ベラルーシの鉄道といっても、なかなかイメージできないのではないでしょうか。
どこにあるか分からない(ほとんどの)人のために説明すると、ロシアとポーランドの間に位置する国です。1991年のソ連邦解体に伴って独立した国です。
ヨーロッパ最後の独裁国家と呼ばれ、情報も少ない(というかほぼない)のですから当然でしょう。
もっとも実際に行ってみると、特に危険な国でもありません。
今回はウクライナの首都キエフと、ベラルーシの首都ミンスクを結ぶ夜行列車の乗車記をお届けします。
ベラルーシの鉄道について
鉄道インフラはそこそこ充実している
意外に思われるかもしれませんが、旧ソ連諸国(バルト三国は除く)の鉄道は路線網が概ねよく発達しており、列車の定時性も高いです。
ベラルーシにおいても同様で、首都ミンスクを中心に地方都市にも列車は運行されています。
また、周辺国とを結ぶ国際列車も走っています。
特にモスクワとミンスクを結ぶ区間は、ロシアからヨーロッパへの回廊の一部で、多数の列車が設定されています。
車両等級の分け方はロシアと同じ
ロシアやウクライナの鉄道と同じく、1等車から4等車までの等級があります。
- 1等車=2人用個室寝台車
- 2等車=4人用個室寝台車
- 3等車=開放寝台車
- 4等車=座席車
一部のロシアの豪華列車にある「特等車」はベラルーシには存在しないようです。
昼間のみ走る列車でも、寝台車を連結しています。
私はベラルーシの国内移動で、昼間の2等車を利用しましたが、この時ベッドメイクはされておらず、昼寝したい人はシーツを購入するシステムでした。
国鉄の公式サイトの情報が充実している
公式サイトの利用方法は後で詳しく解説しますが、このサイトは英語ページももちろんあり、利用者に有用な情報が結構あります。
例えば旅行者がよく使うであろう、優等国際列車はそれぞれサービスを紹介したページがあり、車内の写真なども見ることができます。
1等寝台車の乗車記
列車編成
1~3等車が連結されています。
この列車はベラルーシ国鉄によって運行されています。
そのため車両・乗務員もベラルーシ国鉄に所属しています。
なお、公式サイトには「食堂車が連結されている」旨の記載がありますが、私が実際に乗った時に車掌に聞くと「ない」とのことでした。
オフシーズンは連結していないのか、たまたまその日だけなかったのかは定かではありません。
朝食付きで車内サービスは期待以上に良い
「ベラルーシの列車はどんな感じだろう?」と若干の心配はあったのですが、乗ってみて良い意味で期待を裏切られました。
車内は清潔で、内装も「豪華」とまでは言えませんが、花が飾られていたり、車内サービスの案内冊子があったりと、想像以上のクオリティでした。
カーテンやカーペットも車内の高級感を演出しています。
同じ旅行で、ウクライナ国鉄による国際列車にも乗りましたが、全体的にベラルーシ国鉄の列車の方がサービスレベルは高いです。
翌朝には、パンなどが入った朝食のセットがもらえます。
これは1,2等車の乗客への無料サービスになっています。
なお、乗車した時からテーブルに水などのドリンクが置いてありますが、これらは有料なので注意してください。
予約方法及び費用
予約はネットでできます。
ただし注意点は、出発する側の国鉄サイトで予約しなければならない、ということです。
なぜなら、予約時に発行されたチケットの控えを、チケットオフィスで提示して本物のチケットを発行してもらう必要があるからです。
ベラルーシ国鉄サイトでの予約
ベラルーシ国鉄サイトの英語ページにアクセスし、
Minsk PasからKyiv Pasの駅名と日付を入力します。(「Pas」は「旅客駅」の意味です。)
列車の候補が表示されます。今回選択するのは、ミンスク22時40分発の列車です。各クラスの料金と残席数もここで分かります。
Luxury=1等車 Coupe=2等車 ここで「Second-Class」となっているものは開放寝台の3等車です。
予約したいクラスの残席数の部分をクリックすると、確認画面を経て、登録画面になります。
メールアドレス・名前などの個人情報と「Login」「Password」をそれぞれ自分で決めるので、たいして難しくはありません。
登録したメールアドレスに届いたメールのURLをクリックしたら、予約作業が再開されます。
乗客情報を入力していきます。
写真にもある通り、「Document type」は「Foreign Passport」にします。生年月日は日.月.西暦の順です。
この段階で好きな寝台の位置を指定できます。
その後クレジットカードの情報を入力し支払い完了です。
途中で
Attention! To board the train, you will have to formally issue tickets at a ticket office of the Belarusian Railway on a 14-digit order number and identification document.
Continue?
というワーニングが出ますが、要するに正式なチケットをチケットオフィスで受け取らなければならない、ということです。
ウクライナ国鉄サイトでの予約
ウクライナ国鉄のページにアクセスし、発着駅と日付を入力します。
L:1等車 C:2等車 B:3等車
列車と設備を選択して、名前を入力します。
ここでも、正式のチケットをウクライナ国内のチケットオフィスで発行しなければならない、旨の注意が出ます。
費用について
キエフ・ミンスク間の費用は1等車利用で、日本円換算16000円ほどです。2等車はその半分くらい、3等車は3分の1くらい、となっています。
鉄道料金が安い両国ですが、やはり国際列車の個室寝台利用となると、それなりの費用はかかると思った方がよいでしょう。
また為替変動や物価上昇も大きいので、2019年6月における、あくまで目安です。
旅を彩るベラルーシ鉄道
ロシア(あるいはウクライナ)と比較しても、ベラルーシを訪問する人はかなり少ないですが、その鉄道は想像以上に快適でした。
まるで、知名度の低い有望な割安株を発掘したかのようです。
今回紹介した夜行列車はもちろん、他の昼間走る列車でも各車両の車掌に頼めば、紅茶やコーヒーを買うことができます。
特別に早かったり、豪華な列車はありませんが、思ってもみないところで質の高いサービスを提供されて、感動するのも旅行の醍醐味の一つでしょう。