快速「ことぶき」で岡山から津山へ、津山線の乗車記【車窓や混雑具合など】

ローカル線

津山線は岡山駅と津山駅を結ぶ単線非電化のローカル線です。
鉄道交通の要衝である両駅を発着する津山線には快速列車も運転されています。

2022年9月上旬に青春18きっぷを利用して、岡山駅9時47分発の快速「ことぶき」で津山駅まで乗車しました。

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岡山から津山へ

快速「ことぶき」の所要時間は約1時間10分

津山線では快速「ことぶき」が1日7.5往復(津山行7往復・岡山行8往復)設定されています。
普通列車も全区間運転のものだけでも10往復以上あり、本数は比較的多いです。
快速列車の所要時間はおよそ1時間10分、普通列車だと1時間半です。

車両は他の普通列車と同じで、もはや北海道でさえも消えつつある国鉄型気動車が主役として活躍しています。
車内は4人用のボックスシートで両端にロングシートがあります。
トイレも設置されています。

なお「ことぶき」の列車名の由来は地名ではなく、沿線に福渡・誕生寺といった縁起の良い駅名があるためらしいです。

乗車記:全線を通してまあまあ混雑

西日本の一大交通ジャンクションの岡山駅は、「懐古鉄」にとって天国のような駅です。
新型車両といえるのは四国からやって来る特急列車くらいで、JR西日本の車両は山陰地方へ向かう特急「やくも」を含め国鉄型車両ばかり。
そんな岡山駅の外れのほうに、津山行きの快速「ことぶき」が停車しています。
2両編成のタラコ色のディーゼルカー、キハ47形です。

出発15分前に着いた時には既に結構人が乗っていましたが、進行方向左側窓側の席を確保しました。
客層は旅行者風の人から背広姿まで多様で、隣のロングシートではあられもない姿のカップルが互いに支えあって寝ています。
9時47分発の快速は意外と混雑していたので、発車間際では窓側座席の確保は難しいかもしれません。

さて、岡山駅を神戸方面に向けて出発すると、まもなく古い国鉄型気動車が集結する車両基地を左手に見て、住宅地を走ります。
いったい何年変わらない光景なのでしょうか?

快速も停まる法界院駅(岡山駅の隣)付近には大学などがあり、通勤通学時間帯には混雑しそうです。
しかしその後はすぐに山が近づいてきます。

進行方向右手には旭川が寄って来ます。
まだ岡山を発って間もないですが、意外と蛇行の激しい深い谷間です。
特に牧山駅周辺の景色は見ごたえがあり、車窓が特に印象的ではない津山線の中では最も印象的な部分といえるでしょう。

2つ目の停車駅の金川駅を出ると、備中と美作の国境越えに差し掛かります。
勾配もきつくなりエンジン音が大きくなります。

車内を見渡すと岡山駅を出た頃と大して雰囲気が変わっていません。
一般にローカル線では前後の都市部の数駅だけ人が多くて、残りの中間部はガラガラなのですが、快速「ことぶき」はそうではないようです。
JRの目論見通り、地域輸送のみならず地域間輸送に利用されているということでしょう。

山越えは長く続かず、旭川を渡ると左手に市街地が見えてくると福渡駅に到着。
ここがちょうど岡山駅と津山駅の中間地点です。

車両の先頭のほうで、いかにも駅まで子供を見送りに来たような格好の女性が、スマホで車内放送やエンジンの音を録音しています。
車窓が平凡な分だけ、見た目と行動のギャップには衝撃を受けました。

後半戦に備え、岡山駅で買った酒を取り出します。
山陽新幹線岡山開業(1972年)50周年を記念したラベルのこの地酒は、高級酒ではありませんが芳醇な味わいでした。
ローカル線の旅にはこういう酒が合います。

亀甲駅かめのこうはカメの頭が突き出したユニークな駅舎が特徴です。
よく見ると目の部分が時計になっていました。

終着駅も近づくと、左手前方に津山市の街並みが見えてきました。
今まで曇り空でしたが、津山盆地は晴れています。

交通の十字路、津山駅は広々として古めかしい佇まいです。
「音鉄」の女性ら数人も、熱心に駅名標や案内表示の写真を撮っていました。

駅前のロータリー

私もしばし津山駅の雰囲気を味わった後、因美線でさらに北上して鳥取を目指しました。

急行時代の名残を残す津山駅

1967年10月の時刻表
津山駅は大阪・鳥取・岡山など各地を結ぶ列車の結節点だった

津山駅は津山線・因美線・姫新線の列車が発着する、中国山地の鉄道の要衝です。
短い編成のディーゼルカーしかいませんが、昔は急行列車が停車していた名残でホームは不自然に長いです。

このうち中国山地を縦貫する姫新線の急行列車は、並行する中国自動車道が開通したことで、誇らしい13両編成を組んだのも嘘だったかのように衰退しました。

津山線は国鉄民営化(1987年)後も、岡山~鳥取の急行「砂丘」が走る陰陽連絡線の一部として機能していました。
しかし1994年に智頭急行が開業し、同区間に特急「いなば」が登場したことでその役割を終えました。
これは津山線にとっては残念ですが、実質的には発展解消というべきでしょう。

急行が走っていた時代のグリーン車乗車口

なお、津山駅から徒歩10分程度の所に「津山まなびの鉄道館」があります。
ここの扇形機関庫は圧巻で、津山駅の重要性を物語っています。

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ローカル線の優等生

県北部の美作地方の中心都市である津山と県都岡山を繋ぐ路線として、津山線はその役割を一応は果たしているといえそうです。
超閑散の印象が強い中国地方のローカル線にしては、かなり健闘している路線です。

優等列車を失った後でも、快速列車による地域間輸送で存在価値を維持している津山線は、地方ローカル線のあり方として一つのモデルを示しています。

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