個室感覚の2列座席、東京~徳島の豪華夜行バス「マイ・フローラ」号に乗る

旅行術

費用が安くて時間を有効に使えるのが夜行バスだ。
そんな魅力的にみえる夜行バスだが、致命的な欠点がその居住性だろう。
私も学生時代はトイレ無し4列シートの格安バスをよく利用していたが、もう30代後半となれば翌日の活動に支障をきたすので、とてもでも選択肢にならない。
3列シートにグレードアップしたところで同様であった。

夜行バスは長い間敬遠していたのだが、個室感覚の豪華設備を持つ車両があると今さらながら知った。
東京と徳島を結ぶ夜行バス「マイ・フローラ」である。

そんなわけで2025年11月、私にとって久々の夜行バスとなる「マイ・フローラ」に乗車し、先月に続いて四国を訪れた。

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12席だけの豪華車両、予約は早めに。

「マイ・フローラ」はその豪華設備故に座席数が12個しかない。
予約は1カ月前からできるが、数週間後の便でも満席となっていることもよくあるので、なるべく早めに予約した方が良い。
ネット予約だと少しだけ割引になり、私が乗った日は16,200円だった。
高速バスにしては高いが、個室感覚の座席であることを考えれば安いくらいだろう。
ちなみに東京~高松間の「サンライズ瀬戸」のノビノビ座席だと、ほぼ同じ15,000円程度である。

「サンライズ」のノビノビ座席
横になれるのは魅力的だが、「マイ・フローラ」のようなアメニティやコンセントはない。

なお、同じ会社が同じルート・似た時間帯で運行している「マイ・リピート」という便もあるので、乗車・予約の際は間違えないようにしよう。
こちらは3列独立シートで、早割なら「マイ・フローラ」の半額以下の料金で利用できる。

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土足禁止の快適なバス・ステイ

「マイ・フローラ」の東京側の発着地は東京八重洲と新宿。
中央線沿線に住むものとしては新宿発着は便利だ。
日本各地への夜行バスが出ているバスタ新宿の様子を見ると、夜行列車も何とかならないものかと思えてならない。
出発10分前に乗り場に向かうと既にバスが停車していた。
今日も満席とのこと。

運転手にチケットを見せてバスに乗り込むと、なんと車内は土足禁止で靴を脱ぐことになっていた。
だがそんなことで驚くのはまだ早い。
通路を隔てて1席ずつ配置された座席はパーテーションとカーテンで区切られ、これはもうほぼ個室といってよい。
バスの車内というよりホテルの通路のような雰囲気だ。

大型の座席は深々とリクライニングできて、さらにフットレストを持ち上げると体がほとんど直線状になる。
アメニティとしてはスリッパとブランケットがあった。
もちろんスマホを充電するコンセントも設置されている。
座席上の棚はスペースが小さいので、大きな荷物は足元に置くか預ける必要がある。
ちなみに前方のモニターは故障中で使えなかった。

22時15分に出発。
一通りの案内放送の後、しばらくすると消灯。
車内設備は申し分ない素晴らしさなのだが、高速道路走行中の振動によってそれなりに眠りは妨げられた。
これはバスである以上は仕方がないし、私の席が一番後ろでタイヤの近くだったこともあるのだろう。

トイレは車両後方にある。
バスのトイレというと、屋敷の隠し部屋かと思うほど狭いスペースになりがちだが、ここのトイレは勿体ないほど広くて綺麗だった。
更衣室を併設しているので、仕事帰りに乗車する人にもありがたい。

翌朝、車内放送で目が覚めると淡路島を過ぎて四国まで来ていた。
夜行バスに乗って「起こされる」経験は生まれて初めてである。
途中の松茂バス停で降りる人もいた。
交通規制の影響で遅れる可能性ありと聞いていたが、それでも徳島駅前には定時より20分早い6時10分に到着した。
まだ外は暗く、駅のカフェが開店するのも7時なので、寒い駅のベンチに座っているくらいなら20分くらい遅延して欲しかったのが本音である。
「マイ・フローラ」はさらに阿南市(徳島県中部にある県内第二の都市)へと向かっていった。

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利便性・快適性・話題性の揃った夜行バス

新宿~徳島駅の所要時間は約8時間で、夜行バスとしてはちょうど良い。
振動が気になった部分もあったが、他の乗客の存在を全く意識する必要がない個室感覚の豪華設備はバスの常識を覆すものだった。
私のように夜行バスを敬遠していた人も、一度乗ってみる価値があると思う。
鉄道ファンとしてはJRがこれを参考にして、例えば東京~城崎温泉・南紀白浜・酒田間に夜行列車を運転してくれることを淡く期待したい。

それはともかく、運行会社の海部かいふ観光は徳島県南部の人口2万人に満たない海部郡で創業された事業者である。
また同じく海部郡に本社がある阿佐海岸鉄道は、高知県との間に世界初となるDMV(「デュアル・モード・ビークル」の略。道路・線路の両方を走行できる車両。)を運行している。

徳島県の、それも「僻地」にもかかわらず意欲的なサービスに挑戦するこの地には、かつて日本各地で活躍した阿波水軍のDNAが息づいているようだ。





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