東北の真ん中を走る、陸羽東線冬の乗車記【新庄~小牛田】

ローカル線

陸羽東線は東北本線の小牛田駅と、奥羽本線の新庄駅とを結ぶ路線です。
背骨のように南北に縦貫する幹線から東西方向に延びる、所謂「肋骨線」の一つで、「奥の細道湯けむりライン」の路線愛称でも知られています。
仙台平野から奥羽山脈の分水嶺を越えて新庄盆地に至る途中に、こけしで有名な鳴子温泉があります。

大雪に見舞われた2020年12月中旬に、新庄から小牛田まで乗車しました。
なお、雪のために窓が見えにくく、視界も悪かったので写真の質が悪くなっています。

紫線が陸羽東線。
国土地理院の地図を加工して利用。
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陸羽東線の乗車記

鳴子温泉駅で乗り換えになることが多い

陸羽東線には観光列車以外では普通列車しかありません。
また、全線通しの列車もありますが、中間位に位置する鳴子温泉駅で分かれていることが多いです。
若干ですが小牛田~鳴子温泉の方が本数が多く、1~2時間に1本程度運転されています。
なお、乗り換えとなる場合でも接続時間は概ね良好です。

小牛田~鳴子温泉も、鳴子温泉~新庄も所要時間はおよそ1時間。
乗り換え時間を含めて2時間ちょっとで走破できます。

奥羽山脈の分水嶺を越えて

朝の新庄駅は大雪で、雪に慣れない私にとっては、徒歩数分の所にあるホテルからも辿り着くのでさえ大仕事でした。
新庄駅から各地へ向かう列車はどれも遅れが発生し、一部では運休するものもありました。
私が乗る陸羽東線の小牛田行きも、折り返し列車遅れの影響で出発時間になっても入線しません。

朝の新庄駅では厳しい寒さの中、除雪作業が行われていた。
温暖地の人にとってはこんな状況でも列車が動くのは感嘆であり、感謝である。

実は当初の予定では奥羽本線を北上するはずでしたが、運休のため予定を変更しました。
こういう時こそ時刻表テツの腕の見せ所です。
陸羽東線の列車は結局10分弱の遅れで済みました。
この辺は、うっすら雪が積もっただけで麻痺する東京とは全く違います。

新庄駅を出発すると奥羽本線と分かれて、新庄盆地を走ります。
運転席近くから前を見ると、線路は雪でほとんど見えません。
どこぞのテーマパークのアトラクションのようで怖い気持ちになります。

長沢駅を過ぎた辺りでは盆地を終わり、山間部に入っていきます。
この辺りで窓に雪がこびりついて外が見えにくく、仕方なしに朝から雪見酒(というかヤケ酒)をしていました。
「これでは仕方ない。次はいつ乗りに来るか」などと考えているうちに、大堀駅付近で平地になって視界も幾分ましになりました。
その次の最上駅は比較的大きな市街地にあり、列車の行き違いをします。
列車旅を楽しむことができるようで安堵します。

しばらくは平凡な雪化粧をした風景が続き、赤倉温泉駅の前には小さな温泉街が形成されています。
従来の駅名に「温泉」を付け足して観光客誘致をする例は全国各地に多数ありますが、陸羽東線だけで5つもあります。
温泉も随分とインフレが進行したものです。

赤倉温泉駅を出ると川沿いの道は険しくなります。
峠越えといった趣ですが、奥羽山脈を越える他の路線と比べても、それほど勾配が急なわけではありません。

堺田駅は分水嶺の駅。
山形県と宮城県、そして日本海側と太平洋側の境となる地点です。

サミットを越えて今度は下り坂です。
相変わらず渓谷沿いですが、雪が降ってくる方向が今までの後ろからではなく、前からになっていることに気づきました。
川の流れる向きもそうですが、こういうのを実感するのも鉄道旅行の醍醐味の一つです。

中山平温泉駅を過ぎてトンネルが4つ続きますが、3つ目と4つ目の間に息をのむような鳴子峡を渡ります。
よく外から撮った写真がポスターなどに使われますが、実際に列車に乗っていると景色に感動できるはほんの一瞬です。

やがて開けて左下に大きめの市街地が広がります。
鳴子温泉駅はさすが陸羽東線の主要駅なだけあって、他の温泉を名乗る駅よりもはるかに立派です。
温泉客らしき人達が乗ってきて、乗客は数人から10人程度に増えました。

鳴子温泉駅からもしばらくは、コンクリートの建物も見られる温泉街に沿って走ります。

もう本格的な山越えは終わりです。
川幅もだいぶ広くなり、人工的な姿になっています。

徐々に駅前には集落が増えます。
池月駅あたりからは雪も減って平地になりました。
それらは昔ながらの「民家」からやがて、新しい「ハウス」へと変わっていきます。

おそらく仙台平野の田園地帯を走っているのでしょう。
雪の海に、防雪林で囲われた家が島のように浮かんでいます。

古川駅は東北新幹線の接続駅です。
前方に横たわる新幹線の高架駅とビジネスホテルを見ると、もう陸羽東線の旅も終わったような感慨になります。

終着の小牛田駅で東北本線と合流しますが、架線の張られた複線の向こう側からは石巻線も寄り添ってきます。

鉄道のジャンクション、小牛田駅らしいシーンです。

手前に延びるのが東北本線。写真中央から単線の石巻線も合流している。

前日に小牛田駅で乗り換えた時は雪はありませんでしたが、当日はすっかり雪景色です。
被りついた雪の厚さが、道中の列車の苦労を物語っていました。

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陸羽東線の急行列車を特急で復活させたい

観光列車を除くと普通列車のみが運転されている陸羽東線ですが、以前は急行列車が設定されていました。
仙台を起点にして陸羽東線経由で新庄まで行き、奥羽本線を北上して秋田方面に向かう「千秋」や、新庄から引き続き陸羽西線で横断して日本海側の酒田・羽後本荘に至る「もがみ」が走っていました。
道路が今ほど整備されていなかった頃はローカル線でも中距離輸送を担っていたのです。

さて、本章で私が主張したいのは「昔は良かった」ではなく、東北横断線の一部として陸羽東線はもっと活躍できるのではないか、ということです。
陸羽東線とそれに続く陸羽西線はローカル線にしては線形が良いので、それなりの速度で特急を走らせる潜在力はあります。

そこで、仙台~小牛田~新庄~余目~酒田という経路の特急「もがみ」を設定すれば、仙台から新庄や日本海側への都市間輸送に加え、鳴子温泉へのアクセスも担うことができます。

長距離輸送はおろか、中距離輸送でも新幹線ありき。後はローカル線にどこかで見たことのある観光列車が登場する。というのが近年の状況です。
線路網の持つ役割や性格を積極的に活用することで、このような閉塞感を打破できるのではないでしょうか。

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鉄道の要衝同士を結ぶ陸羽東線

陸羽東線の始終点となる小牛田と新庄は、共に二大縦貫線において東北の南北を分かつ存在です。
そして、太平洋側と日本海側の境界となる奥羽山脈を越えるわけですから、陸羽東線はまさに地理的に東北の中心を走る路線ということになります。
ちなみに、「南東北」と「北東北」という分類の仕方は一般的ですが、個人的な奥羽山脈を境とした「東東北」と「西東北」とで分けた方が明確な違いが現れるような気がします。

自分なりの文化論なり、地理認識を見つけ出すのは楽しい作業です。
そして陸羽東線はこうした知的探求にとって、格好の素材であると思います。

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