イタリア鉄道のフレッチャロッサ、ビジネスクラスでミラノからローマへ【車内・予約方法や費用】

ヨーロッパ鉄道

イタリア旅行で必ず訪れるミラノ・ローマ・ナポリといった主要都市は高速鉄道で結ばれています。
このメインルートで活躍する利用価値の高いイタリアの新幹線がフレッチャロッサ(赤い矢)です。

2022年10月、フレッチャロッサの1等車に当たるビジネスクラスで、ミラノからローマへ向かいました。
本記事ではフレッチャロッサの車内の様子や予約方法などを解説していきます。

またフレッチャロッサの運転区間には、イタロという民間会社が運行する高速列車もあります。
両者の比較については以下の記事をご覧ください。

スポンサーリンク

最高速度300㎞、イタリアの高速鉄道

フレッチャロッサの第一世代、ETR500

日本と同様に国土が山がちなイタリアでは、「ペンドリーノ」で知られる振り子式電車を中心に鉄道の高速化が進められてきました。
大きな投資費用を必要とせずとも速達効果があり、しかもそのデザインは歴代どの車両も優秀だったため、ペンドリーノはコスパの良い輸送改善策として、ピザやパスタのようにヨーロッパ各地で導入されました。

イタリアから世界に広まったペンドリーノ
2011年ミラノ中央駅

一方で、本格的な高速新線の建設は計画こそ早かったものの、その整備はフランスやドイツに後れを取っていました。
しかし1995年、従来の振り子式電車ではなく、客車の両端に機関車を挟んだタイプのETR500が登場します。
カーブでの走行性能は振り子式のペンドリーノに劣りますが、最高速度はそれまでの時速250㎞から、ついに国際標準の300㎞に達しました。
相変わらずのデザインの良さはもちろん、機関車ならではの重厚感のある佇まいのETR500は、イタリアにおける真の高速鉄道時代の到来を告げる存在でした。

初期型のETR500
2011年ミラノ中央駅

その後も高速新線は遅ればせながら延伸を重ね、イタリアの東海道・山陽新幹線に当たるトリノ~ミラノ~フィレンツェ~ローマ~ナポリが2009年には全通します。
かくしてETR500はイタリア鉄道の王者として、いよいよ本領を発揮することになったのです。

なお、ETR500による高速列車は当初「ユーロスター・イタリア」という面白みのない名前でしたが、現在では「フレッチャロッサ」(Frecciarossa:「赤い矢」の意味)というイタリアらしいブランドを名乗っています。
もちろん「フレッチャロッサ」こそ、イタリア鉄道の最上位列車です。
ボンゴレや赤ワインが頭に浮かびます。

現在のフレッチャロッサ、ETR500

新型車両、ETR1000登場

ペンドリーノの流れを汲む「フレッチャアルジェント」(「銀の矢」の意味)の車両更新が進む中、フレッチャロッサにも新型車両ETR1000がお見えします。
従来のETR500との大きな違いは、客車の両端に機関車を連結する動力集中方式だったのが、新幹線のように各車両にモーターが付いた動力分散方式となったことです。
最高速度はあいにく300㎞で営業していますが、実力的には360㎞運転も可能です。

ETR1000

2015年、既存のETR500と並んで、ETR1000も「フレッチャロッサ1000」として運用に加わります。
ここに、男気と包容力のあるバリトン歌手ETR500と、甘く華麗なテノール歌手ETR1000の二重奏が実現したのです。

筆者が観劇したミラノのスカラ座
※写真はイメージです

着任後も苦労を重ねて最上位を確立したETR500に対し、生まれながらにして王者だったETR1000は、その野心を対外積極的な活動に向けます。
2021年、かつては共同運航していたフランスのTGVに真っ向から対抗する形で、パリ~ミラノの運行を開始しました。
しかも、TGVが経由しないリヨン(フランス第二の都市)中心部にも寄るという大胆なやり方です。

さらに2022年11月からはスペイン国内線でも、iryoというブランドでフレッチャロッサ1000が投入される予定です。
ここではスペインの航空会社と組む、つまり敵の敵は味方という古今東西で見られる戦略を採っています。

19世紀後半まで国家統一が遅れたイタリアは、長い間周辺勢力から入れ代わりで支配されてきました。
かつて侵攻・支配を受けたフランスとスペインの線路に参入しているETR1000は、そんなイタリアの歴史の鬱憤を晴らそうとしているのかもしれません。

スポンサーリンク

フレッチャロッサの車内・座席やサービス

前章で述べた通り、フレッチャロッサには2種類の車両が存在します。
いずれもスタンダード・プレミアム・ビジネス・エグゼクティブの4つのクラスがあります。
それぞれについて各クラスの車内・座席を紹介します。

ETR500:スタンダードの車内

フレッチャロッサETR500のスタンダードの車内

通常の2等車に相当するのがスタンダードクラスです。
クラス・車両にかかわらず、フレッチャロッサではテーブルを挟んで向かい合わせになった4人用ボックス席が基本です。
全席に充電用コンセントがあり、Wi-Fiも完備されています。

なお、ボックス席で他人と向かい合わせになるのは苦痛だと感じる人もいるかと思います。
その場合は、2等車でもボックス席が少ない、別会社のイタロを検討してはいかがでしょうか?

ETR1000:スタンダードの車内

フレッチャロッサ1000のスタンダードの車内

座席配置はETR500とあまり変わりませんが、全体的な雰囲気は明るくスリムになっています。

ETR500:プレミアムの車内

フレッチャロッサETR500のプレミアムの車内

2等車+αの位置づけであるプレミアムクラスはスタンダードクラスと同じ2&2の座席配置です。
スタンダードとの違いは、座席がビジネスクラスのような革張りになっていて高級感があることと、ウェルカムドリンクのサービスがあることです。

ETR1000:プレミアムの車内

フレッチャロッサ1000のプレミアムの車内

新型のフレッチャロッサ1000にもプレミアムクラスが1両あります。
スタンダードとの差額は僅かなので、ウェルカムドリンクがあることを考えるとお得なクラスだと思います。

フレッチャロッサ1000のプレミアムの座席

ETR500:ビジネスの車内

フレッチャロッサETR500のビジネスの車内

ビジネスクラスが1等車に当たります。
2&1列配置の座席で、このクラスでも座席は向かい合わせになっています。

フレッチャロッサETR500のビジネスの座席

ETR1000:ビジネスの車内

フレッチャロッサ1000のビジネスの車内

もちろんビジネスクラスにもウェルカムドリンクのサービスはあります。
このクラスの2号車は「サイレントエリア」(Silenzio)に指定されています。

フレッチャロッサ1000のビジネスの座席

エグゼクティブの車内

エグゼクティブの車内
trenitaliaの公式サイトより

ビジネスのさらに上をいくのがエグゼクティブクラスです。
私自身が乗ったことがないのでtrenitalia(イタリア国鉄)の公式サイトから写真を借りますが、1&1の贅沢な客室です。
このクラスでは軽食がサービスされ、駅のラウンジを利用することもできます。

アルコールや食事を提供する軽食堂車ビストロ

フレッチャロッサETR500のビストロ
ETR500のビストロ
カウンター席がある
フレッチャロッサ1000のビストロ
ETR1000のビストロ
雰囲気はお洒落だが持ち帰りが基本

フレッチャロッサ1000では3号車、ETR500では5号車にビストロがあります。
テーブル席に座って食事ができる本格的な食堂車ではありませんが、飲み物・アルコールの他、簡単な温かい食事を注文することもできます。

フレッチャロッサ1000のビストロで購入したラザニアと赤ワイン

客室のモニターは情報量が豊富

パリ発ミラノ行きのフレッチャロッサ1000にて

各車両にはモニター画面がいくつかあります。
ここでは走行速度や途中の停車駅と到着時間などを見ることができます。

また予定外の所で列車が止まってしまった時には、「信号待ちで停車中」などといった情報も知らせてくれます。
日本では逐一行われる放送ですが、ヨーロッパでは珍しい親切丁寧なサービスです。
その際に予想遅延時間も知らせられますが、これは頻繁に変動するのであまり一喜一憂しないように。

ちなみに、「イタリアの鉄道は遅れる」イメージをお持ちの方も多いと思いますが、「正確とは言えないまでもイメージ程は悪くない」というのが私の感覚です。

スポンサーリンク

乗車記:ミラノからローマの所要時間は3時間

壮麗なミラノ中央駅

ファッションの都としても有名な北イタリア最大の都市ミラノ。
ミラノ中央駅はまるで世界的な美術館のような壮麗な建物です。

内部もネオクラシック調の堂々とした構えで、ヨーロッパ各国からイタリアへのゲートウェイに相応しい駅です。
我々が想像する「ヨーロッパのターミナル駅」のイメージそのものではないでしょうか。

今回私が乗車するのはミラノ中央駅を14時30分に発車する、ETR500によるフレッチャロッサのビジネスクラス。
フランスからフレッチャロッサ1000でやって来たので、ややリスクのある40分という接続時間でしたが、この乗り継ぎには強いこだわりがありました。

乗り継ぎも無事に終え、定刻に列車は発車しました。
ビジネスクラスはほぼ満席でした。
フランスから来るとミラノは暖かく感じられます。

北イタリアのロンバルディア平野

平坦なロンバルディア平野を時速300㎞で走ります。
国内屈指の産業地帯なので工場や住宅が多く見られます。
また、「イタリア=地中海性気候」ではなく、この辺りは温暖湿潤気候なので米作も行われています。
つまり、意外ですが日本とよく似ている風景なのです。

稲作が盛んなミラノのグルメ、子牛のスネ肉リゾット
知名度の高いミラノカツレツよりこちらの方がオススメ

間もなくしてウェルカムドリンクのサービスが始まりました。
ジュースと水、ナッツとレーズンを頂きます。
ワインは既にビストロで用意していました。
これでミラノからローマへの3時間の旅の備えは十分です。

電車のイラストの紙パックが水

ローマまでの唯一の停車駅、ボローニャは地下の駅でした。
ボローニャからはアペニン山脈を越えるためトンネルずっと続き、明かり区間はほとんどありませんでした。

トンネルを越えると中部イタリア

トンネルの連続を過ぎると風景ががらりと変わり、フランス風の起伏のある土地になります。
平野→山岳地帯→別世界という展開は、上越新幹線とそっくりです。

フィレンツェを通過し、なおも南下します。
だんだん背丈の低い木が増えてきて、一般的なイメージ通りな地中海性気候のイタリアらしくなってきます。

ローマ・テルミニ駅に到着

ローマに近づくと松の木が多くなります。
たしかにローマと言えば、どこを向いても遺跡と松があったように記憶しています。

予定時刻の17時40分より10分程度遅れて、中央駅に当たるローマ・テルミニ駅に到着です。
首都の中心部にある駅ですが、ミラノ中央駅と比べるとどこか地方都市の駅のような感覚になります。
列車はこの先、イタリア半島のつま先まで行きますが、ローマでほとんどの客が下車しました。

駅から出るとやはり遺跡と松がありました。

スポンサーリンク

予約方法と費用

フレッチャロッサの他にイタロもあり

予約はTreinitaliaの公式サイトから行うことができます。
直接販売なので手数料は不要で使いやすいサイトなのですが、列車を調べる際にはまずTrainlineのような代理店のサイトで検索することをおすすめします。
なぜなら、イタリアの高速鉄道はtreinitalia以外に民間企業が運営するItalo(イタロ)という列車も走っているからです。

所要時間・料金ともあまり差は無く、両者実力伯仲といったところです。
ハイレベルな競争により、乗客は快適な高速列車に安く乗ることができるわけです。

両方も含めて検索した結果フレッチャロッサに乗ることになったら、以下の方法で予約するのが良いと思います。

ミラノ・ローマ間の最安値は29.9€

7:10発がETR500、7:20発がETR1000。

Roma TerminiからMilano Centraleまでの列車を検索しました。
列車本数はかなり充実していることが分かると思います。
まず、この段階で車両がETR500かETR1000かが判別できます。
後者の場合、上の写真の黒丸で示した部分に「FRECCIAROSSA1000」の表示があります。
また、同じフレッチャロッサでも停車駅が少ないものと多いものがあるため、所要時間にはバラツキがあります。
速い列車でローマ・ミラノ間の所要時間は約3時間です。
なお、予約を進める途中でログイン画面が出てきますが、会員登録しなくても予約することができます。
先に進むには右下の赤いボタンをクリックしていきます。

座席指定のチェックは見逃しやすい
写真ではオフになっている

列車を選択すると料金表が現れます。
クラスについては既に説明した通りです。
BASE,ECONOMYなどはチケットの自由度で、安いものほど条件が厳しくなります。

  • BASE→変更・返金可能
  • ECONOMY→変更はBASE料金との差額で可能。返金不可
  • SUPER ECONOMY→変更・返金不可
  • PROMO~→条件はSUPER ECONOMYと同じ。見つけたらラッキー。

クラス・条件の料金をクリックして先に進みますが、ここで座席指定希望のチェック(上の写真の赤丸を入れたところ)を入れるのを忘れないようにしてください。

座席指定料金は僅か2€です。
飛ばしても構いませんが、ケチるほどの金額でもないと思います。

乗客情報を入力します。
電話番号は普通に国内用の携帯番号(080-)で大丈夫でした。

下にスクロールして支払い方法を選択します。
ここでは選択するだけで、次の画面で番号等を入力します。
クレジットカードがはじかれたらPayPalを使いましょう。

支払いが成功すると、登録したメールアドレスにチケットが添付されたメールが届きます。
バーコード付きの画面を印刷またはスマホに保存すれば完了です。

スポンサーリンク

イタリアの赤い矢

山がちで多様性のある国土を持つイタリア。
この地理条件だけなら日本と似ていますが、全体的な国としてのイメージは全く逆ではないでしょうか?

概してイタリアは「きちんとしていない」と思われがちですが、フレッチャロッサに乗ればその固定観念は変わります。
大幅な遅れはあまりなく、情報提供もタイムリーで、何より速くて安いです。
思い描いたのと違ったものに出会って驚くのも旅行の醍醐味の一つです。


コメント

タイトルとURLをコピーしました