いライバル関係になっています。

しかしそんな中にあっても、ドイツ・フランス間の高速列車は未だに両国の共同運行のままです。
「ドイツとフランスを反目させてはならない」という、ヨーロッパを二度の大戦後の廃墟から立ち直らせた先人たちの思いを、鉄道事業者たちも受け継いでいるのかもしれません。

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