マドリードからトレドへ、高速電車アバント(AVANT)に乗る【車内・予約など】

ヨーロッパ鉄道

スペインの首都マドリードからほど近い古都トレド。
三方を川に囲まれた丘にあるこの都市は、中世までこの国の中心として栄えました。

マドリードからトレドまでは、高速列車アバント(AVANT)で僅か30分でアクセスできます。
2023年11月中旬、両都市間を往復しました。
本記事では、アバントについての基礎知識や予約に関して知っておきたいポイント、そして実際に旅行する際の注意点などについて述べていきます。

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マドリードからトレドまでの所要時間は30分少々

首都マドリードから南に70㎞の所にあるトレドまで、スペイン国鉄のアバント(AVANT)が直通で結んでいます。
最高速度は時速250㎞で、所要時間は僅か32分。
なお、アバントとはスペイン新幹線アベ(AVE)の短距離版の列車です。
全席指定制なので予約必須です。

マドリードには複数の主要駅がありますが、トレド行きアバントが発着するのは内部にある植物園で有名なアトーチャ駅(Madrid Atocha)です。
バルセロナやアンダルシア方面行のアベもこちらを発着するので、一番利用する機会が多い駅だと思います。

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アバントの車内

アバントの車内

アバントの編成は二等車のみで一等車はありません。
車内は一般的な通路を挟んで2&2列の座席配置です。
各列が車両中央部を向いていている「集団見合い式」と呼ばれる構造で、座席を回転することはできません。

マドリード・トレド間のアバントには、鼻が長い車両と短い車両の二種類が運用されています。
基本的に車内はほとんど変わりません。
私が乗ったのは鼻が長い方ですが、各座席にコンセントが付いていました。

アバントの座席
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片道13.9€。往復で予約すると安くなる。

アバントの予約はスペイン国鉄(renfe)のサイトから行うことができます。
アベのように複雑な予約クラス・等級がなく、シンプルな商品です。
料金はいつ予約しても固定で、マドリード・トレド間は13.9€(2023年末)です。

しかし、往復で予約すると両方とも11.1€と約20%も割引されます。
往路と復路は同じ日でも別の日でもかまいません。
トレドに行く人はマドリードに戻ると思うので、是非往復でオトクに予約してください。
アベの割引チケットと違って、アバントでは座席選択も追加料金なしで可能です。

また、変更やキャンセルも可能(キャンセルは15%の手数料要)です。
トレド観光に思った以上に時間がかかってしまった場合でも、1本後の便に変更できるのはとても有難いです。

ところで、スペインの列車は基本的に2カ月前から予約できるといわれますが、たいていアバントは数週間前にならないと予約できません。
また、”FULL”(満席)となっていても、実際は駅の窓口で買えたこともありました。

全般的なスペイン国鉄の予約方法についてはアベの記事をご覧ください。

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乗車記:駅にはコインロッカーがない

南部のコルドバからアベでマドリードに到着、すぐにアバントに乗り換えます。
これからトレドまで往復するのでコインロッカーを探したのですが、不便なことに駅にはありませんでした。
仕方なくスーツケースを持ったままアバントに乗り込みます。

スペインの高速列車では乗車前に荷物検査があります。
検査自体に時間はかかりませんが、列に並んで列車に乗り込むまでの時間を考えると、マドリードでは20~30分前くらいに検査場に着くことをおすすめします。
逆にトレドではもっと直近でかまいません。

地階(日本風に言うと1階)の荷物検査場を通過して、アバントの待つホームに向かいます。
鼻の長い新型車両でした。

平日の昼間にもかかわらず、列車は混雑していてほぼ満席でした。
大きな荷物を持った外国人旅行者らしき人が多く、意外と日帰りではなくトレドで宿泊する人もいるようです。
12時15分、マドリード・アトーチャ駅(Madrid Atocha)を出発。

この日のマドリード近郊は霧が立ち込めていて視界は真っ白でした。
隣に座っているアメリカ人が「このスマホは馬鹿だろう?」と言って天気アプリの画面を見せてきます。
そこには「天気晴れ、気温60度」とあり、こちらも思わず笑いました。

しかし10分もすると、隣のアメリカ人のスマホが言うように、雲もほとんどない快晴となりました。
トレドの「防衛線」となるタホ川が見えてくると、トレドはまもなくです。

トレド駅(Toledo)の駅舎はまるでイスラム寺院のような内装ですが、教会のようなステンドグラスもあります。
文化が混合する街に相応しい駅です。

それは良いのですが、困ったことにトレド駅にもコインロッカーがありません。
市街中心部まで歩くと20分くらい石畳の坂道を歩くことになります。
タホ川を渡る橋の近くにエスカレーターがあるようなので、結局バスを待たずに歩きました。
丘を登った市街中心部でようやく無人のコインロッカーを見つけました。

数あるトレドの見所のうちでも一番重要なのは、スペインカトリックの総本山・カテドラルで
広大な本堂にある祭壇などの芸術性の高さには感心します。
そして付属の部屋にはエル・グレコやゴヤの絵画も展示されています。
ここを見ただけでもスペイン文化の真髄に触れた気分になれるでしょう。

なお、人の多い通りには中世の甲冑や剣を飾った店がたくさんありますが、個人的にこういうテーマパークっぽいものは好きではありません。
「お前はひねくれている」と思った方は、兜や日本刀がバラバラ飾られた日本の武家屋敷があったらどう感じるか想像してみてください。

それはともかく、スケジュールの都合でトレドには4時間弱の滞在でしたが、全く時間が足りませんでした。
読者の皆さんはもっと余裕を持った計画を立てることを強くおすすめします。

行き損なったアルカサル(軍事博物館)

賑やかだった行きとは対照的に、マドリード行き列車は修学旅行の帰りのバスのように静まり返っていました。

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マドリードから日帰り可能なスペインの小江戸

セルバンテス像

多様な時代と文化の面影を映し、旧市街の入り口の門でセルバンテス(「ドン・キホーテ」の作者)の像が迎え、エル・グレコの足跡が残るトレドは、スペインの歴史文化を凝縮した街と言えるでしょう。
マドリードの滞在を1日増やして、都心から小江戸川越へ出かける気持ちでトレドを訪れてみてください。

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