リトアニアのヴィリニュスからカウナスへ、二階建ての電車の一等車に乗る

ヨーロッパ鉄道

リトアニアの首都ヴィリニュスと同国第二の都市カウナス。
カウナスはヴィリニュスがポーランドに占領されていた戦間期に臨時首都を担ったこともあり、リトアニア旅行では是非訪れるべき都市だ。

この両都市はバルト三国で最も鉄道が発達した区間で、快適で高速の二階建て車両が運転されている。
東京から東海道線で小田原に行く感覚で、是非ヴィリニュスを起点にカウナスへ日帰り旅行してみよう。

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所要時間は1時間~1時間半

ヴィリニュスからカウナスまでの距離はおよそ100㎞、所要時間は列車によって異なるが1時間~1時間半である。
本数は1時間に1~2本と他の都市間と比べてかなり多い。
使用されているのは快適な二階建て車両で1等車もある。
リトアニアの首都と第二の都市を結ぶこの路線は、人口密度の低いバルト三国のなかで最も活気のある区間だ。

なおバスとの比較だと、本数はバスの方が多いが所要時間は列車のほうが短い。
また2等車の料金はバス運賃より安いので、鉄道は十分に競争力だあるといえるだろう。

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チケットの予約・購入方法と費用

本章ではリトアニア国鉄のサイト(LTG Link)から行う方法を紹介する。
もっとも、チケットは駅の券売機で購入することができる。
列車には2等車と1等車があり、座席を指定できるのは1等車のみである。
また早割のような制度もないので、1等車で席にこだわりたいのでなければ、駅で購入しても全然かまわないと思う。

駅にある券売機

それでも現地で並ぶ・慌てるリスクを回避したい方はネットでチケットを確保しておけば安心だ。
なお駅の券売機で購入する際もネット購入と同じ流れとなる。

券売機の画面
以下で説明するネット購入と同じ

LTG Linkのトップページで区間・日付・人数を入力すると列車選択画面となる。

上の写真を見て分かる通り、料金は列車によって若干変動する。
だいたいのところで

  • 2等車が5~10€
  • 1等車が10~15€
  • 1等車料金は2等車の倍以上することもあれば、あまり変わらないこともある
  • epressの方がそうでない便より少し高い

という傾向が見て取れる。
なおexpressの便は停車駅が少ないだけで、車両やサービスが変わるわけではないので、「湘南新宿ラインの快速と特別快速の違い」くらいの認識でよい。
クラスを選択して、画面右下の座席選択画面へ。
2等車は座席を選べないので、その隣の支払い画面へ飛んでよい。

なお、この時にshow class infoというボタンから、1等車と2等車のサービスの違いを確認することができる。
後で詳しく述べるがカウナス線の1等車が差別化されている内容としては、①座席が予約できてかつ広い(2&1列の座席配置)、②車内が静かで落ち着いている、③ヴィリニュス駅でVIPラウンジが無料で使える、ことが挙げられる。

シートマップは列車の進行方向(Driving direction)と座席の向きが分かる親切なつくりだ。

選択中の21番座席は進行方向向き
”Floor2”は2階席のこと

さらにオプションとしてヴィリニュスの市内交通チケットを付けることもできる。
最後にクレジットカードの決済をして、完了したらメールアドレスにチケットが添付されたメールが届くので、スマホに保存するか印刷して終了だ。
お疲れ様でした。

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2等車と1等車の車内・サービスの違い。おすすめは1等車

この路線の予約方法や費用を説明したところで、では2等車と1等車どちらか良いのかという疑問に答えたい。
私の結論は1等車を利用すべし、だ。

まず車内設備に関して、1等車は2&1列の座席配置なので、1~2人の少人数でも都合がよい。
予約する際に自分で進行方向の座席を選ぶことができる。
一方の2等車は基本的に4人用ボックスシートで、場所によっては通路を隔てて片側がロングシートになっている所もある。

そして車内の雰囲気も大きなアドバンテージである。
リトアニアの主要路線だけあって途中駅での乗り降りも多く、私が乗った平日昼間の便でも2等車は混雑していた。
その点、短距離客利用しない1等車は車内がはるかに静かで落ち着いている。
VIPラウンジが使えて無料の水がサービスされるのは、これらの付加価値に比べれば些細な要素に過ぎない。

ちなみに、設備の説明や座席選択時には1等車の座席は「充電コンセント有り」と表示されるのだが、私が実際に乗った列車にはなかった。
これは車両によるのかもしれない。

リトアニアのヴィリニュス・カウナス間の列車の2等車の車内
2等車の車内
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乗車記

行きは1等車、帰りは2等車でヴィリニュスからカウナスへ日帰りした。
その時の旅行記は別記事で参照していただくとして、本章は鉄道乗車記に限って綴っていきたい。

1等車のチケットでヴィリニュス駅のVIPラウンジが利用可能

朝7時前、堂々とした博物のようなヴィリニュス駅がピンク色の夜明け空を背後にして迎えてくれた。
駅前では学生たちがバスを待っている。
日本から7時20分発の列車の一等車を予約している。

せっかくなのでVIPラウンジを覗いてみよう。
入り口は正面から駅舎に入って右手のところ、インフォメーションセンターの隣にある。
チケットのコードを読み取り機にかざして入場する。
雰囲気はモダンで洒落た感じでトイレも自由に使える。
ただ、コーヒーマシンや冷蔵庫に入っている飲み物等は全て有料だった。

最高速度は160km/h

カウナス行きは駅舎から遠いホームからの発着だった。
「新型車両」と表現するにはやや古いような気もする、オール2階建ての3両編成の電車だ。
もともとホームが低いので車両が余計に大きく見える。
リトアニアの国章と同じ馬に跨った騎士が描かれていた。
電化が進んでいないバルト三国ではディーゼル列車が主役なので、都市間列車に電車が走っているのは珍しい。

1等車はもちろん2階席。
乗客は全区間を通して数人程度だった。
7時20分定刻にヴィリニュス駅を出発。
昨日のワルシャワと同様、朝霧で視界が悪い。

1等車の乗客にはペットボトルの水が無料で配られた。
また車内販売もあるがこの路線の商品は限られていて、首都圏の普通列車グリーン車のそれと同じレベルである。
ホットコーヒーの取り扱いもないので、出発前にヴィリニュス駅で調達しよう。

車窓は森林と耕作地の繰り返しで、度々駅前に現れる大きな工場が景色に変化をもたらしてくれる。
森の中にもちゃんと駅があって、周りには別荘のような家が建っている。
駅間が広い区間では最高速度の160km/hで走る。
これは日本の特急列車より少し速い速度だ。

カウナス駅から旧市街は遠い

最後に左手からネムナス川が寄り添ってきて、8時57分定刻にカウナス駅
やはり駅舎から離れた隅っこのホームに到着した。
リトアニアの二大都市を結ぶ列車なのに、まるでローカル線のような扱いではないか。
カウナス駅には売店がなかった。
市内中心部に向けて地下道を通り抜けた先には市場があるので、食べ物を調達する際はそこを利用するのがおすすめだ。

カウナス城や市庁舎広場がある旧市街へは、駅からだと30分以上は歩くことになる。
ただ、その途中にも各種博物館・資料館や、カウナスが臨時首都だった戦間期に流行したモダニズム建築など見所が多いのが悩ましい点である。
意外と移動にも時間をとられることを念頭に、カウナス滞在の予定をたてよう。




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