E257系の特急「草津・四万」で上野駅発長野原草津口駅へ【車内・車窓など】

旅行記

上野から高崎を経て草津温泉の玄関口の長野原草津口へと至る特急「草津」。
2023年3月のダイヤ改正で、車両が新しくなると共に列車名も「草津・四万」に変更されました。

3月下旬のお昼時、生まれ変わった温泉地行きの特急列車に乗って、上野駅から終点の長野原草津口駅へ向かいました。
なお、乗車記の章では混雑具合も記録しています。
年度末の旅行シーズンなので、この日はかなり乗客が多い日だと思ってください。

青線が特急「草津・四万」のルート
国土地理院の地図を加工して利用
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リニューアルE257系に車両更新された「草津・四万」

全車指定席で自由席・座席未指定券は無い

2023年3月のダイヤ改正で、特急「草津」の列車名が「草津・四万しまに改められました。
「四万」は途中停車駅の中之条からバスでアクセスできる四万温泉に由来しています。
列車名は少し不細工になりましたが、沿線の温泉地をアピールしようという心意気は感じられます。

車両は民営化直後に「スーパーひたち」でデビューした651系に代わって、リニューアルされたE257系に置きかえられました。
新しい特急「踊り子」と同じ系統の車両です。
これによって名車651系は定期運用から引退します。

E257系によって置き換えられた651系

車両が変わったことで、「草津・四万」は5両編成になりグリーン車は廃止されました。
そして普通車も全席指定席制となり、自由席が無くなりました。
また、同じ高崎線特急でも通勤用の「あかぎ」は新しい着席システムの「座席未指定券」で自由席感覚で乗ることができましたが、「草津・四万」はあくまで指定席特急券が必要です。

車内:窓側席にコンセント有り、グリーン車は無くなった

特急「草津・四万」の車内

車両が新しくなって特に変わった点が、窓側の座席にコンセントが設置された点です。
いかにも工事で付け足した感がありますが、新幹線のような足元よりもこの位置の方が使いやすいと思います。

製造されて20年近く経っている車両ですが、リニューアルされていることもあってさほど古さは感じられません。
ただし「草津・四万」には車内販売はおろか、自動販売機の設置もありません。
乗車前に準備は忘れないように。

予約はえきねっとの割引価格で

「草津・四万」の指定席特急券の予約は、JR東日本の「えきねっと」がおすすめです。
チケットレス特急券を35%割引(列車・座席数・区間限定)で購入することができます。
ネット予約の際に乗車券も同時購入することは可能ですが、その場合は乗車券部分の受け取りは必要なので注意してください。

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乗車記:車窓は左側の方がおすすめ

上野駅地上ホームの14番線から発車

年度末の花見シーズン。
上野は大勢の人で賑わっていました。
そんな中にあって、発着する列車も少ない上野駅の地上ホームには「草津・四万」を待つ人がいる程度。
上野でこんなひっそりした場所は他にないでしょう。

今回乗車するのは上野駅を12時10分に出発する、特急「草津・四万3号」です。
ちょうど昼食時なので、乗客たちは座席を向かい合わせにして弁当や缶ビールを楽しんでいます。
上野駅を出発した時には乗車率は半分程度でした。
かつて長距離列車が発着した旅情ある地上ホームから出ていくのは嬉しいものです。

高崎駅までは景色は退屈気味…

山手線や京浜東北線の電車を抜きながら、我が特急列車は走ります。
最初の方は都心部でもまだ風情が残っている地域なので、公園の桜があちこちで見られます。
やがて住宅街となり、大宮駅に到着。

大宮駅を出てまもなく鉄道博物館の横を通り過ぎました。
まるで自分がイベント列車に乗っているかのように、沢山の親子が手を振って見送ります。
前の「草津」を担当していた651系も、この博物館入りするのでしょうか?

今走っている高崎線(大宮~高崎)は、日本でも最も車窓風景がつまらない路線の一つだと私は思っています。
敢えて見所を挙げるとすれば、農地と宅地が虫食い状態になって混在する、醜いスプロール現象でしょう。

熊谷駅くまがやを出るとだいぶ農地が卓越してきて、田園風景もサマになります。
埼玉県というと鉄道好きにとっては大宮のイメージが強すぎますが、こうした景色こそが本当の埼玉県なのかもしれません。
高崎駅到着の10分程前に神流川かんながわを渡って群馬県に入ります。

高崎駅は北関東の鉄道の一大拠点です。
県庁所在地の前橋市を上回る人口を擁しています。

高崎駅から混雑。右手に赤城山、左手に榛名山の車窓。

高崎駅からは意外なほど沢山の人が乗ってきました。
特に外国人が多く、8割くらいの座席が埋まっています。

上越線に入り、新前橋駅に停車。
温泉客には見えないのですぐに降りそうだった数人の客が、この駅で降りました。
新幹線が停まらないこの駅にとって、「草津・四万」は貴重な存在です。

この辺りでようやく関東平野から脱出します。
頃合いになったところで、今までずっと我慢していたビールを開栓。
上野駅のコンビニで買った「0マイルポスト」というIPAです。
フルーティーで苦みと酸味がはっきりしています。

列車は利根川沿いに少しずつ坂を登って行きます。
右手には長い山裾を持つ堂々とした赤城山が、左手にはラクダのコブのような形をした榛名山が見えます。
やっと車窓を眺めるのが楽しくなってきました。

右手に聳える赤城山
左手の榛名山

渋川駅から吾妻線。吾妻川は進行方向左手。

渋川駅ではスーツケースを持って降りる人がちらほら。
バスで伊香保温泉に行くのでしょう。
ここからは利根川沿いの行路は上越線に任せ、「草津・四万」は吾妻川沿いの吾妻線に入ります。

今までは複線化された幹線を通ってきましたが、吾妻線は単線です。
レール音が軽くなり、明らかにスピードが落ちます。
そんなローカル線を跨いで、上越新幹線の高架が真っすぐに伸びて山地を貫いていきます。

吾妻川が見えるのは進行方向左側です。
谷はあまり深くなく、平地には集落も結構あります。

やがて谷が広がり、左手前方の川沿いに中之条のまとまった市街地が見えてきました。

その後も谷が深くなることはなく、景色はあまり変わりません。

中之条駅を出てから10分ほどすると、長いトンネルが始まります。
2014年に、八ッ場ダムの建設で線路が水没するため、トンネルと橋梁主体の新ルートに切り替えられました。
旧線時代はここからが渓谷美を楽しめる区間だったので、旅行者としては残念です。
政権を取ったばかりの頃の民主党と一緒に、私もダム建設に反対しておけば良かったと思えてきます。

帰りの普通列車より

それまでとは全く違ったエメラルド色の吾妻川に迎えられ、終点の長野原草津口駅に到着しました。

長野原草津口駅に到着。草津温泉へはバスで。

「草津・四万」はここが終点ですが、吾妻線の線路はまだ続いています。
向かい側のホームにこの先の万座・鹿沢口駅行きの普通列車が待機していましたが、乗り換える人はほぼゼロ。
皆、草津温泉行のバス乗り場に向かっていきました。

長野原草津口駅

草津温泉行バスが出発してしまうと、「草津口」とは違った長閑な「長野原町」を取り戻しました。

温泉旅行者たちを見送って、駅付近を軽く散策。
足湯でもあれば、私のような駅前旅行者でも湧出量日本一の草津温泉の恩恵に浴することができるのですが、あいにく小さな売店しかありませんでした。
何もない田舎の駅に、吾妻線には勿体ないほど近代的な線路設備が、周囲を圧倒するように聳えています。

写真左端が長野原草津口駅
特急「草津・四万」も停車している
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生まれ変わった吾妻線特急「草津・四万」

改正前の特急「草津」は、かつて「スーパーひたち」で一世を風靡した651系で運転され、グリーン車も付いていました。
それと比べると新しい「草津・四万」は、汎用型のE257系でグリーン車無しと、スケールダウンしたようにも思えます。

しかし、それは所詮鉄道ファンの内輪でしか通用しない話です。
善良なる一般人にとっては、新しくなってコンセントも設置された車両で草津温泉に行ける、で良いのです。
E257系が見習うべき185系という特急らしからぬ車両による「踊り子」が、40年にもわたって親しまれたのがその証左です。

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