JR各社が鉄道博物館をオープンさせていますが、JR九州の鉄道博物館がここ、九州鉄道記念館です。
最寄り駅は鹿児島本線の始点、門司港駅。この駅はその名の通り、1942年の関門トンネル開通までは九州の玄関として機能していた駅です。
そんな九州の入り口にふさわしい九州鉄道記念館の魅力や見所をご紹介します。
名車の車内見学ができる室外展示
九州にゆかりのある鉄道車両がお出迎え
入り口の正面から始まる室外展示のコーナーは、蒸気機関車や電気機関車、ローカル線で使用されたディーゼルカーなどが並んでいます。
そして何より評価すべき点としては、車内見学ができるということです。
どの車両も九州で活躍した車両たちですが、やはりクライマックスは481系・581系・14系の特急車両でしょう。
懐かしいままの481系
1960年代より電化区間の延伸と共に勢力を拡大し、九州の特急車両の主役だったのがこの車両です。
山陽本線が直流電化なのに対して九州内は交流電化されますが、この車両の登場のおかげで本州から九州まで機関車に頼ることなく直通運転が可能になりました。
これぞ国鉄のボンネット車両です。ついつい、目を大きく開けて眉をしかめて舌を出してしまいそうな、愛嬌と風格を感じる顔つきです。
さて、車内は昔ながらの簡易リクライニングシートが並んでいます。
リクライニング角度の浅い座席に座っていると、あの低いモーター音とゴツゴツとした重たい台車のジョイント音が聞こえてくるようです。
普通列車になっても581系
世界初の昼夜兼用の寝台電車。1967年10月に登場し、日中は新大阪~大分間の「みどり」、夜は新大阪~博多間の「月光」として運用されました。
3段寝台が4人用座席に変身するギミックは、まるで手品のようでした。
まさに高度経済成長期の象徴ともいえる昭和の企業戦士でしたが、モーレツな仕事ぶりにもかかわらず、晩年は特急運用をリストラされ普通列車用に改造された不遇の車両としても知られています。(その意味では平成の象徴でもあります)
展示されている車両の車内は普通列車化された状態ですが、581系時代の雰囲気をはっきりと残す独特な空間は保たれています。
ちなみに昼間に特急運用されている列車で、ボックスシートをベッドにしてしまう人がいたそうですが、これは国鉄の営業規則的にはアウトだったそうです。
引退してから綺麗になった14系
ブルートレインのパイオニア、20系客車の後継車両として1971年に登場した客車車両です。
「走るホテル」として名高い20系と比べると地味な印象ではありますが、B寝台の幅が52㎝から70㎝(581系の中・上段と同じ)になって居住性は改善されています。
もともとはB寝台は3段でしたが、展示されている車両は後になって2段化された車両です。
現役時代はボロボロの姿で走っていた印象ですが、今ではすっかり綺麗になっています。
ベッドに横たわっていると、「ガッタン」という衝撃と共に、音もなくゆっくりと走り出しそうな気がしてなりません。
テーブル近くのアルミの細い棒がはしごになること、通路側の壁から小さな腰掛が出てくることを知っている人も、もはや少なくなってしまったのでしょう。
運転台に座れる前頭部展示
485系・ED76・EF30の前頭部が並んでいて、いずれも運転台に座ることができます。
電気機関車の中で機器に囲まれたり、485系の高い運転室に座ると、大人でも気分が盛り上がることでしょう。
本社を利用した赤レンガの建物
明治時代の車両がある
博物館の建物はJR九州の前身である「九州鉄道会社」の本社を利用しています。
赤レンガ造りの歴史ある建築物で、内部もその構造を活かしています。
館内に入って目に飛び込んでくるのは、明治時代の客車です。車内も当時の様子を再現しています。
また人形や音声演出もあり、昔の旅情や文明の最先端である鉄道に対する興奮が伝わってきます。
内部の展示は九州の鉄道の歴史や、ヘッドマーク、駅弁のパッケージや駅・線路の設備の仕組み解説などから成ります。
触ったり学んだりできるので、鉄道ファンはもちろん、子供連れの家族でも楽しめると思います。
お約束の運転シミュレーターもある
鉄道博物館には必ずあるといっていい、シミュレーターでは近郊型車両811系の運転体験ができます。
また鉄道模型のパノラマもあります。
私はシミュレーターはしませんでしたが、門司港~西小倉の区間のようです。
山陽本線・新幹線・日豊本線が合流・分岐・並走する賑やかな区間です。
グッズ・お土産の売店にある机は787系のカウンター
お土産物などのグッズがそろった売店に長い机があります。
これは博多~西鹿児島(現・鹿児島中央)間を結んだ787系特急「つばめ」にあったビュッフェのカウンターです。
こういった細かい演出があると、何度も来館したくなります。
後ろにある自販機でペットボトルのお茶を買って、この机を使って飲んだだけで特別な時間になります。
滞在時間は?
室外展示のコーナーでは、「乗車時間」も含めて30分くらい。
館内の展示を全て回って40分くらいでした。
1時間強~1時間半みておけば十分楽しめるはずです。
開館時間と費用
開館時間は9時~17時まで。
最終入場は16時半ですが、やはり16時までには入りたいです。
基本的に第二水曜日が休館日ですが、7月は第二水・木が休みで、8月は毎日営業しているようです。
費用は大人300円です。
はっきりいって私なら、1300円でも全然納得します。
まとめ
実車の車内見学もでき、九州の鉄道の歩みも学べる大変興味深い施設です。
流石に大宮・京都・名古屋の鉄道博物館のような、一日中楽しめるほどの規模ではありませんが、九州版の鉄道博物館として充実の内容です。
私が訪れたのは平日の開館直後でしたが、子供連れ・外国人グループといった、コアな鉄道ファン層ではないであろう人たちも沢山いました。
門司港レトロ観光に是非とも組み入れたい観光スポットです。