【大阪・三ノ宮にも停車】臨時サンライズ出雲91号ノビノビ座席の乗車記

旅行記

唯一生き残る寝台特急として予約が取りづらいほど人気のある「サンライズ出雲」。
毎年ゴールデンウイークや年末年始など混雑期には臨時列車が運転されます。

2024年の正月明けに、臨時寝台特急「サインライズ出雲91号」に東京から岡山まで乗車しました。
本記事では臨時サインライズの概要や実際の乗車記、そして予約の方法・注意点について述べていきます。

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臨時「サンライズ出雲91・92号」

臨時「サンライズ」の列車名は東京発が「サインライズ91号」、東京着が「サンライズ92号」です。
毎日運転される定期便のサンライズは高松行きと出雲市行きの2編成併結ですが、臨時便は出雲市行きのみの7両編成です。

設定されるのは例年ゴールデンウイーク・お盆・年末年始で、各シーズンごとに2往復だけ運行されます。
運転本数が僅かなので、かなり希少価値の高い列車だと言えます。
臨時サンライズの運転日に合わせて帰省日を決めているのは、きっと私だけではないでしょう。

車両・車内設備・料金は定期サンライズと変わりません。
サンライズに運用される車両の詳細については285系の記事をご覧ください。

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東京・大阪間の夜行列車にも使える

臨時サンライズのダイヤは定期列車とはかなり異っています。
下り列車を例にとると

東京大阪三ノ宮姫路岡山新見米子出雲市
定期2150525627743903958
臨時2221604627719848102512051307
東京駅は発時刻、他の駅は着時刻
-は通過

一番の特徴は、東京発では定期列車が通過する大阪と三ノ宮に停車することでしょう。
また姫路に着く時間帯も良好です。

一方で臨時列車ならではの「挿入式ダイヤ」のおかげで、全体的に所要時間が長いのも事実です。
特に東京・出雲市間を全区間乗ると、所要時間は実に15時間弱にもなります。
しかも車内販売は必要最低限の自動販売機以外はなく、途中で買い物ができるタイミングも岡山駅停車中の3分間くらいです。

よって、ダイヤ上の利用価値が高いのは東京発大阪~岡山の区間だといえます。
あるいは個室寝台でなるべくゆっくりしたい人にとっても、追加料金なしで「レイトチェックアウト」できる臨時サンライズは魅力的です。

最も高いA寝台個室「シングルデラックス」

ところで、臨時サンライズの時刻表では横浜22時44分発の次の停車駅が大阪6時07分着となっています。
これほど長距離・長時間ノンストップで走る旅客列車は、新幹線を含めて他にありません。

しかし実際のところは乗務員の交代などのために、ドアは開かないものの途中幾つかの駅に停車(「運転停車」と呼びます)しています。
私はうたた寝をしながら運転停車する駅と発着時刻をメモしていました。
もし、そういうのが気になる人がいれば参考にしてください。

熱海沼津静岡浜松豊橋熱田米原
2355/011030/032114/129225/226250/257341/342447/450
着時刻/発時刻

こうして見ると、ノンストップという威勢の良い言葉の裏側に隠れた悠長なダイヤが浮かび上がります。
10分以上停車する駅がある理由は、乗務員交代以外にも、夜間の東海道本線を頻繁に行き交う貨物列車との兼ね合いもあるのでしょう。

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乗車記:車内販売は無いので事前に買い物をすべし

年末年始の民族大移動もピークを過ぎた1月4日。
年明け以来不幸な出来事が続く2024年も、今日は無事に過ぎそうだと安堵しながら、22時前に東京駅に到着。
「サンライズ出雲91号」が出発する8番線ホームに向かいます。

列車が入線してきたのは22時ちょうどでした。
以前は定期サンライズが駅を出発している最中に臨時サンライズが入線していたのですが、定期サンライズの発車が10分早くなったために、壮観な一コマを見ることもできなくなりました。
この日はホームのコンビニがまだ開いています。
曜日によっては発車時刻前に閉店してしまうようです。
またコンコースの駅弁屋「祭」は22時まで営業しています。

入線後しばらく準備を行い、乗車できるようになったのは22時05分頃でした。
隣のホームで通勤電車を待つ疲れた顔と、これから夜汽車に乗る人の華やいだ表情が対照的です。

今回乗車するのは一番安いノビノビ座席です。
座席というよりは、仕切り付き2段式雑魚寝の設備です。
乗車券+指定席特急料金だけで横になって寝れるので、費用重視派の人に大変おすすめできます。
一人当たりのスペースは広くはありませんが、寝るだけの設備と割り切れば問題ないと思います。
ただ、アメニティはシーツくらいしかなく床も結構固い点は要注意です。

もっとも私にとって夜汽車の旅は寝るだけではなく、景色を見ながら晩酌するという重要な用事があります。
貴重品を持ってすぐに3号車のラウンジに行くと、先客は3人だったので空いている席に座りました。

ラウンジには計8つの椅子がある

22時21分、待ちかねたように東京駅を発車。
年に6回しか運転されない列車を見送る人がこちらに手を振ります。
復旧したての田舎のローカル線に乗った気分です。

次の横浜駅で待っていた人は僅かでした。
他のホームでも帰宅客はあまり多くありません。
しばらくゆっくり走ったかと思うと、普通電車を追い抜いた途端速くなります。
臨時列車の挿入ダイヤらしい走りっぷりです。

JR東日本の車掌がようやく検札に来ました。
最寄り駅から東京都区内までのSuica定期券(長年の勤労により印刷した文字はすり減って見えない)の処理も、機械を持っていたので問題なく行ってくれました。
平塚を通過する頃には外は真っ暗になりました。

そろそろ晩酌を切り上げてノビノビ座席に戻ると、2,3の空席がありました。
直前にキャンセルした人がいるのでしょう。
寝床に着いてからは、先に述べた通り仮眠しながら途中停車する駅の時間をチェックしていました...

京都を通過して少しだけ明るくなった気もする翌朝6時前。
あちこちで降りる支度をする音がします。
改めて客層を見ると中高生が多いようです。
6時05分に大阪駅着。
ノビノビ座席の半分くらいの人がここで下車しました。

それよりも驚いたのは、乗って来る人もいたことです。
早起きして、通常の特急料金で簡易寝台車に乗って寝直すことができるのですから、なかなか賢く贅沢な利用法だと思います。
三ノ宮駅でも若干の乗り降りがありました。

発車後すぐにおはよう放送が始まります。
いつも通り現在の日付と時間と運行状況を述べた後、「まもなく左に海が見えて6時40分頃に明石海峡大橋を通る」旨の案内もありました。
言われるまでもなく、ミニラウンジに向かいます。

年末年始の臨時サンライズでは最高の夜明を迎えることができます。
車内放送にもあった海の景色が見える箇所が、ちょうど日の出の時間と重なるのです。
オレンジ色に染まった瀬戸内海は、綺麗にも不気味にも見えます。
空はまだ白みかけた紺色をしています。
「サンライズ出雲91号」の悠長過ぎるダイヤは、この演出のためではないかとさえ思えてきます。

並走する快速電車を抜いたり抜かれたりしているうちに、明石海峡大橋の下をくぐります。
その後線路が高台に上が、左手後方に橋が見える所が絶景区間です。

姫路駅を発った時には、ノビノビ座席の乗客は10人足らずになっていました。
個室寝台はもっと長距離客の割合が高いのでしょうが、ノビノビ座席に関しては中距離の利用が多いようです。
まだ赤く染まった空に煙を吐き出す工場が後方に遠ざかると、列車は播州平野から中国地方へと山間部を進んでいきます。
列車の速度は遅く、空いた車内に朝日が注ぎ、気だるい雰囲気です。

8時48分に岡山駅に到着しました。
姫路から1時間半近くかかっており、普通列車とほとんど変わらない所要時間です。
ホームの人の珍しそうな視線を3分だけ浴びた後、「サンライズ出雲91号」はまだまだ長い山陰路へと旅立っていきました。

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空席欄が×でも予約できることもある

サンライズの予約はJR西日本のe5489で行います。
あるいは、JR東日本の「えきねっと」でもノビノビ座席のみ予約可能です。
それでは、以下e5489での予約の仕方・注意点を写真付きで解説します。

まず、列車検索をする時は路線からではなく駅名から検索しましょう。
「新幹線を利用」のチェックも外しておいた方が無難です。

さて、最近のサンライズは唯一の夜行列車ともあって、なかなか予約が取れないことで知られています。
試しに4週間後のサンライズの空席情報を調べてみました。

2月上旬の平日なので、1年で最も空いている時期だと思われます。
それでもご覧のようにノビノビ座席を除き、個室寝台は全て×になっています。
がしかし、ここで諦めてはいけません。
というのも、B寝台の×というのは複数種類があるB寝台個室の中で最も数の少ない「シングルツイン」が満席という意味だからです。

では他のB寝台個室(「ソロ」「シングル」あるいは「サンライズツイン」)の空席照会しましょう。
そのためには、上の写真の赤丸で囲った「この列車を変更」をクリックします。
続いてポップアップで現れる「後の列車」のボタンを押下します。

するとシングルツイン以外の設備の空席情報を見ることができます。
最初調べた時はB寝台は全て満席かと思いましたが、実際はソロ・シングルには空席がありました。

当然乗るのは同じサンライズなので、「この列車を変更」という文言は非常に分かりづらい、というか適切な表現ではありませんが、予約システムの都合上このようになっているのだと思われます。

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サンライズ銀河を想う…

便利な新幹線があるとはいえ、関東対関西という二大都市圏を結ぶ夜行列車が無いのはゆゆしきことです。
ノビノビ座席でも夜行バスよりはずっと快適なので、値段が割高になっても差別化は図られているのは間違いありません。

かつて東京・大阪間を走った寝台急行「銀河」がサンライズ化されて、例えば東京から姫路あたりまで運転されていたら、新幹線が取りこぼした需要をすくい受けていただろうと思えます。

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