日本海側の要衝、新津駅と新津鉄道資料館の訪問記【ホームで立ち売りの駅弁を購入】

東日本の駅

新津駅は信越本線の新潟駅の15㎞程南にある駅で、羽越本線と磐越西線がここを起点にしています。
駅から数キロ離れた場所には新津鉄道資料館があり、さらには町の至る所でも鉄道文化を感じることができます。

地図右上の赤点が新津駅。
右上方向:羽越本線、右下:磐越西線、左:信越本線、左下:信越本線からの上越線
国土地理院の地図を加工して利用。
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新津駅の魅力

「裏日本」の一大ジャンクションだった新津駅

新潟方面より新津駅に進入

新津駅は信越本線・羽越本線、さらには磐越西線が乗り入れる鉄道のジャンクションです。
信越本線と羽越本線は日本海縦貫線を構成する幹線で、新幹線と連絡する特急列車や貨物列車が運転されています。

磐越西線は「SLが走るローカル線」くらいにしか思っていない人もいるでしょうが、1931年の上越線開業以前は信越本線と共に関東~新潟の主要ルートの一つでもあり、その後も南東北の太平洋側と新潟を結ぶ急行列車「あがの」(新潟~新津~会津若松~郡山~仙台)が活躍した、意外と重要だった路線なのです。

つまり、対北陸・東北のみならず日本海側で最大の都市新潟と東京との結びつきにおいて、新津駅の存在はとても大きかったということです。
長距離輸送が新幹線に移行して地域内輸送が主力となった現在でも、長大なホームや多数の留置線にその時代の面影を見ることができます。

SL運転日はホームで駅弁販売あり。名物は「えんがわ押し寿司」

雨空に勢いよく煤煙を噴き上げて出発準備をするSL

新津駅では新潟駅とはまた別の業者(神尾弁当)が駅弁を製造販売しています。
「SLばんえつ物語」の運転日(主に土日)のみ、3番ホームで9時過ぎから発車前まで販売しています。
新津駅の神尾弁当とは別の業者(おそらく新潟駅の三新軒)も出店していました。
神尾弁当の立ち売りの人に聞いたところ、SL運転日以外の日でも駅前の事業所で駅弁が買える(予約した方がいい)とのことです。

幕の内弁当風の「SLばんえつ物語弁当」もありましたが、私は「えんがわ押し寿司」(新津駅の神尾弁当)を購入しました。

新津駅神尾弁当の駅弁、えんがわ押し寿司

その名の通りのシンプルな弁当なのですが、シンプルに美味いです。
これは個人的な見解なのですが、名前やパッケージが派手なものよりも、シンプルで格のありそうな駅弁の方がクオリティが高い傾向にあります。
付け加えると、私は「SLばんえつ物語弁当」を食べたことがなく、特定の商品をディスっているわけではありません。

なお、SL運転日には駅のキオスクでも「SLばんえつ物語弁当」を売っていました。

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新津鉄道資料館へ

行き方:バスが無ければサテライト停車場でレンタサイクル

新津鉄道資料館は新津駅から少し離れた場所にあります。
徒歩だと20分以上かかり、近くの「新津工業高校前」バス停までバスで行くこともできますが、本数が少ないのが難点です。
最も便利な方法は、鉄道資料館のサテライトも兼ねた観光案内所「あ!キハ」(土・日・月曜日営業。冬季閉館あり)でレンタサイクルを利用することでしょう。(後述)

見応えのある1階の館内常設展示

入り口で迎えてくれるのは200系新幹線とC57形蒸気機関車です。
レトロな組み合わせにしばし心を和ませたら館内に入りましょう。

旧鉄道病院の空き建物を利用しているので、外からはあまり鉄道資料館には見えないのですが、館内は結構見応えのある展示内容となっています。
主に新潟地区の鉄道の歴史が取り扱われていますが、そもそもの鉄道の役割・特徴であったり、全般的な鉄道技術やコレクション展示など多面的です。
さらに、JRのみならず廃線になった新潟県の私鉄についても取り扱われています。

1階の館内常設展示

関東から新潟、さらには東北へ向かう鉄道の集積点となった新津駅が、「裏日本」と呼ばれていた日本海側の地方の発展に果たした役割の大きさを、豊富な資料や解説で理解することができるでしょう。
西の米原、東の新津」という表現まであったそうです。

鉄道全盛期の機関区の模型

1階の4つ程ある部屋が館内展示の主要部分で、2階には企画展示室(私が行ったときは準備中)やキッズコーナー・有志から提供された資料のコーナーがあります。

屋外展示車両は車内に入れる日は限られる

入り口近くの新幹線とSL以外にも、館内を出て右手に言ったところに屋外展示車両があります。
いずれも新潟に縁のある車両で、除雪機関車、485系特急電車、115系近郊型電車、そしてオール2階建てのE4系新幹線が並んでいます。

ホームからでも十分大きく見えるMaxことE4系ですが、地上から見るその巨体は圧巻です。
2021年秋に予定されている引退後は、ますます貴重な車両となるのは間違いありません。

また、国鉄時代のオリジナルの姿を保っている485系も案外貴重な存在です。
この車両は説明書きにもある通り四国以外の全国で活躍したのですが、北海道では道内初の電車特急として運用されるも、東北とは桁違いの雪のために故障・遅延が頻発したため、数年で本州に戻されたという苦い経験を持っています。

残念ながら、車両の内部が公開されるのは月に1回程度のイベント時のみです。
主に第4日曜日に車内公開されているようです。

滞在時間は1時間程度

見学の所要時間は全部で1時間あれば問題ないと思います。
1階の館内常設展示が充実しているので、ここをゆっくり見ると30分近くかかります。
時間のやりくりで問題になるのは、寧ろ滞在時間よりはアクセスに要する時間でしょう。
私は新津駅9:20発のバスに乗って、開館時間の9:30にちょうど良いタイミングでしたが、帰りは歩いたので20分以上(道は分かりやすい)かかりました。

新津駅中サテライトていしゃば

新津駅舎。写真の左端部分に観光案内所兼サテライトがある。

駅にある観光案内所内には鉄道資料館のサテライトがあります。
ここにも鉄道施設の部品の一部や運転手が使う用具などが展示されています。
特に目を引くのが、ずらっと壁にかけられた新潟駅と新津駅の駅弁のパッケージで、スタッフのおすすめは「えんがわ押し寿司」とのこと。
自分が食べたばかりの駅弁だったので嬉しくなりました。
なお、新潟駅の駅弁の私のおすすめは「えび千両ちらし」です。

新潟駅の駅弁、えび千両ちらし。
新潟駅の駅弁、えび千両ちらし。
玉子の下に上品で豪華な具が隠れている。

自転車を借りることができるので、鉄道資料館の本館に行くには最も良い方法でしょう。
話していて分かったのですが、ここのスタッフはたぶん相当な鉄道マニアだと思います。
入館料は無料ですが、レンタサイクルには100円が必要なようです。

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駅周辺には鉄道シャッターアート

駅の東口を出て真っすぐ歩いて、3つ目(たぶん)の信号を右に曲がるとアーケード通りがあります。
一見普通の古めかしい商店街なのですが、鉄道車両を描いたシャッターアートや、通りに突然SLの動輪や信号機が現れたりと、こんなところにも鉄道要素が至る所で見られます。

また、SLをイメージした鉄道グルメなるものも周辺の飲食店で出されているようです。
サテライトていしゃばのある観光案内所で、町なかの鉄道関連の見どころを紹介したパンフレットがあるので手に取ってみてください。

「鉄道のまち」を名乗る市町村は全国に数多くありますが、新津の鉄道に対する思い入れはその中でも際立っています。
昼間でも薄暗く不気味な古い雑居ビルなど、ややくたびれた感のある町中(シャッターアートも不景気の反映といえる)ですが、鉄道の全盛期の記憶を今に発信し、地域振興に活用している新津は、鉄道好きにとっては大変居心地の良い場所です。

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