【日帰り往復で格安移動】ミュンヘン~ニュルンベルクのレギオナルエクスプレスに乗る

ドイツ・オーストリア・中欧

南ドイツの中心都市ミュンヘンと中世ドイツの歴史的な都市ニュルンベルク。
このバイエルン州第一・第二の魅力的な都市間は鉄道で移動するのが便利で、ミュンヘンを起点にニュルンベルクまで日帰りで往復することも可能です。
同区間には日本の新幹線に当たるICEも頻繁に走っていますが、本記事では地域列車のRE(Regional Expressレギオナルエクスプレス:「快速列車」の意味)を紹介します。

2023年5月中旬、ニュルンベルクからミュンヘンまでREに乗車しました。

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日帰り往復ならレギオチケットかバイエルンチケットがおすすめ

REの所要時間は1時間45分

二階建て車両のレギオエクスプレス

ミュンヘン中央駅からニュルンベルク中央駅までの営業距離は約170㎞。
REはこの区間を1時間45分程度で結んでいます。
途中停車駅が幾つかありますが、経由するルートはICEと同じで高速線を走ります。
運転間隔は土日祝日は1時間毎、平日は2時間毎です。
等間隔の分かりやすいダイヤが組まれています。

二階建て車両が使用されており、車内は一部向かい合わせになったクロスシートでトイレの設備もあります。
それほど快適な列車とは言い難いですが、このくらいの所要時間なら苦にはなりません。
全席自由席なので好きな席に座りましょう。

ミュンヘン・ニュルンベルク間のレギオエクスプレスの車内
レギオエクスプレスの車内

【費用】レギオチケットが24€、バイエルンチケットは27€

ミュンヘン・ニュルンベルク間をREで移動するのに欠かせないレギオチケット(ミュンヘン~ニュルンベルク)バイエルンチケットの説明をします。

レギオチケット(英語のページが見つからないので参照先はドイツ語)は、指定した日にちでミュンヘン~ニュルンベルクの区間を何度でも乗ることができる切符で、価格は24€です。

もう一つのバイエルンチケットは、指定した日にちでバイエルン地域の列車や市内交通を利用できるフリーパスです。
英語では”Regional day ticket for Bavaria”、ドイツ語では”Bayern-Ticket”と呼びます。
こちらの価格は27€と少しだけ高いですが、地下鉄やバスなどの市内交通にも乗れる利点があります。
差額は僅か3€なので、市内交通の一日乗車券の有無やホテルの場所に応じて使い分けてください。

有効な時間帯はどちらも同じで、平日は朝9時から翌日の3時まで、土日祝日は0時から翌日3時までとなっています。
ICEやICなどの優等列車には乗れないので注意しましょう。

ニュルンベルクの見所は多いですが、観光する旧市街地は小さくまとまっています。
昼頃にニュルンベルクに着いて、昼食の後に市内観光をして夕方ミュンヘンに帰る、というプランでも無理のない範囲です。

城から眺めるニュルンベルク旧市街

さらに、レギオチケットとバイエルンチケットは人数が多くなるほどお得になる商品です。

人数
レギオチケットの価格(€)2433425160
バイエルンチケットの価格(€)2736455463

上の表のように、初項24または27、公差9の数列となっています。
2人でも一人当たり18€で1日利用することができるのです。

なおここで紹介しているバイエルンチケットの種類はデイチケットの二等車用です。
この他に18時から翌朝6時まで使えるナイトチケットや、一等車用のチケットもあります。

買える場所:現地の自動券売機で購入

自動券売機の画面
下のイギリス国旗をタッチして英語に切り替える

レギオチケットやバイエルンチケットは駅にある自動券売機で買うことができます。
DBの駅には赤い機械が並んでいて、英語に切り替えて操作することも可能です。
利用する日は当日でも大丈夫です。
現地で買うのが不安な方は、次節で紹介するDB(ドイツ鉄道)サイトでも購入できます。
予約・購入方法の詳細はICE(ミュンヘン~ニュルンベルク~ベルリン)の記事をご覧ください。

時刻を調べるにはDBのサイト

実際にREのダイヤを調べる時にはDBのサイトを利用しましょう。
日付と区間を入力すると列車の候補が現れます。
なお、「ミュンヘン(München)」や「ニュルンベルク(Nürnberg)」で使われる”ü”の文字は”ue”で代用します。

ここで、普通に検索するとミュンヘン・ニュルンベルク間はICEばかりが出てくると思います。
そこで画面右上のオプション”Modify detail”を活用しましょう。
“Mode of transport”を”All”から”Local transport only”に変えます。
するとICEが除外されます。

なおも迂回ルートを通るREやRB(Regio Bahn:「普通列車」の意味)が残りますが、所要時間が短いRE1列車が乗るべき候補です。
列車検索結果の右側に24€とあるのが、まさにミュンヘン・ニュルンベルク間のレギオチケットの価格です。
通常価格だと43€なので、往復24€がいかに安いか分かります。

ちなみに、同区間でICEの割引乗車券を利用しても、片道15€くらいからで行けます。
ただし、割引価格でICEを予約した場合は指定した列車に乗らなければならず、ニュルンベルク観光が意外と時間がかかったから次のREに乗ろう、といった融通は効きません。

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乗車記:混雑していたレギオナルエクスプレス

平日のニュルンベルクの朝。
前日は祝日でよく晴れたこともあり市内は観光客で大賑わいでしたが、この日は対照的にしっとりとした雰囲気で、曇り空の下には生活の香りが漂っています。

のんびりと市内散策をした後にDB博物館を訪れ、13時ごろに駅に着きました。
13時09分発のRE(レギオナルエクスプレス)はミュンヘン中央駅とニュルンベルク中央駅を結ぶ快速列車です。
平日の昼間で始発だから空いているだろうと思っていたものの、発車10分前でも車内は混雑していました。
辛うじて青年の隣の空いている席に座ります。
デッキや階段に座っている人も多数いました。

近年ヨーロッパでは環境に優しい乗り物として、特に若い世代では車や飛行機の代わりに鉄道を利用する動きが広まっています。
ドイツでも日本の青春18きっぷに類する普通・快速に乗り放題の格安切符が各種あり、そうしたこともあって普通・快速列車は混雑する(そして遅れる)ことが多いようです。
ミュンヘン発・ニュルンベルク発にかかわりなく、早めに駅に行って座席を確保するように心がけましょう。

2分遅れてニュルンベルク中央駅(Nuernberg)を出発。
車内を見渡すとやはり若者が多く、どことなく「青春18きっぷ族」に近い雰囲気があります。
日本と決定的に違うのは、男女混合で大人数のグループが目立つ点です。

ICEと同様にしばらくは高速線を走ります。
さすがに時速300㎞は出しませんが、日本の特急よりはかなり速いです。
はじめに大きな工場が続いた後、沿線に集落も少ない森の中に入りました。
遊歩道がよく整備されているのもドイツらしい光景です。

ところで、車掌が放送する度に、隣の青年は一人でゲラゲラ笑っていました。
車内放送の内容は「次の停車駅は○○です。出口は右側です。」といった、大学で数年ドイツ語を学んだ私でも理解できる簡単な内容でしたが、いったい何がそんなに可笑しかったのでしょうか?
話し方に車内放送らしい独特の抑揚があったこと、”r”の発音が大袈裟な巻き舌(標準ドイツ語では巻き舌を使わないがバイエルン方言では使われる)だったのがウケたのだと思います。

高速線が終わるインゴルシュタット中央駅(Ingolstadt Hbf)で少し乗客が入れ替わりました。
隣の青年も”Have a nice day”と言って降りていきます。
変な人かどうかはともかく、とりあえずはいい人でした。
ここで高速線が終わり在来線に入るので、沿線風景からも人の営みの気配が感じられるようになります。

数分の遅れでミュンヘン中央駅(Muenchen Hbf)に到着しました。
意外と遅れることの多いドイツ鉄道にあっては、このくらいなら誤差範囲内にも及びません。

車体に”Muenchen-Nuernberg-Express”と書いてあるので、この車両はミュンヘン・ニュルンベルク間をずっと往復しているのでしょう。
ミュンヘン中央駅で降りる際、折り返し列車待ちの人達で行列ができていました。
やはり人気都市を結ぶREは混雑するようです。

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ICEにはない中距離地域列車の魅力

最後までお読みいただいた方の中には、「多少安いとは言っても、快適で速くて座席指定のICEではなく、なぜ敢えて混雑したREに乗るのか?」と思っている人もいるでしょう。
たしかに一般的な「コスパ」という物差しではICEに軍配が上がると私でも思います。

しかし、普通・快速列車のローカルな車内模様というのは、観光ではもちろん、ICEでもそこまでは味わえないものです。
青春18きっぷで旅行したことがある方なら、「敢えて」コスパの悪い手段で移動することの楽しさを分かってもらえるでしょう。


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