グランクラス越え、中国高速鉄道の商務席に乗る【広州~深圳~香港】

アジア

中国の高速鉄道は最高速度350km/hで運行されており、これは日本や西欧諸国を抜いて世界最速である。
それだけでなく、最上級クラスの商務席は日本の新幹線のグランクラスをも凌駕する豪華設備となっている。

2025年12月、広東省の広州から香港まで、高速列車「復興」号の商務席を利用した。
本記事では実際の乗車記も併せて、商務席の車内やサービス内容を中心に解説する。
中国高速鉄道の全般的な内容については以下の記事を参照していただきたい。

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商務席は2タイプがある

中国高速鉄道の要となる列車が、最高速度350km/hを誇る国産車両で運転される「復興」号だ。
日本の新幹線でいう「のぞみ」や「はやぶさ」のような存在で、全国各地に走っている。
「復興」号は基本的に3クラス制で、日本の普通車が2等席、グリーン車が1等席、そしてグランクラスに相当するのが商務席である。

その商務席は車両によって2つの種類があることを覚えておこう。
1つ目が通常の商務席で、通路を隔てて1&2列の座席配置となっている。
レイアウトとしてはグランクラスと同様の設備だ。

中国高速鉄道の商務席の車内
通常編成の商務席

そしてもう1つのタイプが、「復興」号のなかでも新型の「スマート編成」と呼ばれる車両のもので、こちらのレイアウトは1&1列とさらにデラックスな設備になっている。
グランクラスどころか、もはや飛行機の長距離国際線のファーストクラス並みである。

中国高速鉄道のスマート編成の商務席の車内
スマート編成の商務席

乗りたい「復興」号が通常編成かスマート編成かは、中国の鉄道の公式サービスの「中国鉄路12306」を利用すればすぐに判別できる。
列車検索をして、「復興号」(実際は簡体字表記)のマークの横に「智能~」という表示があるのがスマート編成である。
中国が監視社会ゆえに、本人認証など事前に面倒な手続きが必要だが、実際の予約は他の予約サイトでする人でも、情報取集用にアプリを入れておいてもよいだろう。

中国鉄路12306アプリの列車検索画面(中国語版)

注意点としては、中国鉄路12306でも英語版ではこの情報が出てこないので、中国語版を使う必要がある。
中国語版を使うのが面倒な人は、敢えて中国鉄路12306を使う必要はないので、好みの予約サイトで済ませてしまおう。

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割引で安く商務席に乗れることも

中国高速鉄道の料金は変動制が採用されている。
つまり同じ区間・クラスでも便の需給によって料金が上下し、これは商務席にも適用される。

値段(元で表示)の横に割引率が示されている。
上の写真の例だと、商務席の「8.1折」は19%割引という意味だ。
G132列車は昼間の時間帯で所要時間も長いので、その分割引率が高くなっていると考えられる。

一般的に割引率は10%前後のことが多い。
しかし、私が乗車した広州~香港間の昼間の列車の例では、商務席が30%近くも割引され、2等席の2倍くらい(通常は3倍以上)の料金で利用することができた。
また、新幹線のグランクラスB料金のように、割引されているからといってサービスが省略されることもない。
もし、スマート編成かつ割引率が大きい列車があれば、是非ともそのチャンスを生かしてみよう。

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先に結論:商務席の付加価値

乗車記に先立って、まずは商務席の付加価値を列挙する。

  • 定員が少ない分座席がゆったりしていて、フルフラットにもなる。特にスマート編成は個室に近い。
  • ウェルカムドリンクと弁当のサービス(ランチ時間帯)、その他アメニティ類もあり。
  • 出発駅で商務席の乗客用ラウンジを利用できる。また、乗車開始時間になると係員が自席まで連れて行ってくれる。(改札は優先レーン)

といったところである。
そのサービスの目玉は、何といっても最初に挙げた座席の豪華さである。

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乗車記:広州南駅→香港西九龍駅

12月中旬だというのに、広州の昼間の気温は25度。
日差しが強く、湿度も高い。
ダウンジャケットを詰め込んだスーツケースを引きながら、広州の活気ある雑然とした通りを歩いて地下鉄駅に向かった。

広州南駅グアンチョウナン(Guangzhounan)の待合所は明るく開放的で、南国風の植物もあった。
スペインのマドリード・アトーチャ駅を思わせる雰囲気だ。

商務席の乗客用のラウンジを探す。
場所は中央寄りだったが、外観はやや分かりづらかった。
受付でチケット代わりとなるパスポートを提示すると番号札をもらった。
この番号札を目印にして、後で係員が時間になったら呼んでくれるわけである。

ラウンジの入り口

何種類かのお茶や菓子類があり、スマホの充電もできた。
他の駅はどうか知らないが、広州南駅のラウンジはそれほど豪華というわけでもなかった。
とはいえ、外の待合所はいつでも人で溢れているから、乗車前にゆっくりくつろげるのは良い。

出発20分前に若い男性の係員が来て、「これから乗車できますので準備をしてください」と言う。
彼がスーツケースも持ってくれた。
「広東省は暑いでしょう?」
「ええ、まるで夏みたいですよ。」
長蛇の列を横目に、改札の優先レーンを通ってエスカレーターでホームに降りる。

「復興」号スマート編成

最後尾車両に乗車。
それにしても豪華な車内である。
通路を隔てて1&1列の座席レイアウトで、内装も高級感がある。
今回の車両は復興号のなかでも新型のスマート編成で、通常編成の商務席(1&2列)よりもさらに豪華仕様となっている。
私があっけにとられていると、係員はスーツケースを荷物置き場に収納して「では良い旅を」と言って去っていった。

座席は電動リクライニング式でフットレストも付いていた。
飛行機と同様にパーソナルモニターがあって、外気温・速度・運行情報などを見れる。
さらに座席はフルフラット、つまりベッド状にすることもできる。
これはグランクラス以上、飛行機の長距離国際線ファーストクラス並みと言ってよい。

出発を待っていると乗務員が「オレンジジュースかコーヒーかいかがですか?」と尋ねてきたのでジュースをもらう。
座席横のテーブルにはカップ置きとワイヤレス充電(スマホを置くだけで充電できる)も備わっていた。
さらに座席と通路の間にある仕切りを閉めると、もはや一人用簡易個室になる。
とにかく至れり尽くせりの設備である。

12時13分、広州南駅を出発。
都市部を抜けると、東南アジアのような田園風景が広がった。

しばらくするとランチサービスが始まった。
弁当は何種類か選択肢があったので牛肉のものを選んだ。
「辛いですが良いですか?」と確認されたが、本当に唐辛子まみれの牛肉だった。
インスタントのカップスープも付いてきた。
弁当は決してまずくはないが、車内販売で売っているような普通の商品である。
素晴らしい車内設備と比較すると、やはり物足らなさを感じる。
ここは是非、グランクラスの軽食レベルの中華料理と中国産赤ワイン(日本では見かけないが意外といける)を提供していただきたいところだ。

中国高速鉄道の商務席のランチサービス

マングローブ林にも似た河口部を過ぎると、今度は深圳の高層ビルの林が目の前に現れた。
深圳は「中国のシリコンバレー」とも呼ばれており、ファーウェイやBYDなどが本社を置くハイテク産業が盛んな都市である。
歴史・文化よりもテクノロジーに興味がある人は、広州よりも深圳を訪れた方が面白いだろう。

深圳北駅シェンヂェンベイ(Shenzhenbei)からはずっと地下を走った。
これでは中国本土と香港の境を意識すべくもない。
13時21分、地下の香港西九龍駅ホンコン サイカウロン(Hong Kong West Kowloon)に到着した。

さて、香港はあくまで中国の一部であるが、諸々の社会制度は本土とは異なる。
そのため香港西九龍駅を降りる時に、本土・香港それぞれの荷物検査と出入国審査がある。
いわば、駅の改札口が「国境」となっているイメージだ。
特に気を付けたいのは香港西九龍駅から乗車する場合で、諸手続きの時間も考慮すると、少なくとも1時間以上前、できれば1時間半前に駅に着いておくようにしよう。

初めは現地の人は相変わらず中国語(香港で話される広東語と標準語の違いは筆者には分からない)だし、大して香港は中国と変わらないなと感じたが、すぐに考えを改めた。
まず表記は英語が併用なのでありがたかった。
外国人(白人)が増え、車は日本車が圧倒的に多数で、ビルのロゴも外資系が目立つ。
街のあちこちにあった綺麗事を12個並べた共産党のスローガンは消え、それから化粧品の広告に出ている女性の露出度が明らかに高くなった。

気温は30度。
景色の良いウォーターフロントまでは徒歩圏内だ。
プロムナードは海風が強く吹き付けて心地よかった。





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