ソニックは速さの象徴、883系とその時代【普通車・グリーン車の車内・座席や運用など】

九州の車両
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日豊本線に「ソニック」誕生

日豊本線の高速化

九州の東海岸を走る日豊本線は、沿線に博多・熊本・鹿児島を擁する鹿児島本線と比較すると近代化が遅れていました。
全線電化も鹿児島本線に遅れること9年の1979年で、3分の2が複線化されている鹿児島本線に対して日豊本線は大分以南は全て単線です。
日豊本線を走る特急「にちりん」は、JR化後も博多~宮崎間の所要時間は5時間程度で、飛行機はおろか高速バスにも対抗できませんでした。

門司港駅近くにある九州鉄道記念館にある485系にちりん
485系「にちりん」は新幹線連絡特急としての役目も果たした。
門司港駅近くにある九州鉄道記念館にて。

そうした日豊本線のうち需要が見込まれ、なおかつ高速バスとの競争も激しい小倉~大分間の高速化とイメージアップのために作られたのが883系です。
1995年から「ソニックにちりん」の列車名で博多~小倉~大分間で営業運転を開始し、現在では「ソニック」に改められています。

鉄道で博多から大分まで行く場合、小倉経由の日豊本線だと区間利用の乗客も拾える一方で大回りになってしまい、久留米・由布院経由の久大本線よりも20㎞程度距離が伸びてしまいます。
それでも博多~大分間を2時間程度で結び、ショートカットしているはずの高速バスに対して所要時間で優位に立っているのは立派なことです。

外観・内装共に印象的なデザインとなっており、「ワンダーランドエクスプレス」の愛称もあります。

奇抜な外観

正面デザインはまるでロボット(昆虫という意見もあり)のような、非常に特徴的なものになっています。

登場した当時は、正面の色分けに複数のパターンがありましたが、リニューアルが行われた現在では、車体の色はメタリックのブルーでスピード感を演出しています。

883系の車体側面
883系の車体側面

130km/h運転と振り子式で高速化

1990年代半ばの所謂「振り子ブーム」の申し子として、JR他社に負けじと振り子型車両で誕生。最大で本則+30㎞でカーブを走行することができます。

もっとも、当時まだ幅を利かせていた国鉄型の485系ですら、線路改良区間では最大本則+20㎞(783系や787系も同様)で走っていたとはいえ、130㎞運転や加速度の向上の効果もあり、博多~小倉~大分の輸送改善に大きく貢献しました。

なお、博多~小倉間はバスだけでなく、JR西日本管轄の山陽新幹線もライバルであり、「ソニック」にはこれに対抗する重要な役目もあるのです。

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883系の車内はミッキーの座席がトレードマーク

現在走っている883系は全てリニューアル済みのものです。

普通車の車内と座席

883系の普通車の車内
普通車の車内
883系普通車の座席
普通車の座席

リニューアル前の車内は座席もカーペットも「ワンダーランドエクスプレス」と開き直ったかのように、とにかくカラフルでポップな印象でした。
観光列車ならともかく、フリークエンシーサービスを行っている都市間特急車両として使うには、あまりに独善的だったと言わざるを得ません。

当初の883系の座席。
九州鉄道記念館にて。

しかし、登場してから10年以上経って早めの反抗期も終わったのか、リニューアルが済んだ現在では、以前よりかなり大人しい印象になっています。
座席は単色ながら、やはりミッキーのような耳は健在です。(著作権大丈夫ですか??)
そして床もケバケバしいカーペットからフローリングに改装され、大きく印象が変わっています。

以前の面影を残しながらも、こどもの遊園地から大人向けのテーマパークに脱皮したと言ってよいでしょう。

883系デッキ
デッキの様子
883系のグリーン車入り口のデッキ
グリーン車入り口のデッキ

パノラマキャビン付きのグリーン車の車内と座席

883系グリーン車の車内
グリーン車の車内
883系のグリーン車の座席
グリーン車の座席。
窓側はコンセント付き

グリーン車には革張りの座席が3列ずつ並んでいます。
床のカーペットはモザイク柄ですが、主張しすぎず控えめなものになっています。


普通車と同様に壁や天井の塗装は「スーパーホワイト」とのこと。
何と言いますか、普通車なら明るさや清潔さを演出するのに効果的なのでしょうが、やはりグリーン車には「上質さ」を求める私にとってはやや素っ気なさを感じてしまいました。
座席もミッキーの耳よりは、もっとどっしりした物の方がグリーン車らしいのでは、と思います。

883系のパノラマキャビン
先頭部のパノラマキャビン。
椅子は硬く、長居はできないのは意図されたものか?
883系パノラマキャビンからの前面展望
パノラマキャビンからの前面展望。
車体傾斜を実感できる。

なお、先頭(または最後尾)にあるグリーン車では運転席の後ろに「パノラマキャビン」というスペースがあります。ここはグリーン車利用客専用です。
車体を傾けながら走る眺めはとても面白いのですが、木でできた硬い椅子が「長時間の占有は控えて、譲り合ってご利用ください」と無言のお願いをしています。

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883系の運用

特急「ソニック」の一部の列車に使用されています。
紙の時刻表なら「白いソニックで運転」と書かれていない列車が、883系による運用です。ちなみに「白いソニック」は885系を使用する列車です。

885系

駅の案内表示では「青いソニック」と表示されています。

青いソニック(883系)と白いソニック(885系)の駅案内表示
青いソニック(883系)と白いソニック(885系)

色だけでなく、上の写真からも分かる通り、883系は7両編成であるのに対して885系は6両編成、といった区別の方法もあります。

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883系の総評

外観と内装の奇抜なデザインに関しては好き嫌いがあるでしょうし、現在の車内の雰囲気であれば、お堅い人でもそこまで文句を言うようなものではありません。
客観的に言って、適度に遊び心を残しつつ、快適な空間を演出した内装だと思います。

しかし実際に乗った感想として、振り子式であることを考慮してもよく揺れます。
カーブ通過時の遠心力は、振り子のおかげであまり感じないのですが、高速走行時やポイント通過時に跳ねるような強い振動があります。
その意味で、乗り心地の悪さをデザインでごまかしている感じがしないでもないです。

例えれば、派手だった髪の色を入社を機に大人しめの茶髪くらいに変えて、社会人マナーも身に付けたものの、話し出すと語尾に「っスね~」が出てしまう元ヤンのような車両ですね。

ただ、その個性的なデザインはデビューから20年以上経った今でも斬新で、話題性という観点からは高く評価できます。
実際に後輩の885系が誕生しても、883系の存在感には揺るぎがありません。
「嫌われることを恐れずに印象に残る車両を作る」というJR九州の方針を示した、象徴的な車両であるといえるでしょう。

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