快速たんごリレーと普通列車、京都丹後鉄道の絶景続きの乗車記【車窓・車内など】

私鉄

京都丹後鉄道は宮津駅を拠点として、福知山・西舞鶴・豊岡の3方向に路線を有しています。
このうち豊岡~宮津~西舞鶴のルートは、京都府北部の海沿いを走った国鉄宮津線を引き継いでいます。
この路線の魅力は、天橋立・宮津湾・由良川橋梁などの車窓ハイライトに恵まれていることです。

2023年1月上旬、豊岡から「たんごリレー」に途中の網野まで乗り、そこから普通列車に乗り換えて西舞鶴へ向かいました。
便宜上、乗り換えた網野駅で乗車記を2つの章に分けています。

黄色線が今回乗車した宮豊線・宮舞線、紫線が宮福線、青点が宮津駅。
国土地理院の地図を加工して利用
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豊岡~網野の「たんごリレー」

一部区間快速の「たんごリレー」

京都丹後鉄道の特急は「たんごリレー」と「はしだて」の2種類があります。
天橋立から宮津経由で福知山行きが「たんごリレー」で、福知山からJR線に乗り入れて京都まで行くのが「はしだて」です。
これらの特急の一部は豊岡~天橋立で延長運転されるものもあり、豊岡~久美浜または網野では特急料金不要の快速となっています。
非電化の豊岡~天橋立を走る列車は、下の写真のような京都丹後鉄道のディーゼル特急車両で運転されます。

外観・内装ともにリニューアルされています。
外見のケバケバしさに比べると、車内は意外と落ち着いていて快適でした。

京都丹後鉄道の「たんごリレー」の車内
「たんごリレー」の車内

編成の端にはラウンジなのか通勤電車のロングシートなのか分からないエリアがあります。

乗車記:県境を越え、久美浜湾を望む

特急「こうのとり」で豊岡駅に到着後、改札の窓口で西舞鶴行きの切符を購入。
隅っこのホームに、やたらと派手な装いの「たんごリレー」が停車していました。
この駅から乗って来る長距離客などいるはずもなく(普通ならJR特急を利用するため)、車内には僅かな地元民がいる程度でした。

城崎温泉方面を向いて豊岡駅を出発。
まもなく円山川を渡ります。

コウノトリの郷駅を通過すると、沿線随一の急勾配区間が始まります。
地面に雪が現れました。
この山越えのサミット付近で兵庫県から京都府に入ります。

久美浜駅を出ると左手に久美浜湾の景色です。
外洋とは狭い水路で繋がっているだけなので、湾というよりは湖のように見えます。

その後も夕日ヶ浦木津温泉駅のような観光地らしい駅に停車します。
降りていく人は短距離の地元客、乗ってくる人は行楽客だと一目で判別できます
網野駅からは「たんごリレー」は快速から特急になるので、普通列車に乗り換えました。
接続時間は15分とちょうど良い具合です。

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網野~宮津~天橋立~西舞鶴の普通列車

普通列車はトイレがない車両もあり

普通列車は基本1両編成のディーゼルカーです。
小さく丸い両目と頭上のヘッドライトがいかにもレトロな雰囲気を与えます。
外観のラッピングは車両ごとに異なるそうです。

車内はゆったりとしたクロスシートです。
ただ、全ての車両にトイレあるわけではなく私が乗車した車両にはトイレはありませんでした。
豊岡から西舞鶴まで乗り通すと所要時間は約2時間なので、列車によっては途中で停車時間が長い駅があるとはいえ、これは気がかりな点です。

京都丹後鉄道の普通列車の車内

なお、豊岡~西舞鶴の運賃は1,500円です。
特急に乗る場合は距離に応じて特急料金も必要です。

乗車記:日本三景天橋立、海の上を走る由良川橋梁

普通列車に乗っていたのは数人の客でした。
途中駅がみすぼらしくもローカル私鉄にしては規模が大きいのは、元国鉄の線路だったことも影響しているのでしょう。

しばらく平地となり、水田や住宅・商業施設を通り過ぎます。
遠くにはところどころに雪を被った山が連なっています。

岩滝口駅を過ぎると、また海に近づきます。
そして、左手前方には日本三景、天橋立が見えてきます。
曇り空なのでよく見る上空からの景色のような神々しさはありませんでしたが、対岸まで届いた細い線は神秘的で、ここが京都丹後鉄道の第一絶景区間であることは間違いありません。

賑やかな天橋立駅に着き、大きくカーブしながら宮津の市街地に入っていきます。
宮津湾と山地に挟まれた狭い土地に民家が肩を寄せ合っています。
日本海沿岸らしい健気な風景です。

宮津駅は京都丹後鉄道の拠点で、福知山行きの列車もここから出ています。
この駅でしばらく停車時間があったので、トイレを済ませました。

宮津駅

この後も左手の車窓からは目が離せません。
線路は海岸線に忠実に、しかも高台に敷かれているので、複雑な地形をよく見渡すことができます。

難読駅の栗田駅くんだを過ぎてからは、景色は外海へと世界が広がります。
これとて若狭ですが、今まで眺めてきた海は入り組んだ閉塞的なものでしたから、なかなか気の利いた変化と言うべきでしょう。

誰もいない松林の並ぶ真冬の海水浴場に、波が勢いよく押し寄せています。

そして丹後由良駅~丹後神崎駅において、最後のハイライトである由良川橋梁を渡ります。
橋はまさに幅広の河口に架かっているので、川を渡るというよりは海の上を走っている気分になります。
前面展望の写真を撮らなかったのが我ながら悔やまれますが、海面すれすれの高さで臨場感があります。

悠然と渡り終えるとすぐに右にカーブし、今度は川沿いに進んでいきます。
13時近くになると、色白でスラッとしたジャージ姿の学生たちが乗ってきました。
彼女らを見ると、今日のどんより湿った天気も美しき日本海側の風土なのだと感じます。

由良川から離れて少しだけ山間部に入りますが、すぐに市街地が開けてきます。
終点の西舞鶴駅はJR舞鶴線と接続しています。
引き続き日本海沿いの線路を辿るには、一つ先の東舞鶴駅で小浜線に乗り換えです。

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海の京都

京都と聞くと、我々は寺院仏閣がひしめく、よく整備された古都の街並みを想像します。
しかし、京都丹後鉄道で出会うのはもう一つの「海の京都」です。

これは今まで何度も書いていることですが、沿線で最も尊いのは数多く点在する「絶景スポット」ではなく、本当は何気なく通り過ぎる自然と人の営みです。
それを味わうのに相応しいのは、レストラン付き特別仕様の観光列車ではなく、ただの普通列車なのです。

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