穏やかなれしおかぜ、8600系とその時代【普通・グリーン車の車内など】

四国の車両
スポンサーリンク
スポンサーリンク

新生JR第一期生の世代交代期に登場した

四国における2代目の特急電車

新幹線が岡山まで開業した1972年に登場した四国初の特急「しおかぜ」は、瀬戸内海と四国山地に挟まれた予讃線を走る四国の最重要列車です。
1993年に松山を越えて伊予市まで電化され、「しおかぜ」は8000系電車によって運転されますが、宇和島まで直通する列車も含めた数往復は2000系気動車で運用されていました。

2010年代になると民営化直後に新製された2000系はもちろん、8000系とて古い車両の部類に入るようになります。
そこで2014年に新型特急電車の8600系が登場します。

瀬戸内を走る新型車両。

先輩の8000系は160㎞の営業運転を視野に入れていたようですが、8600系は現実的な130㎞運転を念頭に置いています。
民営化間もない頃には野心的な車両をぶち上げておいて、その後無難に軌道修正する流れは、JR西日本の681系と683系、そしてJR東日本のE351系とE353系の関係でも見られます。

現代の四国の特急列車は、始発から終着までを短い所要時間で結ぶことより、途中停車駅を多くしてこまめに乗客を拾うことを重視しており、昔の急行列車のような存在です。
比較的沿線人口の多い予讃線は特にその傾向が見られ、特急「しおかぜ」が誕生した当時(瀬戸大橋が未開業のため高松~松山間)の停車駅は新居浜と今治だけだったのが、今では14もの駅に停車する「いしづち」もあります。
真正面から航空機や高速バスに対抗する「真の特別急行列車」が設定されたら、もちろん個人的には嬉しいですが、現在の在来線ではそれも望むべくもなく、走行性能では保守的になったのも妥当なものといわなければなりません。
もっとも、JR四国がこの先も「現状維持」を続けられるかどうかは別にして。

空気バネ式車体傾斜装置を採用

8600系が先輩の8000系と大きく違うのは、振り子式ではなく空気バネ式の車体傾斜装置を採用している点です。
傾斜角度は5度から2度と小さくなりましたが、8000系と同じ曲線通過速度を実現しています。
車体構造はシンプルでメンテナンス面でも有利なので、2010年代はこのタイプが主流となります。

実際に私が両方の車両を乗り比べてみたところ、8600系の方が振り子式車両特有の細かい振動がないために快適でした。
ただし8600系は傾斜が浅いため、曲線通過時の遠心力を強く感じます。

デザインも8000系から大きく変わりました。
ロケットのような流線形はなく、全て貫通型の正面となっています。
銀色とグレーの車体に中央は緑色、上部はオレンジ色のラインが入っており、この配色は東海道本線東京口の「湘南色」を思い出させます。

顔つきはあまり精悍とはいえないが、車体側面は引き締まって見える。

8000系では基本5両+付属3両という編成でしたが、8600系は2両と3両の編成ユニットから構成されており、最大3編成を組み合わせたきめ細かい両数で運用に就くことができます。
編成の柔軟性が増したのは良いことですが、2両という短編成の運用も想定しなければならないあたり、JR四国を取り巻く厳しい環境を示しているともいえます。

編成数を細かく調整するのも、生き残りのための苦心の一つである

8000系と共に「しおかぜ」「いしづち」で活躍

2014年の営業開始直後はまだ仮免許状態で「いしづち」1往復のみの担当で、本格的に運用されるのは2016年からでした。
8600系の投入により、2000系の「しおかぜ」「いしづち」はなくなり、全て電車による運転となりました。
8600系は当然8000系の後継車両という位置づけですが、その他にも老朽化した2000系を電化区間から退ける目的もあったのでしょう。

現状では8000系で運転される列車の方が本数が多いですが、この先8000系の老朽化が進むと8600系が増備されるかもしれません。
昔から「ディーゼル王国」といわれてきた四国にあって、電車勢はどうしても影の薄い存在になってしまいがちですが、新旧の特急電車組もそれなりの個性を持った車両です。
これは北海道の車両たちにも当てはまります。

スポンサーリンク

8600系の車内

普通車の車内と座席

8600系の普通車の車内
普通車の車内

1990年代前半に製造された8000系と比べると、8600系の内装は進化しています。
全体的に清潔な印象ですが、ウッドフロアのデザインのおかげで無機質さは感じません。

8600系の普通車の座席
普通車の座席

座席の色は緑とオレンジの2種類あります。
肘掛け周りのデザインがお洒落です。