スロバキアのインターシティの一等車でブラチスラバからコシツェへ移動【予約方法・車内】

ドイツ・オーストリア・中欧

中欧の小国スロバキア。
かつての帝国オーストリアはもちろん、周りのチェコやハンガリーと比べても存在感の薄い国であることは否定できません。

しかし、それはスロバキアが魅力に乏しい国だという意味では決してありません。
ウィーン・プラハ・ブダペストのような都市は無くとも、変化に富んだ自然・侮れない食事やワインなど、「穴場」といえる存在です。

首都ブラチスラバから国内第二の東部の都市コシツェまで、スロバキア国鉄のインターシティに乗車して、この国の魅力を探っていきましょう。

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ブラチスラバ・コシツェ間の所要時間は5時間

ブラチスラバ・コシツェ間の距離は約450㎞。
概ね2時間毎にExpress(エクスプレス:急行列車)が運転されており、さらに上位列車のIntercity(インターシティ:特急列車)が1日4往復設定されています。
インターシティは全席指定制です。
なおインターシティのうち1往復は、ブラチスラバからさらにウィーンまで足を延ばします。

ウィーン中央駅に停車中のインターシティ

およその所要時間はエクスプレスが5時間半、インターシティが5時間弱です。
実際乗った感じだと最高速度は時速160㎞程度でした。
この路線は日本の東海道本線のような位置づけで、ジリナ(Zilina)などの主要都市や、観光の拠点となるポプラト・タトリ(Poprad-Tatry)を経由します。

この区間には寝台車を連結した夜行列車も運転されています。
しかし夜行列車にしては乗車時間が短いのと、乗車記の章でも紹介する通り車窓が素晴らしいので、私は昼間の列車をおすすめします。

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インターシティの車内

インターシティ、エクスプレスとも二等車・一等車・食堂車があります。

二等車の車内と座席

スロバキアのインターシティ、オープンサロンタイプの二等車の車内
オープンサロンタイプの二等車の車内

二等車にはオープンサロンタイプとコンパートメントタイプがあります。
オープンサロンタイプは通路の両側に、向かい合わせになった4人用ボックスシートが並んでいます。
一方のコンパートメントタイプは1部屋当たり6人分の座席があります。

スロバキアのインターシティ、コンパートメントタイプの二等車の車内
コンパートメントタイプの二等車の車内
ファミリー向け車両のためイラストがある

Wi-Fiが利用可能で、全席ではありませんが充電用コンセントが設置されています。
またペットボトルの水が配られます。

一等車の車内と座席

スロバキアのインターシティ、一等車の車内
一等車の車内

一等車はブラチスラバ寄りの先頭車両で、通路を挟んで2&1列の座席配置です。
一等車にはコンパートメントタイプはありません。
やはり向かい合わせが基本ですが、僅かながら1人用の座席もあります。
全席にコンセントが付いています。

スロバキアのインターシティ、一等車の座席
一等車の座席

一等車では水以外にインスタントのコーヒー・紅茶のサービスがあります。
また自席に食事を運んでもらうこともできます。

食堂車はリーズナブル

スロバキアのインターシティ、食堂車の車内
テーブル席

食堂車は本格的です。
チェコの食堂車と比較しても値段は安く、スロバキアらしい料理や酒を楽しむことができます。
食堂車のうち半分は4人用と2人用のテーブル席で、残りの半分はカウンター席と円形テーブルです。
クレジットカードの支払いが可能です。

スロバキアのインターシティ、食堂車の車内
カウンター席

食堂車のメニューはこちらから見ることができます。
スロバキア語のページですが、Pozriet menuのボタンから飛ぶことができます。

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【乗車記】絶景が続く5時間

ブラチスラバ中央駅を出発

インターシティに乗る前に、数時間だけブラチスラバを観光(3回目)しました。
5月下旬の午前中は気温が28度近くまで上がり、丘の上にあるテーブルをひっくり返したようなブラチスラバ城まで行く気力も時間もありません。

ブラチスラバは首都にしては小さな街ですが、一時期はハンガリーの首都にもなった重要な都市です。
なお、スロバキア人のアイデンティティーは、かつてのハンガリー王国北部に住むスラブ人です。
そもそも「スロバキア」という概念自体が18世紀後半になってから「考案」されました。
「スロバキア」としての歴史・文化的痕跡の少なさは、ブラチスラバの印象の薄さに繋がっているように思えます。

ブラチスラバ城

旧市街やドナウ川を散策してブラチスラバ中央駅(Bratislava hlavna)に戻ります。
市街地と崖の間に挟まれたカーブ途中にある駅に、インターシティが停車していました。
最後部の一等車に乗車します。
スロバキア国鉄の車両は赤と白の塗装で、日本の国鉄特急を思わせます。
やはり品格がある色です。

12時22分にブラチスラバを出発しました。
一等車・二等車ともほとんど座席が埋まっています。
右手にはブラチスラバ市街が見えます。

食堂車へ急ぎ席を確保

昼時なので混雑する前に急いで食堂車に向かいます。
同じことを考える人が多いようで、早くも食堂車は混雑。
私の近くの席にいた男性グループも既に酒盛りを始めています。

ウェイトレスが野性的なビーフシチュー(ダンプリング添え)とビールを持ってきました。
端正なチェコ人よりかはキツめの顔つきの若い女性で、ジーンズの制服がよく似合っています。
長年の旅行経験より、スラブ系の顔立ちにハンガリー風の情熱を湛えたスロバキアは、欧州の隠れた美人大国であると私は考えています。

スロバキアの鉄道の食堂車

変化に富む車窓

さて、平野はブラチスラバ近郊で終わり、列車は川沿いを走ります。
時々古城が対岸の丘の上に建っています。
この道は鉄道ができる前から交通が盛んだったのでしょう。

ジリナ駅(Zilina)付近には大きな工場が聳えています。
ジリナは国内第四の産業都市で、自動車工場も多いそうです。
ちなみに、スロバキアの人口一人当たり自動車生産台数は世界トップクラスです。

しかしそんな風景もほんの一瞬。
線路をくねらせながら山間部を往く、日本のローカル線を思わせる景色が続きます。
日本ほど川は急ではなく、川幅が広い部分などは湖のようです。

再び食堂車に出向き、スロバキアの白ワインを購入。
チェコの白ワインより香りが複雑で、品質の高さが窺えます。
川沿いにはかわいらしい民家が並んでいます。
ワインを飲みながら、おとぎ話の世界のような風景に見入ります。

突如として、戦車を積んだ貨車の列を追い抜きました。
隣国のウクライナに供与されるものでしょうか?
現実世界に戻されてしまいました。

暗い気持ちになるも、車窓は美しさを増していきます。
進行方向左手にはゆったりとした川の向こうには緑と黄色の畑、そしてその先に頂上に雪を被った山脈が見えます。
この国の自然の包容力に感服です。

徐々に近づいてきた山脈がついに後方で途切れ、ポプラト・タトリ駅(Poprad-tatry)に到着です。
食堂車に続き客室でも賑やかに談笑していた男性達が降り、一等車の車内は途端に静かになりました。
そして遮るものがなくなった車窓は、一気に視界が広くなります。
雪山に代わって太陽が顔を出し、鮮やかな畑を明るく照らしてくれました。

コシツェに出る前にもう一度山間部を通ります。
この路線では、勾配とトンネルで本格的に山越えをする場面はあまりなく、相変わらず川が作った谷を抜けていきます。
保養地らしく別荘が散見されます。

キサク駅Kysak)からはプレショフ駅(Presov)への路線が分かれています。
プレショフはスピシュ城やレヴォチャなどの有名な観光地への拠点です。

終着間近、いかにも社会主義時代のものと思われる集合住宅の群れが山腹を覆っていました。

スロバキア第二の都市コシツェに到着

10分弱遅れてコシツェ駅(Kosice)に到着。
この程度ならほとんど誤差範囲内です。
実に内容の濃い5時間を過ごしました。

スロバキア第二の都市、といっても人口20万人程度のコシツェはこじんまりとした綺麗な街です。
ウィーンやプラハに憧れるようなブラチスラバに対して、コシツェには何処かハンガリーらしい自然体なのびやかさがあります。
また、ハンガリー・ポーランド・ウクライナにも近いためか、食事も素朴ながら美味しいです。

コシツェの市街地
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予約方法と費用、おすすめは一等車

発着地・日付、その後に乗客数を入力する

予約はスロバキア国鉄のサイトから行うことができます。
トップページにアクセスして、発着地と日付を入力します。
以降オレンジ色のボタンを押下して先に進んでいきます。

列車選択画面が現れます。
乗り換えありの旅程もあるので要注意です。
赤丸で囲った”IC”のマークがついているのがインターシティです。
ここで列車設備などを確認できます。

次の段階で人数を決めます。
上の写真の赤丸ボタンを押すと乗客が一人増えます。

インターシティの一等車の費用は33€

クラスを選択します。
スロバキア国鉄では複雑なチケットの制度が無いので簡単です。
通常料金でも二等車が約25€、一等車が33€です。(2023年7月では1€≒155円)
ブラチスラバ・コシツェ間の距離は東京から京都までとほぼ同じですから、それを考えるとかなり安いです。
これはインターシティの料金で、エクスプレスはもう少し安く、二等車で20€弱、一等車が25€です。

いずれにせよ、二等車と一等車の価格差は小さいので、5時間弱の乗車時間なら一等車がおすすめです。
なお、上の写真は2週間後の日付を照会しており、私が1カ月半前に予約した時も同じ値段でした。

そして、追加料金なしでシートマップから好きな席を選ぶことができます。
ボックスシートのテーブルの位置や進行方向も分かります。

その後確認画面を経て、メールアドレスと名前を入力します。
最後に支払い方法をクレジットカードにします。
決済成功するとチケットが添付されたメールが届きます。
印刷するかスマホに保存して完了です。
お疲れ様でした。

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スロバキアの豊かな自然

ブラチスラバ城から望む市街とドナウ川

ウィーンやプラハを何日も満喫した人が、ブラチスラバにも立ち寄ってがっかりする話を度々聞いたことがあります。
たしかにハプスブルク帝国を代表する二都市と比べれば、ブラチスラバは「チェコ=スロバキアの地方の都市」くらいにしか思われないかもしれません。
とはいえ、ブラチスラバはもちろん、コシツェのような小さな地方都市にもそれぞれの味わいがあります。

そして何よりスロバキアの最大の魅力は、乗車記の章で分かっていただけた通り、その自然の豊かさにあります。
スロバキアのインターシティの旅は、この国の良さを実感するのに相応しい5時間となることでしょう。

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