北アイルランドのベルファストからスコットランドのグラスゴーまで鉄道とフェリーで移動

ヨーロッパ鉄道

アイルランド島北部のイギリス領ベルファストと、スコットランドの経済都市グラスゴー。
この二都市は鉄道・バス・フェリーを乗り継いで移動することができます。
フェリーは大型で快適で、鉄道・バスはスコットランドの風景がとても印象的な旅です。
ベルファストからグラスゴーまでの所要時間はトータルで5時間程度です。

2022年10月上旬、ベルファストからグラスゴーを目指しました。

以下、①ベルファスト→ケイルンライアンの船、②ケイルンライアン→エアのバス、③エア→グラスゴーの電車に分けて乗車記をご覧に入れます。

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①ベルファスト港からケイルンライアン港への船

カフェ・レストランがあるStena Lineのフェリー

船内カフェの様子

ベルファストからケイルンライアンへのフェリーは大型船で、カフェの他にレストランや売店などの設備が揃っています。
食事をしながら過ごすのも良いですし、もっと静かな雰囲気のリビングもあります。
乗船時間はおよそ2時間半です。

船内レストランの様子
船内のリビング

私は利用しなかったのですが、船内で追加料金18£を払うとStena Plusという特別室に入場することができます。
前面展望を楽しむことができ、コーヒー・紅茶やアルコール類も無料で提供されているようです。
今思えばアップグレードしておけば良かったと思います。

乗車記:市内中心部から港へは市内バスで

昨晩急に降り出した雨が今朝も続いています。
市内中心部からフェリーターミナルまでは、96番のバスが20分程度で行きます。
イギリス領らしく、「クイーン」「ビクトリア」など王室を思わせる地名が目立つ華やかなベルファストの中心部ですが、港に向かうにつれて工業都市らしい風景になっていきます。

ベルファスト港のフェリー乗り場

フェリーターミナルに着いて乗船手続きを済ませて、スーツケースをベルトコンベアの上に置きます。
出港30分以上前から乗船が始まりました。

ベルファスト港

レストランのあるフロアはとても賑やかですが、その一つ上のカフェのあるフロアは対照的に静かです。
この時の私はちょうど疲労の第一波が来ていたので、カフェのコーヒーとスコーンで静かにしていました。
階段から子供が騒ぐ声が響いてきます。

スコットランドのケイルンライアン(Cairnryan)に到着。
少し晴れてきたようです。
乗船時は紳士的だった男性が、いつの間にか酔っぱらって子供のように振舞っていました。
「他山の石」という日本語を思い出します。

下船は車の客が先で、その後徒歩の客(Foot Passenger)の番です。
スーツケースを受け取って、建物の外に出ます。

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ケイルンライアン港からエアへのバス

エアへはStena Lineの連絡バスに乗ります。
フェリーターミナルから降りると複数のバスが停まっていますが、Stena LineとScotRailのロゴが付いているものに乗りましょう。
バスの乗車時間は1時間15分です。

バスからのスコットランドの景色は実に印象的でした。
船からはなだらかに見えたスコットランドの大地は、実際に上陸してみると背丈の低い木や針葉樹が生え、厳しい表情をしています。

左手に海が見えます。
突然雨が降って来たかと思うとすぐに止んで、風景の荒々しさに拍車をかけています。

土台だけを残して朽ち果てた教会らしき建物が、草原に忘れられたように佇んでいます。
時々民家が連なる通りを過ぎるので、全く人跡稀な土地ではありませんが、この辺りの人はどんな暮らしをしているのだろうかと思わせます。

それなりの規模の市街地に来ると下界に戻った気持ちになります。
そしてまもなくエア(Ayr)駅に到着。
ここでグラスゴー行きの列車に乗り換えます。

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エアからグラスゴーへの電車

エアからグラスゴーまで所要時間は約1時間

グラスゴーへはScotRailの電車に乗ります。
ボックスシートの通勤電車のような車両ですが、トイレは付いています。
グラスゴーの近郊区間なので、本数は日中の少ない時間帯でも1時間に2本、朝・夕方などは4本くらいあります。
エアからグラスゴーまでの所要時間はおよそ1時間です。

なお、旧イギリス国鉄は現在多数の鉄道会社に分割されており、ScotRailもそのうちの一つです。
日本のJRと同じように、例えばウェールズの鉄道会社のサイトからスコットランドの電車のチケットを買うことができます。

乗車記:ScotRailの近郊型電車

エアは落ち着いた雰囲気の小さな街でした。
駅には自動改札機があり、発券したチケットを通すとどうやら有効化されたようです。
同じ車両の電車が幾つか停車しています。
番線を調べて、電車の行き先表示も念のため確認していると、遠くにいた駅員が「どこに行く?グラスゴー?その電車だよ。」と教えてくれました。
スコットランド人は早口で、日本人にはやや粗野とも思える話し方をするのですが、実際には親切な人がとても多かったです。

まだこの時点では、グラスゴー中央駅行きの電車は客もまばらです。
出発後まもなく、橋を渡りエアの市街地を後にします。

連絡バスの車窓ほど劇的ではありませんが、やはり荒涼とした景色です。
海辺の草原はゴルフ場のようです。
風が強く吹いているようで、遠くでは風車が得意げに回っています。

イギリスにおける他の国と同様、スコットランドの駅でも英語と現地語のスコットランド語が併用で表記されています。
英語とスコットランド語は近い関係にあるようで、ケルト系のウェールズ語のように別系統で発音もだいぶ違うということはありません。

上が英語、下がスコットランド語

川や湖、なだらかな丘に抱かれた集落が点々としている風景は詩的です。
そんな車窓とは裏腹に、乗客は増えていきます。

16時半過ぎ、グラスゴー中央(Glasgow Central)駅に到着です。
クラシックな造りでありながら、明るさも持った駅です。

駅を出て、グラスゴー大聖堂に行ってみました。
夕方でもう閉まっていましたが、くすんだ、古く大きな大聖堂は、重厚な建物が並ぶこの街でも一際目立っています。

大聖堂の裏にある丘には、古代遺跡のような墓地があります。
スコットランドの大都会にいるのに、最果ての地に立っているような感慨です。
某RPGだったら、適当な所を調べると大聖堂の地下通路に通じる隠し階段が見つかりそうです。

手前の建物が大聖堂

たちまち晴れ空に分厚い雲が覆いかぶさり、冷たい雨が降り始めました。

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予約方法と費用

(注意)本章で紹介する方法では、チケットを北アイルランドで受け取ることができません。
グラスゴー→ベルファスト、またはロンドンなどに滞在してからベルファスト→グラスゴーを移動する場合のみ有効です。

船・バス・列車を乗り継ぐ今回の旅程ですが、ベルファストからグラスゴーまで一体となった切符が、それも割引価格で購入できる、Sailrailという素晴らしい商品があります。
Sailrailはイギリスの複数の鉄道会社のサイトから買うことができますが、ここではScotRailから予約します。

費用は35£、安くて便利なSailRail

サイトのトップページにアクセスしたら、左側の欄に発着地・日付等を入力します。
ベルファスト側はBelfast Portです。

候補となるフェリーは現状11時半発の便一択です。
以降は右側の青いContinueボタンで進んでいきます。

赤線で示した2 changesの所をクリックすると、実際の乗り継ぎのタイムテーブルが表示されます。
ケイルンライアンでの23分乗り継ぎは、特に問題は感じませんでした。
エアでの7分はバスの遅れによっては間に合わないこともあるかもしれませんが、近郊列車で本数も多いのでそれほど問題にはなりません。

次の画面ではオプションとして、無料の座席指定が行えます。
が、今回の旅程ではどの乗り物も指定席など無いので飛ばしましょう。

続いてログイン画面になりますが、ここもゲストとして予約することができるので、メールアドレスだけ入力して進みます。

チケットは現地の駅の発券機で発行する

注意するべきはチケットの受け取り方法の確認画面です。
本章冒頭でも強調した通り、チケットは現地にて自身で発券する必要があります。
発券できる券売機がある駅は、赤丸で示したリンク先で確認できます。
グラスゴーやロンドンなどの主要駅でも可能ですが、北アイルランドのベルファストでは発券できません。

筆者がロンドン・ユーストン駅で利用した発券機

その後は支払い画面です。
クレジットカード情報を入力して、決済完了するとメールが送られてきます。
発券に必要なチケット番号もメールに載っています。

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スコットランドの風土

メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」は、まるで葬列のようにしめやかに始まります。
なるほど、この地の風景は霊的な趣を持った、グラスゴーの大聖堂のような厳かさを感じさせます。
悲しいわけでもないのに、自然と寂寞とした感情が湧き上がるのです。

ケイルンライアン上陸後、ロンドン行きの夜行列車カレドニアンスリーパー乗車までの半日、特に何もしないスコットランド滞在でしたが、その自然・街並み、そして人々の親切さは大変印象に残るものでした。

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