【魏志倭人伝七ヵ国周遊紀・終】東海道山陽新幹線最速「のぞみ64号」で博多から東京へ

旅行記

これまでプロローグも含めて13回にわたって、壱岐・対馬を含む北部九州の古代史を探訪する「魏志倭人伝七ヵ国周遊紀」を綴ってきた。
本記事はシリーズのおまけ程度の内容だが、博多発東京行き最終便の「のぞみ64号」の乗車記である。

この列車は博多駅19時発、東京駅23時45分着と東海道山陽新幹線では最速列車なので、旅行の趣旨からは完全に逸脱するものの、私はエピローグとして密かに楽しみにしていた。
以下、スピードメーターアプリと時計の秒針を凝視し続けた、4時間45分に及ぶ奇人の鉄道旅行の記録である。

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18時台(準備編)

福岡空港近辺の遺跡を見学した後、博多駅に着いたのは18時半過ぎ。
これから19時発の「のぞみ64号」で東京へ帰る。
東京・博多間を新幹線で乗り通したことはあるが、最速列車に乗るのは初めてである。
所要時間は4時間45分で、嘆かわしいことに車内販売は廃止された。
これから列車の走行速度をモニタリングしながら、各駅の到着・発車・通過時刻を5秒単位で記録していく。
実際のダイヤグラムは15秒単位で組まれているが、時刻表の表記では秒以下は切り捨てなので、秒単位の部分まで探っていこうと思う。
そんな孤独な戦いを共にするのは、ペットボトルのお茶とタンブラーに詰めたホットコーヒー、そしてクラフトビール3本である。

準備は整った。
「のぞみ64号」は既に入線していた。
予約しているのは11号車のA席(3列座席の窓側)だが、やはり儀式としてお世話になる列車の顔は拝みたいので、先頭の16号車までわざわざホームを歩く。
車両は最新型のN700Sだった。
ちなみに、予約はスマートEXで1カ月前に「EX早得21ワイド」を購入して、料金は17,000円だった。
スカイマークやスターフライヤーと比べてやや高いといったところか。

外で発車ベルが鳴った。
スマホの時計を睨みながら1本目の相棒、ラガービールを開栓した。

ちなみに、手元に線路縦断面図があるので、トンネルの位置や長さ・駅間距離は把握していた。
よってトイレ等に中座するタイミングも分かり、席を立っている間に駅を通過してしまうような失態は犯さなかった。

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19時台(博多~新岩国)

速度制限箇所:新下関駅・新山口駅付近で275km/h、徳山駅付近で185km/h

博多 -59.8-小倉 – 20.7-新下関 -23.8-
実際のダイヤ00:1015:15/16:3022:00(280)
本来(想定)00:0015:15/16:30
厚狭 -24.1-新山口-41.1-徳山-38.1-新岩国-44.2-
27:00(290)32:00(270)41:00(185)49:20(290)
時刻は分:秒で表記、カッコ内は駅通過速度
駅名横の数字は次の駅までの実際の距離
上段に実際の時刻、下段(停車駅のみ)に想定される本来のダイヤを記載

00分00秒にドアが閉まり始めた。
実際に出発したのは00分10秒(実際は08秒だが5秒単位なので近い方を記載。以下同同様)だった。
乗客は誰も気にしていないだろうが、私にとっては発車から10秒のハンデとなった。
速やかに加速して300km/hに達した。
順調に走って15分15秒小倉駅着、発車は16分30秒なので、山陽新幹線での停車時間は1分15秒と推定される。

「のぞみ64号」のダイヤ
秒単位までは分からない

さて、山陽新幹線の最高速度は300km/hだが、一部規格外のカーブがあり275km/hくらいに減速する箇所がある。
そして工場夜景が幻想的な徳山駅付近は例外的な急カーブがあり、185㎞/hまでの原則を余儀なくされる。
制限箇所以外は概ね290km/hとやや控えめに走っていた。

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20時台(広島~姫路)

速度制限箇所:三原駅・福山駅付近及び姫路駅より東に2㎞の地点で275㎞/h程度

広島-29.3-東広島-30.9-三原-10.5-新尾道-17.4-
実際のダイヤ00:50/02:1510:15(294)16:35(270)18:50(285)
本来(想定)01:00/02:15
福山-31.0-新倉敷-25.8-岡山-55.0-相生-20.0-姫路-31.1-
22:35(250)29:10(290)36:40/38:1051:00(292)55:10(288)
36:30/37:45

広島駅に向けて減速し始めたのはやや早めな気がした。
200km/h台前半でダラダラ減速しながら00分50秒に広島駅に着く。
時刻表では01分着だから、予定より10秒早く着いたようだ。
推定した通り、02分15秒に発車した。

出発したはいいが1分近く70km/hで徐行運転。
その後も本来減速しなくてもいいところでも250~270km/hで走る。
時刻表では岡山駅は36分着37分発となっている。
広島駅からの走りを考慮するに、10~30秒ほど遅れたと考えられる。
姫路駅通過後も減速して270km/hで巡行し、遅くなったと感じる。

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21時台(西明石~米原)

西明石駅付近のカーブで270㎞/h程度に減速する。

西明石-22.2-新神戸-32.6-新大阪-39.1-京都-68.1-米原-41.1-
02:00(264)08:45/09:5521:40/24:0037:00/38:3054:30(273)
08:30/09:4521:30/24:0037:00/38:30

西明石駅通過後に加速して300km/hまで上がった。
「山陽新幹線の300km/h運転は西明石以西」とするメディアもあるが、新神戸・西明石間でも行っているようだ。
神戸の市街地を避けて建設されたトンネルに入り、まもなく減速した。
新神戸駅を発車して、14分40秒に六甲トンネルを出た時は減速が始まっていて222km/hだった。
その後しばらく215km/hくらいで走る。
阪急神戸線を乗り越す辺り(園田駅付近)から減速して、神崎川を渡る頃に110km/hまで落ちた。
新大阪駅着、ここが山陽新幹線と東海道新幹線の境目である。
普通は新大阪駅の停車時間は2分だが、「のぞみ64号」は3分、実際は2分半くらいか。

ここまで2時間21分30秒かかった。
ところで、山陽新幹線区間の歴代最速は500系「のぞみ」の2時間17分00秒である。
もっともこの記録は新神戸駅通過、かつ各駅停車時間は45秒しかなかったことを考慮しなければならない。

一気に客が増えて、24分ちょうどに発車。
建設時期が古い東海道新幹線はカーブがきつく、最高速度は285km/h。
そして途中には270km/h制限箇所が多数ある。

おおさか東線を乗り越す地点まで70km/h、阪急京都線を乗り越す地点では110km/h、その後本気を出して285km/hに達する。
それも束の間、260km/h台で数分走って京都着。
東海道新幹線での停車時間は1分30秒のようだ。
滋賀県内を285km/hのフルスピードで駆け抜けるが、関ヶ原付近では260km/h台が目立った。

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22時台

速度制限箇所:静岡駅付近で240km/h

岐阜羽島-25.1-名古屋-29.2-三河安城-38.6-豊橋-35.3-
03:30(273)11:30/13:2521:20(281)30:05(250)
11:15/12:45
浜松-27.6-掛川-43.9-静岡-32.4-
37:50(245)43:50(273)53:20(238)

名古屋駅の停車時間が延びた。
おそらく、最終便だからギリギリまで飲んでいた自由席の客が多いのだろう。
掛川駅までは想定外の220km/h-250km/hが度々現れた。
掛川駅22時44分発の「こだま762号」が邪魔をしていたのだろうか。

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23時台

速度制限箇所:熱海駅付近で200km/h、新横浜以東(武蔵小杉駅付近)は急カーブ多数

新富士-23.7-三島-15.9-熱海-18.7-小田原-51.2-
00:30(282)05:40(271)09:30(200?)14:00(270)
新横浜-18.7-品川-6.8-東京
27:15/28:5038:45/40:0045:45
27:15/28:4538:45/39:4545:45

静岡駅からしばらくは270-285km/hの間を行き来、つまり全力で走っていた。
三島・小田原間はトンネルが連続して、スピード確認が難しい。
だが、熱海駅からも速やかに270km/hまで加速したと思われる。

お馴染みの「小田原駅を時刻通り通過しました」アナウンスが流れた。
まさか「時刻表の表記上は定刻ですが、実際は10秒遅れています」なんて言わないだろうから、今日の私にとってこの放送は当てにならない。
5分くらいは285km/hを維持して、27分15秒に新横浜駅に着いた。
これは定刻と推察される。
何だかんだで、名古屋駅発の40秒の遅れを取り戻している。

新横浜駅を勢いよく発車して、230km/hくらいまで達した後にすぐ減速して、横須賀線と並走しながら武蔵小杉駅を110km/hで過ぎていく。
この気合の入った走りっぷりは頼もしい。
その後も170km/hまでは上がるが、品川駅が近づいてくると在来線と同じ速度になる。

乗って来る人がいるわけがないから、品川駅の停車時間は1分だろう。
実際には1分15秒だった。
東京駅に滑り込んだのは45分45秒。
新幹線にとって門限ギリギリの23時45分定着である。

500系「のぞみ」の最速時代は、「のぞみ1号」が新横浜駅停車(品川駅はまだない)で東海道新幹線を2時間30分45秒で走破していた。
最高速度は270km/h、途中255km/hに減速する区間が多数ありながら、停車時間を新横浜駅45秒、名古屋・京都駅1分に縮めることで、辛うじて2時間半を維持していたのだ。
新大阪駅の2分停車を加えて、500系の記録は東京・博多間4時間49分である。
ちなみに、1975年3月に博多まで新幹線が開業した当時、最速「ひかり」の所要時間は6時間56分だった。

兎にも角にも、「のぞみ64号」の4時間45分、否、4時間45分35秒の乗車が終わった。
私としてはあっという間であった。




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