青春18きっぷで大阪から九州(下関)へ行くルートを比較【車窓・所要時間など】

旅行術
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青春18きっぷを利用して関西から九州への行き方をまとめました。
在来線だと下関から先は関門トンネルを通るだけなので、山陽本線と山陰本線が事実上合流する下関までのルートを比較検討します。

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山陽線

山陽本線を軸として、途中の区間では4つの支線で迂回(距離が短くなる線区もある)することができます。
それぞれの路線が個性を持っているので、行きと帰りでルートを変えるのも面白いです。

各支線の所要時間については、同区間における山陽本線の所要時間も(○○分)で示しているので、どれくらい遠回りになるのかの参考にしてください。

山陽本線 所要時間:大阪から下関まで10時間

岡山~福山で運転される快速「サンライナー」

最も一般的で所要時間の短いルートです。
ただ後で紹介する赤穂線・呉線経由の方が距離は短くなるので、最短ルートではありません。

私は山陽本線は青春18きっぷ旅行にとても適した路線だと思っています。
その理由は

  1. 瀬戸内海などの車窓が綺麗
  2. 列車本数も多いので、気軽に途中下車・途中休憩ができる
  3. 車両は快適なクロスシートである
  4. 沿線の駅弁が美味しい

からです。
この4つの条件が揃った路線は他に思い当たりません。

山陽本線の普通列車は運転距離が長いものが多く、運転系統の分かれ目が岡山・広島といった大都市ではなく、三原・岩国のような中規模の駅であることも特徴です。
なお当サイトでは運転系統によって①大阪~姫路のJR神戸線、②姫路~糸崎・三原の岡山エリア、③糸崎・三原~岩国の広島エリア、④岩国~下関の山口エリア、と便宜的に分類しています。
岡山エリアと山口エリアでは古い車両が活躍していますが、車内はリニューアルされており、新型車両と遜色ない2人掛けのクロスシートが並んでいます。
また山口エリアまで来れば、駅の雰囲気などにだいぶ「地方の鉄道路線らしさ」が感じられます。

宇部駅は割と大きな駅だが古めかしい

最大の見どころとなる瀬戸内海の風景が見れる区間は長いとはいえませんが、どれも印象的な美しい車窓です。
特に海が綺麗なのは以下の区間です。

  • 須磨~明石(JR神戸線)
  • 東尾道~糸崎(岡山エリアの最西部)
  • 藤生~大畠(山口エリアの最東部)
  • 戸田~防府(山口エリアの中間部)

一方で姫路~岡山・三原~広島、そして新山口以降は山間部を走ります。

JR神戸線では須磨の海と明石海峡大橋が眺められる
東尾道~尾道では尾道水道と尾道大橋が見れる

岡山駅と広島駅だけでなく、乗り換えとなる姫路駅や三原駅でも駅弁の販売があります。
しかし一番有名でおすすめなのは、宮島口駅(広島~岩国間)の「あなごめし」です。

宮島口駅の「あなごめし」は絶品。
途中下車してでも食べたい。

同じくあなごの弁当は他の駅でもよく見かけますが、宮島口の駅弁はそれらと比べると一つ突き抜けた存在です。

赤穂線 所要時間:90分(本線経由は70分)

赤穂線の車両は山陽本線と変わらない

赤穂線の列車は相生~岡山(赤穂線の路線は3つ前東岡山まで)を結び、路線の距離は本線経由よりも3㎞程短くなっています。
山陽本線のこの区間は青春18きっぷ期間中は通過客で混雑することで知られていますが、所要時間・列車本数がさほど変わらない赤穂線を利用することで、疲労やストレスを回避することができます。

沿線は歴史を感じさせる街が多い

緩くて長い勾配で山越えをする山陽本線に対して、赤穂線は比較的平坦な海側を走ります。
ただ海が見えるのは極僅かで日生駅の周辺に限られます。
入り江に面した日生駅からは小豆島行きのフェリー乗り場があり、瀬戸内海らしい風景が広がっています。

呉線 所要時間:2時間半(75分)

呉線の車両はクロスシートで快適

呉線の列車は三原~広島(呉線としては海田市まで)を海沿いに走ります。
呉線の魅力は瀬戸内海の美しい車窓に尽きます。
特に三原を出てから竹原まで、最初の40分くらいが一番景色が綺麗だと思います。

麗しの多島海

三原~広島を通しで運転する列車は少なく、たいていは途中の広で乗り換えとなります。
呉線は広を境に大きくその性格が異なり、広まではローカル線ですが、広からは広島とその近郊を結ぶ通勤路線に変貌します。
通勤路線の区間でも海の風景は綺麗ですが、戦時中の複線化計画の名残であるトンネル跡も散見されます。
呉線には軍都広島と軍港呉を結ぶ軍用線として重要な路線だったという歴史もあるのです。
今でも沿線には所々造船所が見られます。

トンネル跡は複線化の夢の跡

前半は本数が少なく所要時間も本線経由の2倍かかりますが、瀬戸内海の景色をゆっくりと楽しみたい人にはぜひおすすめの路線です。

岩徳線 所要時間:80分(70分)

岩徳線の単行気動車

岩徳線の列車は岩国~徳山(岩徳線としては一つ前の櫛ヶ浜)を結んでいます。
全線非電化のローカル線ですが、戦前から戦時中にかけてはこちらが「山陽本線」を名乗っていました。
実際に内陸部を通る岩徳線は海岸経由の山陽本線(「柳井線」と呼ばれていた)よりも20㎞以上距離が短いのですが、トンネルと勾配の問題や柳井線沿線に軍事施設が沢山あることから、山陽本線の複線化が行われた1944年に当時の柳井線が複線化のうえ山陽本線に編入され、内陸をショートカットする路線は岩徳線としてローカル線に格下げされました。

岩徳線の魅力はそうした凋落の歴史を物語る駅にあります。
たった1両のディーゼルカーを迎え入れる駅は、昔蒸気機関車に牽かれた長大編成の列車に対応していたため、ホームが異常に長いのが特徴です。
ホームは真ん中のほんの僅かな部分以外では雑草が好き放題に生えており、見るものに哀れを感じさせます。

長大なホームのうち使われているのは僅かな部分だけ

列車本数が大して多くないにもかかわらず、行き違いができる立派な構えの駅が多いのも山陽本線時代を思わせます。
車窓の見所は西岩国~川西で錦川を渡る時に山頂に岩国城が見えることくらいですが、「栄枯盛衰」という言葉に趣を感じる人にはおすすめしたい路線です。

宇部線・小野田線 新山口~小野田まで80分(25分)

宇部線の電車

宇部線と小野田線は山陽本線の新山口・宇部・厚狭の各駅から垂れ下がるように、海岸沿いの工業都市を結んでいる路線です。
両線とも私鉄として開業した後に、戦時中の石炭輸送のために国鉄に買収された経緯があります。
戦後もしばらく石灰石輸送に活躍しましたが、現在では貨物列車の営業は行われていません。

宇部線と小野田線の特徴は一言で表すと「ローカル私鉄らしい趣」にあります。
例えばこじんまりとした駅の様子だったり、工場のある市街地を1㎞程度しかない駅間で、それも急カーブを繰り返しながらコトコト走るところに、そうした雰囲気を感じることができます。

本山支線が分岐する小野田線雀田駅。
地方私鉄らしい駅構造。

なお小野田まで所要時間80分となっていますが、これは乗車時間です。
実際には小野田線の本数が少ないため、乗り換え時間が長くなってしまうことも多いので要注意です。

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山陰本線 所要時間:1日では不可

山陰本線の起点は京都なので、大阪からだと福知山線で福知山まで出てそこから山陰本線に乗ることになります。
東北本線の盛岡以北が第三セクターに移行した現在、山陰本線は日本で最長を誇り、その沿線風景からも「偉大なるローカル線」と呼ぶに相応しい路線です。

山陽本線と異なり新幹線が並走していないため、特急が運転されている区間が多いのも特徴ですが、山陰本線内の沿線都市相互を結ぶ「ヨコ」のつながりより、山陽新幹線と接続して乗り入れてくる陰陽連絡輸送に主眼がおかれています。
そのため山陰本線を通じての流れは寸断されがちで、古代より重要な交通路だった山陽路に対する「裏日本」山陰路の立場が暗示的に、しかし明確に表れています。

さて、そんな山陰本線の魅力は?といってもなかなか表現するのは難しいのですが、やはり真っ先に挙げられるのは日本海の迫力ある美しさでしょう。
城崎温泉を出るとトンネルの合間に日本海の断崖絶壁を見ながら走りますが、その後も下関の市街地に至るまで断続的に海の景色は続きます。
また海沿いの区間がだいたいそうであるように、山が海に迫った地形なので山間部を走る所も結構多いです。
もちろん、海沿いや山あいに佇む鄙びた集落から滲み出る風情も印象的な要素であることは言うまでもありません。

さらに山陰本線の旅の楽しみは車窓だけにとどまりません。
全くもって近代化から取り残されてしまった区間もあれば、複線電化されていたり、あるいは高速化されて快速や特急が快走する区間もあり、線路条件の変化も楽しむことができます。

福知山線経由でも普通列車だけで1日のうちに下関に辿り着くことはできません。
途中鳥取~米子で特急に乗れば23時過ぎに下関に着きますが、西部の車窓が楽しめないのでこれだと敢えて山陰本線に乗る意義が薄れてしまいます。

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番外編:フェリーで関西から九州へ行く

ブルートレインやムーンライト九州が廃止された現在、関西から夜行列車に乗って九州にいくことはできません。
しかし、フェリーを使えば大阪・神戸を夕方に出て小倉・大分・宮崎などへ翌朝に着くことができます。
当然のことながら青春18きっぷは使用できませんが、会社によっては割引運賃も設定されていて、JRの乗車券よりもはるかに格安で移動することも可能です。

船内にはロビー・レストラン・大浴場といった共用設備が充実しているので、値段の高い個室でなくともそれほど苦にはなりません。
私は青春18きっぷや夜行列車の旅に関心がある人は、フェリーとも親和性が高いと思っています。

名門大洋フェリーのエントランスロビー

思えば、山陽本線の前身である山陽鉄道は、瀬戸内海航路と激しい旅客争奪競争を繰り広げており、その過程で食堂車や寝台車が生まれました。
「船旅」と聞くと「金持ちが乗るクルーズ船」を思い浮かべてしまう人もいるかもしれませんが、フェリーは車が無い人も含めて気軽に利用することができる移動手段なのです。

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山陽・山陰それぞれの楽しみ

私はここ2,3年で関西から下関・九州を普通列車で何度も往復しましたが、全く飽きる気配がありません。
山陽本線だけでも何度も楽しめますが、途中で個性豊かな支線たちを組み入れることでさらに選択肢は広がります。
東海道本線から青春18きっぷ旅行を始める人が多いかもしれませんが、理由は冒頭で述べた通り、私としては山陽本線こそ取っ掛かりに相応しいと考えています。

山陰本線経由も時間があれば是非試してほしいルートです。
どうせなら京都まで出て、最長路線完全走破を目指すのも良いでしょう。
山陰本線の変化に富む車窓や沿線の風情は「これぞ普通列車の旅の醍醐味」と思わせるのに十分な魅力があります。

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