【飛鳥日帰り旅行③】観光特急「青の交響曲」のラウンジスペースで一人打ち上げ

私鉄

飛鳥は日本の礎である。
飛鳥を舞台に我が国は仏教を取り入れ、律令制度を整えて天皇中心とした国づくりを進めた。

2024年9月上旬、大阪から近鉄特急に乗って飛鳥まで日帰り旅行をした。
飛鳥・吉野に行く近鉄特急には一般車両の他に「さくらライナー」と「青の交響曲」の2種類が走っている。
行きは前者、帰りは後者を利用し、その間に飛鳥をレンタサイクルで散策した。
本記事は観光を終えた帰路、観光特急「青の交響曲」の乗車記である。

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前置きの弁明

最初に断っておきたいが、私は「観光列車」なるものはあまり好きではない。
車内に意匠を凝らした車内に観光客しかいない列車というのは、ツアーの観光バスみたいなものであり、やはり私としてはそれを以って「鉄道の旅」とは言い難い。
当サイトでも今までこうしたことを何度も書いてきて、度々読者からクレームをいただいた。

そして今回は観光列車「青の交響曲」を取り上げるわけだが、これはあくまで飛鳥日帰り旅行における帰路の余興としての位置づけである。
もっとも、観光列車にはケバケバしく押しつけがましい内装で、そのくせ座り心地・乗り心地が悪い車両が多いなかで、この列車はそのいずれにも当てはまらない。
ただ、道中の景色・客層なども含めて本来の「鉄道の旅」を味わうには、この類の列車は不向きだということは老婆心ながら伝えておこう。

青の交響曲
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【乗車記】走る名曲喫茶「青の交響曲」

レンタサイクルで飛鳥観光をして、飛鳥駅に戻って来たのが16時過ぎ。
出発時間まで時間があるので、観光案内所でお土産品を見る。
朝に地図をくれたスタッフがいたので、おかげさまで予定通りに周れたと伝えると「暑なかったです?」と驚く。
暑いにきまっている。

まだ15分くらい時間があるのに、「もう電車来ますよ?」と言われた。
彼女が言っているのは「青の交響曲」の前に出る急行のことらしかった。
7時間をめいっぱい使って自転車で史跡めぐりをするような人間は、観光特急には似合わぬということなのだろうか。

16時39分、飛鳥駅に「青の交響曲シンフォニー」がやって来た。
表記は漢字で読みは英語という、俗に言う「キラキラネーム」である。
重厚な紺色の厚化粧でごまかしているが、車両自体は1970年代後半に造られた一般型通勤電車の改造であることは、顔を見ればある程度は察しが付く。
しかし外見だけで物事を判断するのは良くない。
今日見てきた素晴らしい壁画のあるキトラ古墳や高松塚古墳とて、外見はただのこんもりした丘だったではないか。

果たして、「青の交響曲」の車内はレトロ調の上品なインテリアだった。
通路を挟んで2&1列のゆったりとした座席が並び、一部は中央にテーブル付きの向かい合わせになっていて1~4人まで対応できる。
前置きの部分で述べた通り、高級感はあっても変に奇をてらった内装ではないので、好き嫌いが生じることもないと思われる。
イメージとしてはJR九州の「ゆふいんの森」に似ている。

「青の交響曲」は3楽章形式ならぬ3両編成である。
そして中間の2号車は緩徐楽章どころかラウンジ車両となっていて、沿線ゆかりの食事や飲み物を楽しめる本列車最大の見せ場である。
しばし座席に落ち着いた後、ラウンジスペースへ行く。
車両端にバーカウンターがあり、長椅子とソファーがテーブルを介して向かい合っている。
BGMでクラシックが流れていて、名曲喫茶のような雰囲気だ。

飛鳥観光中はお酒を飲めなかったので、ここで一人で打ち上げをすることにしよう。
最初に頼んだのはクラフトビールのペールエール。
微かに甘くてほろ苦いすっきりしたビールが、疲れた体に染み渡ってゆく。
勢いづいて、地酒飲み比べセットと葛城高原のモッツァレラチーズを注文。
飲み比べセットには奈良漬けが付いていた。
チーズはモッツァレラにしてはハードタイプな気がしたが、その分味わいは良かった。
付属している塩・オリーブオイル無しでも楽しめる。
個人的には商品の質・つまみとのペアリング・車内の雰囲気を鑑みれば、日本酒よりもクラフトビールをおすすめしたい。

飛鳥から40分余り、17時22分に終点の大阪阿部野橋駅に到着。
終演後の余韻に浸りたいところではあるが、急いで西宮に戻らなければならないので、通勤ラッシュの大阪メトロ御堂筋線と阪急神戸線を乗り継いだ。

以上、「さくらライナー」・飛鳥観光・「青の交響曲」の三本立て日帰り旅行が終わった。
飛鳥が原始から古代への歴史の過渡期を体現するように、国鉄世代とJR世代の両方の要素を有する「さくらライナー」。
そして終末期壁画古墳のように、外からはみすぼらしく時代遅れに見えても、中身は時代を越えた美しさを持つ「青の交響曲」。
両列車で往復することによって、私の飛鳥観光は完成したのであった。





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