【どの行き方がおすすめ?】プラハからクラクフへの鉄道移動、夜行列車2種と昼行列車2種を比較

ドイツ・オーストリア・中欧

中欧の美しい古都として日本人にも人気のプラハとクラクフ。
素晴らしい観光都市の間を移動するのに、旅情たっぷりな鉄道旅行はいかがでしょう?
プラハを発ってチェコの森林や田園風景を眺め、ポーランドとの国境付近では郷愁ある炭鉱・工業地域の情景が広がります。

さて、両都市間には計4種類の列車が運行されています。
昼行列車の①ユーロシティ・②レオエクスプレス、そして夜行列車の③ユーロナイト・④レギオジェットです。
全ての列車に乗車した私が、それぞれの特徴や短所も含めて解説していきます。

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プラハ・クラクフ間の所要時間は7時間程度

まずは比較の前に、共通する前提からお話します。
どの列車に乗ってもルートは同じで、プラハからクラクフまでの所要時間はおよそ7時間前後です。
発着するターミナル駅がプラハ本駅(Praha hlavni)とクラクフ中央駅(Krakow Glowny)なのも共通です。
昼間移動するには所要時間が長く、夜行列車としては短いので少々厄介な時間ではあります。

いずれも日本からネットで予約することができ、早めに購入すると料金も安く抑えることができます。
チェコ・ポーランドはシェンゲン協定加盟国なので、途中国境でのパスポートチェックはありません。

チェコ・ポーランド国境近くのボフミーン駅
左の青い列車がユーロシティ、右の黄色の列車がレギオジェット

夜行列車には座席車と寝台車(クシェット含む)の設備があります。
一番安いのは座席車ですが、快適性および治安面からもおすすめできません。
寝台車は各個室を相部屋として利用することも、貸し切りで利用することもできます。
相部屋として使用する時と比べると、貸し切り利用は結構割高(特に一人の場合)になることは覚えておきましょう。

また夜行列車はユーロナイト・レギオジェット共に、クラクフが行き先ではありません。
そのためクラクフ発着は深夜・早朝になります。

プラハ・クラクフ間ユーロシティのコンパートメントタイプの二等車車内
夜行列車の座席車は6人用コンパートメント
写真はユーロシティ二等車だが、同じようなタイプが使われる。

それでは各列車について紹介していきましょう。
車内や予約方法の詳細はリンク先の記事をご覧ください。

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①古き良きヨーロッパ鉄道旅行、ユーロシティ

まず最初に紹介するのは、昼行列車の「ユーロシティ(Euro City)」です。
ユーロシティとは「ヨーロッパ国際特急列車」を意味するブランド名です。
我々が想像する「ヨーロッパの鉄道」の通り、機関車が客車を牽く伝統的なスタイルで、一部コンパートメントタイプの客室もあります。
二等車と一等車の他に食堂車も連結されています。

プラハ・クラクフ間ユーロシティの食堂車
ユーロシティの食堂車

車両はチェコ国鉄の客車が使用されており、途中駅で他の国から来た客車を編成に迎え入れたり、逆に別の行き先の車両を切り離したりします。
多国籍で雑多な編成もヨーロッパならではです。
合理化・画一化を極めた日本の鉄道では味わえない旅行がしたい人には、とても魅力的な列車でしょう。
ちなみに「伝統的」とはいえ、車両が古臭く汚いわけではないのでご安心ください。

プラハ・クラクフ間を直通するユーロシティは1日2本往復設定されています。
一つは「クラコヴィア号」で一等車と食堂車が付いています。
もう一つの「ガリツィア号」は二等車のみ。
食堂車も途中のプラハからボフミーン駅(ポーランド国境近くのチェコの駅)までの間しか利用できません。

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②低価格・高品質の新興民間会社、レオエクスプレス

もう一つの昼行列車は民間鉄道会社が運行するレオエクスプレス(Leo Express)
こちらは黒いシックな印象の電車です。
その外観のイメージ通り、内装もモダンでスマートなオープンサロンタイプ(つまりコンパートメントタイプではない)になっています。

レオエクスプレスにはエコノミー・エコノミープラス・ビジネス・プレミアムの4種類のクラスがあります。
ユーロシティのような食堂車はありませんが、車内販売のメニューは充実しています。

特筆すべきは、日本の新幹線のグランクラスのような豪華さのプレミアムクラスです。
たった6席の大型電動リクライニングシートが1&2列で並ぶ特別な客室です。
そして食事やアルコール含む飲み物の無料サービスまであります。

無料でオーダーできる朝食

さて、「プレミアムは相当費用がかかるのでは?」と思った方もいるかもしれません。
しかしそんなことはなく、早めに予約すれば50€程度から購入できます。
ユーロシティの一等車の割引価格よりは高いですが、その豪華さと食事サービスを考えれば安いです。

毎日運転では無いことと、クラクフ発着の時間帯が悪いことに注意してください。
現在(2023年7月)では週3日の運転、クラクフ着は深夜、クラクフ発は早朝になります。
せっかくサービスが良いのに、ダイヤが利用しづらいのは残念です。

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③蘇るヨーロッパの灯り、ユーロナイト

次に紹介するのはユーロシティの夜行列車版、ユーロナイト(Euro Night)です。
日本では絶滅危惧種となった寝台特急も、近年ヨーロッパでは新規路線の開業が相次いでいます。
プラハ・クラクフ間のユーロナイトの列車名は、日本人にもお馴染みの「ショパン号」。
終点のワルシャワの途中でクラクフに寄ります。

「ショパン号」にはウィーンやブダペストからの編成もあり、これらはショパンの故郷ポーランドの客車が使われます。
しかし、プラハ発着の編成はチェコ国鉄の車両です。

列車編成は通常の座席に加え、クシェットと呼ばれる簡易寝台、そして寝台車から成ります。
どちらも部屋を内側からロックできるので安全です。
クシェットは1部屋あたり2段または3段ベッドが2つ並ぶドミトリータイプの設備です。
寝台車は1~3人で利用可能で、各個室に洗面台が付いています。
さらに、各個室にトイレ・シャワーが付いたデラックス寝台もあります。

寝台車の車内。昼間仕様で寝るときはベッドメイクしてもらう。
写真はオーストリアのナイトジェットで、ユーロナイトも同じタイプの個室。
上の写真の右奥の扉を開けると洗面台がある

各車両の車掌から車内販売で食事や飲み物を買うことができます(ユーロ・クレジットカード可)。
もちろんチェコビールも何種類か揃えています。
また、寝台車では朝食が料金に含まれています。

寝台車で無料で提供される朝食

ユーロナイトも早めに予約するとかなり費用を抑えることができます。
ただ、プラハ・クラクフ間は人気路線のためか、特に夏期の旅行シーズンに寝台車やクシェットを予約する場合は、空いても強気に出て割引販売があまりされません。
よって、オフシーズン以外は寝台料金以外の部分でも、他の列車より費用が高めになりがちです。
またクシェットは連結されない日もあるようです。

上の記事はプラハ・ブダペスト間のユーロナイトの乗車記です。
車内の様子は異なりますが、こちらもチェコ国鉄の寝台車なので全般的な内容は同じです。

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④高速バス並みの格安夜行列車、レギオジェット

最後に紹介するのは、こちらも民間鉄道会社のレギオジェット(Regiojet)です。
よく目立つ黄色の車両で、プラハ・ウィーン間など昼間の列車ではかなりメジャーな存在になってきました。
プラハ・クラクフ間などの国際長距離路線には夜行列車も運行しています。

寝台車の通路
ここに佇むのも夜汽車の楽しみ

夜行レギオジェットは通常の二等車座席と寝台車があります。
ここで注意したいのは、レギオジェットの「寝台車」はユーロナイトでいう「クシェット(簡易寝台)」であるということです。
よって部屋の中に洗面台はありません。

レギオジェットの寝台車は、その使用の仕方によってクラスが分かれます。
4人用(2段ベッド×2)コンパートメント(クシェット)を相部屋で使うのが「バース(Berth)」、コンパートメントごと貸し切りで予約してしまうのが「プライベートコンパートメント(Private compartment)」です。

4人用クシェットのイメージ
写真はフランス国鉄のもの

車両が古いのはいいとしても、清潔さでやや難を感じるのが欠点です。
また車内販売があり、価格はスーパーマーケット並みの安さで驚きます。
簡単な朝食(クロワッサン)が出ることになっていますが、早朝着のクラクフ行きの場合は提供されないようです。

快適性は劣るものの、費用はユーロナイトより全体的に安いです。
特に混雑期は割引が効きにくいユーロナイトに対して、レギオジェットは直近でも安い料金が提示されます。

上の記事はコシツェからプラハまでの乗車記で、クラクフ路線とは寝台車の車内・クラスが若干異なります。
他の全般的な内容は同じです。

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結論:おすすめはレオエクスプレスのプレミアム

快適性費用利便性選択肢の多さ備考
ユーロシティ一等車&食堂車の安定コンビ
レオエクスプレスプレミアム最強
ユーロナイト寝台車は走るホテル
レギオジェット安いは正義
ざっくりしたまとめ

以上、4つの列車を紹介しました。
どれにしようかまだ迷っている方には、私はレオエクスプレスのプレミアムをおすすめします。

レオエクスプレスのプレミアムの車内
高級感のあるレオエクスプレスのプレミアム

レオエクスプレスのプレミアムはヨーロッパでも最高クラスの豪華さを誇り、しかも食事サービスも充実しています。
また、アテンダントの接客もとても好印象でした。
7時間の乗車時間も、魅力的な乗車体験ができるプレミアムなら苦にはならないでしょう。
その割には料金もさほど高くありません。
日程が合い、クラクフの深夜着または早朝発が問題ない人は是非試してみてください。

終着近く、名残を惜しみながらのデザート
アルコールも2杯まで無料

夜行列車を利用する場合は、費用を抑えてクシェットを予約するならレギオジェットのバース、快適に一夜を過ごしたいならユーロナイトの普通寝台車がおすすめです。
デラックス寝台はトイレとシャワーが部屋にあることを除けば、普通寝台と変わりません。
トイレ・シャワーは寝台車の各車両にあるので、7時間程度のためにそこまで課金する必要は無いと思います。

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