東京発四国・九州1日弾丸旅行②:路線バスとタクシーで四国最西端の佐田岬灯台へ

旅行記

2024年11月に鉄道と路線バスで四国を1周してから改めて地図を見た時、ルートから愛媛県西部の佐田岬半島がはみ出ていることに気付いた。
ノコギリのような形をした長さ約40㎞の細長い半島である。

この不愉快な取り残しを処理すべく、翌2025年10月に路線バスとタクシーで佐田岬半島を縦走し、さらにはフェリーで豊予海峡を渡って九州に上陸した。
これは新幹線計画で構想された四国新幹線ルートを辿る旅ともなった。

本記事では八幡浜からバスで三崎港へ行き、そこからタクシーで佐田岬灯台まで往復する。

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バスで佐田岬半島を縦走

予讃線特急を乗り継いで八幡浜駅に着いたのが11時27分。
バスまで時間があるが、駅の周辺には何もないので道の駅八幡浜みなっとまで歩いて行く。
臼杵(大分県)や別府行きフェリーの出る港に隣接していて、サービスエリアのように広くていろいろな施設があった。
そして周囲の山ではミカンの段々畑が見事に切り開かれている。
ゆっくり昼食をしている時間はないが、市場に並ぶ魚を見て歩くのは楽しかった。
店の兄さんにお薦めされたフグの刺身は、噛めば噛むほど力強くも上品な味が滲み出てきた。

道の駅にある停留所からバスに乗る。
乗客は5人ほどだった。
眼下には入り江の漁村が時おり見られるが、辺りはほとんどが山。
開けた所に出ると左に宇和海が、右に瀬戸内海が広がる。
そんな佐田岬半島にもなかなか立派な国道197号線が通っている。
そして私の勝手な計画では、さらに最高速度200km/hの低規格の新幹線が単線で建設されることになっている。

バスに乗ること約1時間、13時28分に三崎港に着いた。
ここから佐賀関(大分県)行きのフェリーが出ているが、せっかく佐田岬まで来たのだから行ける所まで行こうということで、15㎞先にある最西端の佐田岬灯台へ向かう。
問題は灯台までは公共交通機関が無いので、どうやって17時半発のフェリーまでに行って帰って来るかである。

終点の三崎港

バス停と港の近くには、新しくて綺麗な「佐田岬はなはな」という土産物屋や食堂などが入った道の駅があり、そこに観光案内所もあったので尋ねてみた。
灯台までレンタサイクルを利用できるそうだが、それなりの距離があるし途中の駐車場からは歩くしかないので、閉店の17時までは少し時間が足りないでしょうとのこと。
結局タクシーのいる場所を教えてもらった。
なお昼食の場所について聞くと、直売所の食堂(この日は惜しくも閉店)や弁当屋を案内してくれた。
安易に「佐田岬はなはな」の食堂を勧めないのはプロの仕事である。

勧めに従って弁当屋で昼食を摂り、その横にいるタクシーを確保した。
その時は現金が6,000円しかなかった。
カードが使えないとのことだったので、「6,000円で足りますかねぇ?」と甘えてみたのだが、運転手は「いやぁ、8,000円ですけん。」と言う。
近くのコンビニに寄ってもらって現金を引き出した。

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タクシーと徒歩で佐田岬灯台へ

港から灯台までは狭い山道である。
すれ違うのも一苦労するような道だが、あいにく対向車は滅多に来なかった。
運転手曰く、この辺りからは別府の花火もよく見えるらしい。
「大分県は別府や由布院で賑わっていいですな。」と言う。
「愛媛県にも道後温泉があるじゃないですか?」と返すと、「いや、あっちに比べれば道後は大したことないけん。」とのこと。
彼に限らず、四国の人の遠慮深さが新幹線空白地を生み出したのだろうか?

佐田岬駐車場に着いた。
ここから灯台まで1.5㎞程はハイキングコースを歩かなければならない。
歩道は整備されているがアップダウンが激しい。
道の周りに生い茂る亜熱帯植物が緑のトンネルを造っていて、昨年訪れた足摺岬を思い出した。

20分くらい歩いて、ついに佐田岬灯台に着いた。
その向こうには大分県の佐賀関が、まさに目と鼻の先にある。
四国と九州がお互い必死になって手を伸ばして握手しようとしている。
彼らを「ほんのちょっとだけ」手助けして、その隙間にトンネルを通してやれば、日本の交通網は大変動するのではないか。
そんなことを夢想しながら、私は四国新幹線豊予ルートが開通するまでは生きていようと誓った。
私案では、豊予海峡トンネルは単線新幹線と自動車道の2階建て構造となる予定である。

ところで、モーパッサンのエッフェル塔の逸話(エッフェル塔に行けば自分の嫌いなエッフェル塔を見なくて済む)ではないが、佐田岬灯台の下に行っても灯台そのものはほとんど見えない。
灯台がよく見えるのは、すぐ近くにある御籠みかご島の展望所である。
今では佐田岬と御籠島は繋がっているので歩いて行くことができる。
御籠島は佐田岬灯台よりも西にあるので、こここそが本当の四国最西端だ。

なお、この辺りには戦時中に造られた洞窟式砲台跡が幾つかある。
瀬戸内に軍事施設が多かったことを考えても、ここが重要なチョークポイントであったことは容易に分かる。
いずれにせよ雄大な景色における効果的な刺激になっている。
柱状に形成された岩に空いた洞窟入り口で、魚の鱗のような装飾が赤く錆びていた。
自然と人による見事なアートの共演である。

計1時間少々で車に戻った。
「海が綺麗だった」と私が言うと、宇和海よりも潮の流れがある瀬戸内海の方が綺麗なのだと運転手が教えてくれた。
そのため、細い佐田岬半島を隔てて水温も違うそうだ。
またこの辺りでは伊勢海老漁が盛んで、全国各地から買い付けに来る人がいるらしい。

港に帰って来たのは16時過ぎだった。
はなはな敷地内の洒落た都会風なカフェで、ビールと佐田岬猪バーガーを注文。
はっきり言って、猪肉はハンバーガーにするのが勿体ないくらい美味く、これは単品で赤ワインと共に頂きたかった。
ついでに土産物屋で名物しらす丼の小パックと地酒を購入。
いけすではサザエや伊勢海老も売られていた。

プロムナードを歩いていると九州からの船がやって来た。
他のフェリーと比べるとやや小さく感じる。
慌ただしい旅程だったが、東京からわざわざ佐田岬灯台まで行ってよかったと思う。
アクセスさえ良ければもっと賑わうことだろう。
津軽半島に奥津軽いまべつ駅(平均乗車人員は1日20人程度)があるくらいなのだから、四国新幹線の西伊予佐田岬駅があっても良いではないか。

出航15分前の17時15分頃より乗船が始まった。
車両はトラックと自家用車が半々で、自転車やバイクが数台、徒歩の乗客は私一人だった。
次回は国道九四フェリーで大分県に渡る。






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